有機ELの輝度を大きく向上させる「マイクロ・レンズ・アレイ」を採用した、LG 有機ELのハイエンドGシリーズの2023年モデル「LG OLED G3」の気になる海外評価。

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今年2023年1月のCESで発表された、LGの2023年有機ELテレビのフラッグシップモデルである、LG OLED G3に採用されるマイクロ・レンズ・アレイ(MLA)という技術。これによって、有機ELテレビの明るさが飛躍的に向上、更に視野角も広くなるようです。

個人的にも非常に気になるモデルでもあるので、海外のハンズオンレビューを色々と読んでみました。

その結果どうやら、私たちが体験した有機ELテレビの中で最も明るく、最も優れた有機ELテレビになるようです。

一般的に液晶より暗いと言われている有機ELテレビですが、2023年モデルの「LG G3」がこれだけ明るくなったのは、新しいMLAの恩恵が大きいようです。

このMLAという用語、あまりピンとこないかもしれませんが、「Micro Lens Array(マイクロ・レンズ・アレイ)」の略称です。

ちょっと複雑な技術なようですが、要するに、従来の有機ELパネルの各画素に微細な凸レンズを配置するということのようです。そのため、光がより拡散するようになりより明るく、よりエネルギー効率の高いテレビを実現することが出来るようです。

LGのOLED Gシリーズは、同社のフラッグシップ・モデルであり、今年2023年の4K有機ELテレビは、MLAパネルに加えて、OLED Dynamic Tone Mapping Proによってハイダイナミックレンジ画像を強化する機能を備えた新しい「α9 Gen6 AI Processor」を採用しています。

後者は、画像を2万個のブロックに分割、それぞれをリアルタイムで最適化する技術だそうです。「HDR Expression Enhancer」は、画像の重要な部分(例えば顔)を認識し、ディープラーニングによってトーンマッピングを適用してシャープネスを向上させる技術との事。

第6世代のa9 AIプロセッサーによる、AI Picture Proは、より優れたアップスケーリング、強化されたダイナミックトーンマッピング、人の顔などのオブジェクトを識別して精製することでよりリアルなHDR品質を実現するとのこと。

そして、LG G3シリーズの最も注目すべきは、「Brightness Booster Max」です。この3つの改良は、ピーク輝度をB3シリーズの新モデルなどの通常の有機ELテレビよりも70%向上させる役割を果たすとの事です。

そして、MLAパネルには「META」が採用。これはテレビの明るさを向上させるLGのアルゴリズムですが、これによってG3は、昨年のLG G2 OLEDよりも明るくなったにも関わらず、22%もエネルギー効率が良くなっているようです。

実際にG3を購入したユーザーもその明るさに満足しているようです。YoutubeユーザーのTECHCHAP氏は、77インチを購入したようですが、明るい部屋でも負けない明るさのようです。今の所、77インチのMLAパネルはこのG3のみなので、貴重ではあります。

マイクロ・レンズ・アレイと組み合わせることで、G3は10%のHDRウィンドウで1,470nitsを達成することができるとの事。これは、LG C2 OLEDのピーク輝度が800nits強であることを考えると、非常にインパクトのある数値です。

LGが、G3を宣伝している際に、安価なモデルLG B3 OLEDよりも最大70%明るいという主張も納得の数値と言えます。

デジタルトレンドのレビューでは、サムスンやソニーのQD-OLED(量子ドット有機EL)と同等に良いのか?という問いに、デジタルトレンドのTVレビュアーであるCaleb Denison氏は、「YES」だと述べ、LG G3は、QD-OLEDテレビと同等に優れているとの事。

しかし、サムスンやソニーが採用するQD-OLEDには、LG OLED G3が到達できない色純度、高い色輝度レベルを実現することが可能だそうで、深く比較検証すれば、QD-OLEDにはいくつかの利点があり、LG OLED G3にもいくつかの利点があるようです。

しかし、「全体として見るとLG OLED G3は、LGがQD-OLEDと戦うために必要なプレミアムOLEDテレビであることは間違いなく、G3は素晴らしいものであり、私は迷わずこのテレビをリビングルームに置きたいと思うし、実際にそうしたいくらいだ。」と絶賛しています。

ホワイトバランスも箱出し状態で非常に優れているそうで、業界標準のD65に非常に近く、ほとんど調整する必要がなかったそうです。QD-OLEDのホワイトバランスは箱出しでは多少の調整が必要だったそうですが、G3は全く調整する必要がなかったとの事。

そして、気になる輝度ではSDR フィルムメーカーモードでのピーク輝度は350nitsだそうで、これはSDR規格の中では明るすぎる数値との事。HDRフィルムメーカーモードでは、1,450〜1,520nitsのピーク輝度を記録、フルフィールドのホワイト・ウィンドウで約230ニットを安定して維持したそうで、これは、Caleb氏がこれまで見てきた有機ELテレビの中で最高のものだとの事。結果的に、「家庭用テレビとして、箱出し状態で今までに見た事のない最高のテレビ。」との事。

色域とカラーチェッカーの結果では、人間の知覚する値をはるかに下回る誤差を示ししたそうです。正直なところ、あまりに性能が良かったので、テレビを3度工場出荷時にリセットし、アップデートをせずにテストをやり直したところ、同じ結果が得られたとの事。

色の輝度では、気になる点としてテレビ側がSDRを明るくしようとしすぎるために、あらゆる種類の歪みが生じていたことだそうです。輝度を少し下げれば(輝度を80に設定)、完璧になるとの事。

G3のABL(オート・ブライトネス・リミッター)も積極的には働かないそうで、同じ高輝度画像を長時間表示させるテストを行ったところ、必要以上に明るくパンチの効いた画像になったとの事。実際に様々なコンテンツを見るときは、ABLが効かないほど多様な映像が表示されるので、気にはならないかもしれないとの事。

G3はDCI P3の99%、BT-2020の75%の色空間を達成し、全体を通して極めて正確な状態を維持したそうです。

しかし、このテストされたG3は、いわゆる “ゴールデンサンプル “と呼ばれるもので、LGがレビュアーのために厳選したもので、レビュアーに送られる前にハードキャリブレーションも行われていたものであり、テレビをリセットしても、実は全部がリセットされたわけではないという事もあるそうです。

しかし、すでにG3を購入したというCaleb氏の同僚数人に連絡を取り、それらの量産版のG3をそれぞれ測定したところ、結果はレビュー結果とそれほど大きく離れてはいなかったそうで、少し調整すればレビューと同じ測定値を得たとの事。つまり、G3はわずかな調整でこのような優れた性能を発揮できることは明らかだ。としています。

他には、ストリーミング配信映像でのG3のシャープネスは素晴らしく、テレビの「なめらかなグラデーション」機能をオフにしても、カラーバンディングはほとんど見られなかったとの事。

初期の報告によると、これまでのところ、量産品サンプルの垂直バンディングは最小限で、実際のコンテンツを見るときには基本的に見えないそうです。

モーションに関しては、24fps、30fpsのコンテンツは綺麗に表示されるようですが、スローパンなどの場面では、明るいオブジェクトが点滅したり、ストロボ効果が発生することがあるようです。これは、有機ELテレビの画素応答速度が速いために起こる現象だそうで、G3がより高輝度であるためにこの現象は目立つようで、人によっては気になる可能性もあります。

しかし、LGの「シネマティック・ムーブメント」という動作設定にすると、ストロボ効果が少し緩和され、気にならない程度になるようです。

60fps、120fpsコンテンツ、つまりビデオゲームの領域になると、全く問題ないとの事。驚くほどスムーズな体験を得られるのは、昨年モデルのG2と変わらず。

視野角も優れているようで、レビューでは、「今まで見た中で最も優れた視野角を持つテレビ。」 との事。どの環境の部屋でも、どんな高さの椅子に座っても、色合いの変化、コントラストの低下などはなく、誰もが素晴らしい映像を見ることが出来るとの事。元々、有機ELは液晶より視野角に優れていましたが、MLAによってより広範囲になるようです。

しかし、すべてが最高というわけでもなく、G3には、いくつかの小さな欠点があるようです。同梱の壁掛け用マウントではなく、LGがこのGシリーズ用に提供している据え置きスタンドが良くないようです。

このスタンドは回転するのは良いのですが、テレビが後ろに傾き、やや上を向く角度になるので、設置する環境によっては、気になる方もいるかもしれないようです。しかし、デジタルトレンドのテストでは、この上向きの状態でも視聴体験が低下することはなかったようですが、動かすとたわむようにテレビがグラグラするようで、お世辞にも良いとは言えないようです。

そして、サウンドも良くないようで、2022年発売のLG G2ほど良くなく、ソニーのA95Kや他のほとんどの有機ELテレビには及ばない音質のようです。声などはよく聞き取れるようですが、これだけ高価なハイエンドテレビとしては、あるべき姿とは言えないとの事。

低音は出ていて、音に厚みはありよくあるペラペラで貧弱な音ではないようですが、映像が際立って綺麗なテレビには相応しい音とは言えないようです。少なくともG3には映像に見合う音になるようにサウンドバーなど外部スピーカーと組む事を強く推奨するとしています。

UIのWeb OSはパワフルで様々な事が出来ますが、広告、提案など様々な機能は雑多な印象で、Google TVの方が使いやすいとの事。

そして、ゲーミングに関してはLG OLED G2が2022年最高のゲーミングTVとなったと同様に、G3はそれに加えてより明るく向上しているので、2023年最高のゲーミングTVと言えるようです。

今年のある時点でDolby Visionゲームに対応することになるであろうソニーのテレビとは異なり、G3は既にDolby Visionゲーミングに対応済みで、4つのHDMI 2.1ポートがあります(ソニーは2つ)。これも評価として利点となるようです。

しかし、G3でのドルビービジョンのゲームモードは、やや明るすぎるようで、LGはそれを修正する必要があるとしています。LGはおそらく数週間のうちにそれを修正するアップデートをリリースするだろうとの事。

結果的に、LG OLED G3は「次世代」と呼ぶにふさわしい出来栄えで、LGのCシリーズ、Gシリーズがラインナップされてから初めてGシリーズが、本当に魅力的で追加のコストを払ってもいいと思えるほど素晴らしいと思えたそうです。

【良い点】

  • 優れた全体の輝度
  • 眩いばかりの高コントラスト
  • クリーンでシャープな画像
  • モーションハンドリングの良さ
  • ゲーマーにとって最高のディスプレイ

【悪い点】

  • 映像とは対照的にがっかりなサウンド
  • イライラする雑然としたWeb OSのユーザーインターフェイス

サウンドに関しては、ソニーやレグザ、パナソニックなどは、複数のスピーカーと90〜100Wのアンプで強化しており、TVのスピーカーとしては結構良いようですが、今回のG3は別途サウンドバーやオーディオシステムで強化しないと、素晴らしい画面に見合った音とは言い難いようで、サウンドバーや外部スピーカーは必須と言えそうです。

MLAパネルの採用で、2023年のハイエンド有機ELテレビがより明るく、欧州の規制などにより、更に効率の良い省エネを実現するとなることは素晴らしい事ですが、重要なのは、こうした省エネ技術が、より安価な有機ELテレビのモデルにも適用されることです。そうなって初めて、環境に大きなインパクトを与えることができます。

マイクロ・レンズ・アレイの技術は、有機ELにとっては、ここ数年で昨年のQD-OLEDを超える重要なブレーク・スルーと言えるかもしれないという評価が海外では多いようです。

この技術がもたらす有機ELの欠点でもあった明るさの更なる向上によって、ハイエンドの有機ELテレビは、ようやく液晶テレビの明るさに匹敵するようになり、そして消費電力などでも環境に優しい方法でそれを実現することができるようになります。

しかし、2023年のLGの普及モデルであるC3シリーズには、MLAパネルは搭載されません。しかし、過去に当時より明るいパネルでハイエンドのGシリーズにしか採用されていなかったOLED EVOパネルが、2022年モデルで普及モデルのC2に採用された事からも、早ければ2024年モデル、遅くても2025年モデルのCシリーズにMLAパネルが搭載される可能性はあります。

このMETA MLA有機ELパネルを採用した有機ELテレビは、パナソニックの2023年モデルのMZ2000に続いて、フィリップスも発売すると、海外では報道されています。ソニーは昨年モデルと同様のQD-OLED(量子ドット有機EL)のA95Lを発表、輝度がA95Kより最大200%向上と宣伝しています。

LGのG3は日本では過去のパターンからは、やはり7〜8月くらいに発表、発売でしょうか。MLAパネル採用の有機ELテレビは、個人的にも非常に気になるところで、買い替えの有力候補の一つにはなりそうです。

ただし、LGのテレビは私もOLED 48C1をゲーミング用としてサブ機で使っていますが、HDMI 2.1入力がx4、Freesync Premium、G-Sync対応、VRR、ゲームオプティマイザーなど、ゲーミング関連機能などでは、文句なく素晴らしい反面、TVの録画、番組表の起動の遅さ(レグザやブラビア、ヴィエラと比べると、あり得ないほど遅い。)など、TV、録画関連周りの出来は、まだまだレグザやパナソニックには遠く及ばないので、その点で家族も使うリビングのメインTVとしてはLGではなく、ソニー、レグザ、パナソニックのいずれかが候補になる要因の一つではあります。

今年はMini LED液晶モデルも分割数、 LED数が大幅に増えた事で画質の向上が素晴らしいので、Mini LED液晶モデルも気になるところではあります。

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via Techradar

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