3月4日に発売された『グランツーリスモ7』、私も『Horizon Forbidden West』の合間に少しづつ進めていますが、「GT5」や当初の「GTスポーツ」で不満を感じていた自分からすると、今回の『GT7』はボリュームとしてもとりあえず満足で、お馴染みのオリジナル・コース、ライセンス、中古車、サーキットチャレンジなどに加えて、初めてのプレイヤーやあまり車の知識のないユーザーでも、車の歴史を知りながら楽しめるという細かい配慮などで、往年の名作GT3、GT4などを想起させる、25周年に相応しい作品に仕上がっていると思います。ある程度、車好きな私でも勉強になる解説がいくつもありました。
デュアルセンスコントローラーの効果もハプティックの細かい振動表現と、強力なアダプティブトリガーによる効果も相まって、映像と音の一体感と没入感と操作感は、PS4ProのDS4（デュアルショック4）コントローラーとは雲泥の差と言えます。「GT7」はPS4、PS4Proでも十分な品質のグラフィックでプレイ出来ますが、PS5のデュアルセンスでのリアルな感触と、没入感からもPS5でのプレイをオススメしたいですね。
ユーロゲーマーのデジタルファウンドリーが、「GT7」のPS5、PS4Pro、PS4のグラフィック比較検証のビデオを公開しています。3世代のハードウェアでどれくらい品質差があるのか気になるところではあります。
『GT7』は、『グランツーリスモ・スポーツ』のエンジンをベースにしているようで、DFはPS4でも思っていた以上に素晴らしいグラフィックと動作を実現しつつ、PS5のハードウェアパワーも活かしているバランスのセンスは、素晴らしいと称賛しています。
PS5は、ネイティブ4K解像度（3840x2160P）で動作し、負荷によって解像度を変える可変解像度やチェッカーボードレンダリングなどは行われていないようです。
PS4はネイティブ1080P、PS4 Proではチェッカーボードの1800Pで描画されているようです。しかし、PS4 Proの出力解像度を1080Pに設定している場合は、1080Pでレンダリングされるとの事。
PS5では鮮明さが増し、PS4とPS4 Proの比較では、PS4はテクスチャ解像度が低い箇所も散見されるものの、PS4 Proに迫るグラフィックを実現しており、PS4Proの1080P版がPS4版という印象の様です。
PS5はPS4Proの約2.5倍のGPUパワー（PS4Pro＝4.3TF、PS5＝10.2TF）がありますが、単に画素数を増やすだけではなくて、それ以上の処理を行なっているようです。それは2月18日にリリースされた『Horizon Forbidden West』同様のようで、PS5は10.2テラフロップス数よりも、遥かに大きな処理をゲーム体験に与えているとの事。
木々の群葉表現は、PS5でより多く高い品質で実現出来ているようです。サーキットによっては群葉の密度が高くなる所もありますが、ポリフォニーデジタルはPS5ではまったく別の高品質なモデルを実際に使用しているとの事。詳しくはDFのYOUTUBEビデオをご覧ください。
ライティング効果も、品質だけでなく忠実度が大幅に向上し、PS5の間接照明がよりリアルで良く見えるようになり、特に反射率の高い車のボディ表面などでは、PS4Proよりも更に高品質な光の跳ね返りをシミュレートしているそうです。
プレイステーション4では、PS5のボリューメトリック・ライティング効果（光の一部がオブジェクトに遮られる影響を再現）がないようで、太陽光は効果の低いブルーム効果に置き換えられています。
これは車両モデルでもそうで、PS5版ではよりリアルな陰影で見た目の印象が大きく違います。
DFの検証ビデオを見ると、コース脇の木々の群葉のモデルや木の量、芝の有無、ボリューメトリックライティングの効果、シャドウ品質、レース時のカーモデル、バックミラーに写る映像などでも明らかに品質が違う事が分かります。テクスチャ品質もPS5の方が明らかに綺麗で、旧型機であるPS4ではLOD（レベル・オブ・ディテール）が変化しています。
PlayStation5では、ゲーム内のモーションブラーも実装され、よりスピード感や没入感を高めているとの事。モーションブラーは、PS4にはないようですが、PS4 Proでは出力解像度を1080Pに設定すれば、モーションブラー効果がONになるようです。
そのかわりに、PS4Proのチェッカーボード1800Pだったものが、ネイティブ1080P解像度に下がるようですが、余力ができる事で、パフォーマンスは上がるので、PS4Proでより滑らかなフレームレートでプレイしたい場合は、PS4Proの出力解像度を1080Pにすると良いようです。
PS5では、60fpsのリプレイはパフォーマンスモードで可能になりますが、レイトレーシングでは、デフォルトで30fpsに制限されます。ハイフレームレートモードを選択すると、リプレイやメニューなどのレイトレーシング効果がオフになり、滑らかなフレームレートをチョイスするか、グラフィックのレイトレーシングなどのリアルさを取るかのトレードオフとなります。
パフォーマンスは、全てのバージョンで60fpsをターゲットにしているようですが、GT7で新たに追加された新要素の影響もあってか、「GTスポーツ」よりか安定性に欠けるようです。まだ発売されたばかりの新作なので、今後のパッチで徐々に安定はしていくと思われます。
PSファミリーの中では、PS4が安定性に欠けるようですが、雨天レース、多くの車が密集する状況では、すべてのハードウェアでパフォーマンスが低下しています。極端な負荷によってはPS5ではレース序盤にフレームレートが低下することがあるようですが、後半になると安定する模様。しかし、PS5は前述の例外的な場面は除けば、全体的にスムーズなパフォーマンスを実現しています。
PS5版で素晴らしいのは、ロード時間の大幅な短縮で、PlayStation 5と「GTスポーツ」の比較では、30～40秒のロードだったのが最大でも4秒くらい、時にはそれ以上で最短では1秒以下に短縮され、正に桁違いの改善になっています。
私もPS5でGT5をプレイしていますが、メニューからゲームへの移行も大変スムーズで且つ速いので、ロード時間で待たされている印象はほぼなく、本当に快適と言えます。これは『Horizon Forbidden West』も同様です。
DFによると、「GT7」発売前のメディア向けレビュアー版と、デイワンパッチ（354.9MB）で更新された製品版と比較すると、ロード時間が短縮されているとの事。
結果的に、PS4、PS4Proは解像度の違い程度でほぼ同じ品質で実現し、PS5が最良、最高のバージョンである事に変わりはありませんが、DFの検証ビデオを見れば分かる通り、PS4 ProとPS5の比較はPCゲームの低・中設定と高・ウルトラ設定、そして解像度の比較という感じですね。
PS4、PS4Proにも対応するクロスジェンになる事で、PS5の性能をフルに発揮する事を妨げているのではないか？足を引っ張るのではないか？という話題がよく出ますが、その疑問にDFは「3つのコンソールに対応しなければならないという点では、スタジオの開発リソースに影響がないとは言えないかもしれない。しかし、PS5のためゼロから作り直した「グランツーリスモ7」が、PS5の発売からたった1年ちょっとで提供するのは不可能ではないか？」としています。
PS5版「GT7」はDFの検証ビデオを見れば一目瞭然、PS4、PS4Pro版よりも大幅に品質は改善されていますし、デュアルセンスコントローラーのアダプティブトリガーやハプティックによる一体感による没入感もメリットとしてあると思います。
今までのゲーム史が物語るように、次世代機が発売されて1年程度では開発スタジオも能力を完全には使いこなせていないのは確かで、何年も開発していく過程で、新たな発見があり、そのノウハウを取り込んで行くことで最適化が進み、発売から2〜3年で同じハードとは思えない進化をしています。
今世代も同様の進化をしていくと思った方が良さそうです。
特に、今年末以降にはアンリアルエンジン5で開発されたタイトルが出てくるでしょうし、そうなれば「これぞ次世代」と感じるようなタイトルも徐々に出てくると期待しています。
あとは、PS5が潤沢に供給され、欲しい人がいつでも買えるようになり、このような素晴らしいタイトルを最高の体験で多くの人が楽しむ事が出来るようになる事ですね。🔚
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