マイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザードの買収提案を巡って、現在調査中の英国規制当局(CMA)が示した懸念に対し、マイクロソフトが不満を表明しているようです。
先月10月末に「CALL OF DUTY:Modern Warfare 2」が発売され、シリーズ最高の記録的なセールスを達成し、その影響でプレイステーション5の米国セールスが1位に返り咲いたことで、「CALL OF DUTY」(COD)の影響力を改めて知らしめました。
ソニーは、マイクロソフトがアクティビジョンの買収提案承認によって多大な影響力を持つ「COD」ブランドが同社の傘下に入る事に、相当な危機感を感じているようで、将来的にマイクロソフトが「COD」をプレイステーションプラットフォームから除外するかもしれないという懸念を持ち続けているようで、業界各所に働きかけをしているようです。マイクロソフトは、買収提案早々に「COD」は今後もプレイステーションに供給すると表明しており、マイクロソフトのゲーム部門ボスのフィル・スペンサー氏は、今後数年間はプレイステーションに「COD」を供給し続けると確約するなど、規制当局のやソニーへの懸念に配慮しています。
CMA は、Microsoft が Windows + Azure によるゲームパスやXBOXクラウド・ゲーミング・サービスで優位に立っていると考え懸念を示しているようですが、マイクロソフトはCMAの懸念はソニーの異議主張に沿ったものだと批判、以下の反論をしています。
・ソニーのプレイステーションは、20年以上にわたって最大のゲーム機プラットフォームであり続け、インストールベースは1億5千万台を超え、任天堂よりも巨大で、Xboxの2倍以上の規模になっている。
・ソニーは今日、市場シェアを失うことを恐れずにゲーム機の価格を引き上げるなど、ゲーム機における市場支配力を反映した行為を行っている。
・明確で永続的な市場力を持つ現在のマーケットリーダー(ソニー?)が、1つのタイトル(COD?)へのアクセスを失った結果、第3位のプロバイダー(マイクロソフト)によって差し押さえられる可能性があるという指摘は信用できるものではない。現在「プレイステーション」だけでも4,000以上のゲームがあります。
・プレイステーションの月間アクティブユーザーのうち、「コール オブ デューティ」をプレイしているPSユーザーの一部をすべて失ったとしても、プレイステーションのゲーマー層は、現在のXboxよりかなり大きいままでしょう。
・本取引(マイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収提案)が発表されて以来、ソニーは、人気オンラインゲーム「Destiny 2」を開発したBungie、Haven Studios、Lasengle、Savage Gamesなど複数のゲームスタジオ、および2022年最大のゲーム「エルデンリング」(その他のヒットゲーム)を開発したFrom Softwareの少数株主持分を取得しました。
・ソニーは、『フォートナイト』のパブリッシャーであるEpic Gamesの少数株主であり、強力なファーストパーティゲームカタログやサードパーティパブリッシャーとの独占契約による幅広いポートフォリオを保有しています。2021年にプレイステーションで発売されたファーストおよびサードパーティーの先行独占タイトルは280本以上でした。これは、約Xboxの約5倍となります。
マイクロソフトは、ソニーは現在も最強のゲームブランドであり、CODに万が一アクセス出来なくなっても、PSユーザーでCODをプレイしているユーザーは一部でそれでもPSはXBOXより巨大であり続けるでしょうという事に加えて、ソニーはその優位性を利用して先行独占、時限独占などXBOXの5倍以上の契約を確保しているのに、我々に異議を唱えて懸念するのはおかしくないですか?と。ソニーのプレイステーションブランドの強力ぶりをアピールし、自分たちがOKで我々はダメというのは如何なものか?という反論でもありますね。
確かに、ソニーは今までCODでもコンテンツを先行独占、1年間の時限独占にしたりしてXBOXを除外するようなことを行なっていました。最近では「Deathloop」(現在XBOXゲームパスでプレイ可能)や「ゴーストワイヤー東京」も時限独占だったことも明らかになっています。
何年か前には、マイクロソフトがベセスダを買収する前に、ソニーが「スターフィールド」を時限独占しようと交渉していたことがGame Informer記者が報じていました。
XBOXも過去にトゥームレイダーなどで対抗する形で行っていた経緯もあります。
ですので、ソニーも過去に結構な独占囲い込みは行っていたわけですので、マイクロソフトからすれば、今更何を言ってるのか?という事でしょうか、、
ソニーは、買収が承認されてマイクロソフト傘下に入る事で、大きな影響力のある「COD」過去作品、そして今後発売される新作がマイクロソフトのゲームパスのライブラリーに恒久的にリスト入りし、プレイステーション・ユーザーは有料のフルプライスで買わなければならなくなる可能性があり、それによる違いで自社のサブスクリプション・サービスが不利になることも懸念しているのかもしれません。
これに関してはソニーの懸念も理解は出来ます。現実、ソニーのPSサブスクリプション・サービス「PSプラス」は、日経の報道によると、9月末の会員数が4,540万人でピークだった2021年末(4,800万人)から3四半期続けて減少しているのに対し、マイクロソフトのXBOXゲームパスは増加基調あることも影響しているのかもしれません。
ソニーの懸念ぶりは徐々に大きくなっている印象で、マイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収承認を、出来れば阻止したいようですね。🔚
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