【譲歩提案も効果なし】マイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収提案。米規制当局が提訴、買収阻止へ。

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米国連邦取引委員会(FTC)が8日、マイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザードの買収提案が、業界の健全な競争の阻害につながるとして、買収差し止めを求めて提訴しました。

NYポストの報道によると、FTCが問題視したのは、買収したスタジオの大作ゲームタイトルを独占にしたり、新作を発売日にサブスクリプション・サービスのゲームパスのリストに加えて配信する事で、ライバルのサブスクリプション・サービスを不利にし、その消費者に悪影響を及ぼすとしています。

FTCは欧州当局の動き(巨大コンテンツを独占し競争を阻害する可能性がある懸念)を参考にしたようで、4人のFTC委員のうち3人が買収阻止に賛成し、提訴に踏み切ったとの事。

FTCのリナ・カーン委員長は大手IT(情報技術)企業が買収、合併を繰り返して成長する戦略に否定的な見解の方だそうで、それが影響したのは間違いないでしょうね。。

FTCは提訴の声明で

「マイクロソフトは、ゲーム業界の競合相手へのコンテンツ供給を阻むことが可能になり、現状それを既に示している。」

と、現在買収したゼニマックス傘下のベセスダなどのタイトルがゲームパス入りし、「スターフィールド」がコンソール独占で発売初日からゲームパス入りする事やなどが問題視されたかもしれません。

マイクロソフトは、数日前にもゲーム部門のボスであるフィル・スペンサー氏が、買収後に任天堂とCALL OF DUTYを10年間供給することを締結したと発表して譲歩案を掲示するなどしていましたが、残念ながら規制当局を納得させる事は出来なかったようです。

1週間前にPOTICOが報道した「当局が買収阻止に向けて提訴する可能性」という事が、現実となってしまいましたね。

マイクロソフトのゲーム事業の大型買収は、2014年にマインクラフトのモーヤン、2021年にはベセスダを擁するゼニマックス・メディア・グループの買収と順調に実現してきましたが、「CALL OF DUTY」「DIABLO」など強力タイトルを擁するアクティビジョン・ブリザードの8兆円規模の買収では、さすがの買収巧者でも差し止め訴訟に直面する事になりました。

FTCの提訴を受けてマイクロソフトのブラッド・スミス社長は声明を出し、

「買収は業界の競争を促し、ゲームをする人たちや開発者にとってより多くの機会を生みだすと考えています。私たちは規制当局の懸念に対して、初日から懸命に取り組んできており、当社のポリシーには自信があります。法廷でこれらを提示する機会を歓迎します。」

とあくまでも強気で争う姿勢。数日前にもアクティビジョン・ブリザードのCCOが

私たちは、この取引を進めることができるよう、世界中の規制当局と引き続き協力することを約束します。しかし、必要であれば、この取引(マイクロソフトの買収提案)を守るために戦うことも辞さないでしょう。

と述べていました。マイクロソフトの声明、そしてアクティビジョン・ブリザードのCCOの言葉からも、今回のFTCの提訴と全面的に争う局面になったと言えるかもしれません。

買収した会社の新作タイトルがゲームパス入りし、競合相手(プレイステーション)のユーザーはフル・プライスで購入しなければならないというのは、XBOXユーザーにとっては金銭負担も軽くなってありがたい事ですが、競合プラットフォームであるプレイステーションのユーザーからすれば、今回の買収提案は“悪影響”と言われても仕方ないかもしれませんね。。ましてそれが巨大なブランドでもある「CALL OF DUTY」も含まれるとなると、尚更かもしれません。

7日のブルームバーグの報道によると、マイクロソフトのゲーム部門ボスであるフィル・スペンサー氏は

「ソニーにも任天堂と合意した内容に類似した計画を提案しているが、現時点まで拒否されている。ゲーム業界においてこの買収に反対しているのはソニーのみです。ソニーは私たちとの交渉よりも買収を阻止する為、規制当局へのロビー活動により多くの時間を割いている。」

と批判しているようです。

任天堂に「CALL OF DUTY」を10年間供給の締結は、更に10年目以降も延長出来るという合意だそうなので、こうなるとソニーの主張する一つ「CALL OF DUTY」をマイクロソフトが独占してしまうという批判は的外れになってしまう可能性もあります。

マイクロソフトの「CALL OF DUTY」供給のオファーを拒否して、買収阻止の為に規制当局へのロビー活動に精を出すソニーの姿勢にやや疑問を感じざるを得ないかもしれませんが、規制当局がソニーの主張に沿った動きを見せています。任天堂との合意があるにも関わらず、FTCは提訴に踏み切ったのでその点は気になります。

しかし、今回、FTCが欧州規制当局の動きを参考にしたのと同様に、欧州規制当局もFTCの動きを参考に同様の動きを見せる可能性もあり、マイクロソフトにとっては非常に厳しい状況になってしまったかもしれません。

XBOXユーザーとしては、買収が成功する事を祈ってはいますが、FTCに提訴された場合、買収承認の可能性が低くなってしまう事は、否めないかもしれません。

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via New York Post

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