ホラーファンの間では知る人ぞ知る、名作として定評のある「ゾンゲリア」(原題:Dead & Buried)の待望のフルレストアHDリマスター版で(株)ニューライン、販売元:ハピネットから発売されました。
この映画、日本独自の「邦題:ゾンゲリア」というタイトル名でキワモノ系映画と誤解されてしまいがちですが、そうなってしまった背景は1981年公開当時、サスペリア、サンゲリア、ゾンビなどが公開されてヒットした事から、「ゾンビ」に「サンゲリア」を足して2で割ったようなタイトル(ゾンゲリア)を付ければ話題になるだろうと安易な発想から付けたと考えられますが、当時は現在のようにSNSもネットもなく、クチコミやメディア、関連雑誌などでしか情報を得ることが出来なかったので、原題の邦訳「死者と埋葬」もしくは「死者と葬儀」のままでは、確かに地味過ぎて注目を集めなかったかもしれませんねw
当時のホラー系に限らず、劇場公開作はこんなノリで、今では到底考えられないあの手この手の突飛な発想でマーケティングやワードを生み出して宣伝していたのは今と比べると良くも悪くも緩い昭和の時代だからこそなのかもしれません。
本作のストーリーは、ニューイングランドの静かな漁師町ポッターズ・ブラフで次々と謎の集団に惨殺される観光客が続出し、死んだはずの被害者がいつの間にか別人として街で働いているという、異常な現象が続出、事件を追っている地元保安官が傷ついた遺体を綺麗に化粧し直す葬儀屋に目を付け捜査していく内に、驚くべき真相が明らかになり、驚愕のラストへ、、という「ゾンゲリア」という派手なタイトルは違い、意外とシリアスなサスペンス調の内容となっています。
得体の知れない集団が表情一つ変えずに写真やムービー撮影しながら人を惨殺していく様は、とにかく不気味で恐ろしく、しかもその死んだはずの被害者がいつの間にか普通に街の人間として住んでいるという得体の知れない不気味さ。。ネタバレになるので、未見の方の為に詳細には言及しませんが、本作の最後のオチがとにかく秀逸で知らない人が見たらあっと驚く結末で良く出来た作品だと思います。製作が1981年という事もあり、本作以降には似たようなオチのホラー、サスペンス、スリラー映画が多く作られました。
本作の特殊メイクは、今は亡きクリーチャー製作の大御所スタン・ウィンストンが手がけている事でも有名です。スタン・ウィンストンは本作以降にパンプキンヘッド、ターミネーター1、2のエンドスケルトン・ロボット、プレデターのクリーチャー、エイリアン2、ジュラシックパークの恐竜、インタビュー・ウィズ・バンパイアなど手がけ、今でも愛されるアイコニックなキャラクターを多数生み出した正にクリーチャースタジオではマスターと呼ばれた偉大な方でした。
しかも今回のブルーレイにはスタン・ウィンストンが本作の特殊メイクに言及したインタビュー映像まで特典として収録されています。
興味深かったのは、スタン・ウィンストン本人が本作の仕事を非常に気に入っており、自分の中でも良い仕事が出来た作品で本当に気に入ってると言っており、本作は今振り返って観ても斬新で、何回でも見直したくなる良い作品だと本作を気に入っているのも収穫でした。スタンのインタビュー映像は本作のストーリーのネタバレがあるので、まだ本作を観たことがない方は本編をご覧になってから特典映像を観る事をオススメします。
残念ながらスタン・ウィンストンは2008年に62歳というお若さでお亡くなりになっていますので、このインタビュー映像は本当に貴重だと思います。これだけも本作を買う価値を上げているお宝映像です。
インタビュー映像は他に共同脚本の一人、エイリアンで有名なダン・オバノンと出演キャストのロバート・イングランド(後にエルム街の悪夢の主人公フレディ・クルーガーを演じます)のインタビューも収録されています。スタンのインタビュー同様に、お二方のインタビューも本作の裏話など沢山聞けて、非常に中身の濃い特典映像だと思います。これだけでも大収穫だなと私は思いましたし、まさか本作の特典映像をこれだけ観れることになるとは思いもしませんでした。
旧盤(既に廃盤)と新コレクターズ盤ではジャケットも変わっています。旧盤は米国劇場公開ポスターのデザイン、新コレクターズ版はどちらかというと日本版のチラシやポスターをイメージした本作の見せ場の一つでもある死の看護婦が被害者の目に注射器を刺そうとしている痛ましいシーンになっています。
そしてこのディスクを買いとしている理由の一つが、大幅に向上した画質です。既に廃盤となっている旧ブルーレイ盤では「1080i」収録で、正直なところ画質も暗部階調は潰れ、ノイズも多く正直良いとは言えない画質でした。おまけに特典映像もありませんでした。
ところが今回のブルーレイ化ではフルレストアHDニューマスターで1080P収録になっているのです。高画質化に加えて、待望の「1080P」収録に加えて約48分もの特典映像、3種の音声解説も収録されています。
そしてデジタルリミックスによるDolby True HD 5.1Chサラウンド収録も素晴らしい出来。オリジナルのモノラル音声をデジタル5.1Ch化すると、音がペラペラで軽くなったり、過剰なミックス配置などで違和感もあるマルチ・チャンネル化のパターンもありますが、本作の5.1Ch化はそういう事もなく、かなり大きめのレベル記録されているせいか、音に厚みがあり、セリフもしっかりとセンターに定位、不気味な音楽が綺麗に分離して囲まれるようにミックスされているので、怖さを倍増させてくれます。
とにかく、ゾンゲリア(Dead & Buried)は数あるゾンビ系のホラー映画の中でも異色のストーリーで、後にハリウッドのメジャー大作で活躍するスタン・ウィンストンが特殊メイクを手掛け、エイリアンのダン・オバノンが共同脚本に参加、脚本も良く出来た面白い作品なので、まだ観ていない方でホラー映画が好きな方は、最後の衝撃的なオチといい是非観て頂きたい傑作の1本です。
ただし、グロいシーンは要所要所であるので、その手の描写が苦手な方はダメだと思いますw 現在amazonで外国ホラー映画ジャンルでベストセラー1位になっています。🔚
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