マイクロソフトのXBOXは、次世代機で日本市場シェアを伸ばせるのか?(そして今後の計画)

IGN USAがマイクロソフトの日本でのXboxの失敗を振り返り、現在のマイクロソフトが行なっている事、今後の施策など、関係者のインタビューも交えて検証しています。中には非常に興味深い話も含まれており、良記事が掲載されています。一部抜粋し、日本語訳をご紹介します。

次世代では、PS5よりパワフルで強力なシリーズX、お手軽価格でターゲット解像度が1440PとなるシリーズSの2台体制という今までにない形に加え、ゼニマックス・メディア・グループの買収により、非常に強力なラインナップになったゲームパスとの組み合わせで日本のゲーマーを獲得しようとしています。

IGNの記事では、マイクロソフトが過去の失敗からどれだけ学んだかにかかっているとし、マイクロソフトの日本での展開をよく知る関係者などにインタビューしています。

Xboxの存在感のなさは、Xbox Oneの時代を通じて続いていました。1番の問題は、マイクロソフトが2013年11月に北米でXbox Oneを発売、しかし日本での発売は10ヶ月も経過した2014年9月になってからでした。元ファミ通Xbox 360編集長の松井ムネタツさんは、そのことをよく覚えているそうで、

「酷くネガティブな影響を与えたと思います。日本ではプレイステーション4が半年前に発売されましたが、100万人以上の日本のXbox 360ユーザーの中には、次世代機で遊ぶのが待ちきれずにPS4を購入した人もいました。また、Kinectを搭載していることによる1万円(約100ドル)の価格差も問題でした。」

さらに問題を悪化させたのは、小規模なXbox360の忠実な日本のファンの多くが、すでにアメリカからXbox Oneを輸入していたという事実です。そして、日本での発売時に発売されたゲームのほとんどを輸入していました。

「ほとんどのゲームは、すでに他のプラットフォームで発売されていました。 そして、Xbox One専用タイトルでも海外で発売されていたものがほとんどでした。目新しいものは何もありませんでした。日本発売に特化したタイトルがなかったのが残念だった。」

と、松井氏は語っています。

実は私も当時、日本での発売が待てるはずもなく、米国AmazonからXbox One Day Oneエディションを輸入しました。コントローラーには「DAY ONE 2013」とプリントされています。もうXboxOne米国発売から7年が経過したかと思うと、早いですね。当時、日本での発売の遅れは日本のXBOXユーザーから非難轟々だったのを覚えています。このマイクロソフトの判断で離れたユーザーも実際多かったと思います。

その他にも日本語のローカラライズの中途半端さ、ストア表記の曖昧さなどなど、日本で発売しているとは思えない、あまりのお粗末さ、中途半端な対応こそが、日本でのXboxOne累積販売台数が10万台強程度と異様に低い水準に留まったと思います。

ソニーの失敗作と言われたVita TVでさえ、僅かな期間で18万台以上は売れたそうです。XboxOneは週販売でも3〜40台程度しか売れていなかったというデータも指摘されており、正直ここまで売れてなかったのかと、私も呆れを通り越して驚かされます。

Xbox Asiaのディレクターであるジェレミー・ヒントン氏は「今年の東京ゲームショウで自分たちの存在を知ってもらいたいと考えています。東京ゲームショウに参加していることで、私たちの存在感、そして日本でのXboxでのゲームビジネスの潜在的な成功について、より広く考えていることは、前世代を通して多くのことが変わったということです。」と述べています。

「社内でよく話している重要なことの一つは、『すべてを知る』文化から『すべてを学ぶ』文化へと変化したことです。これは日本にも当てはまることだと思いますが、私たちがどのように物事に取り組もうとしているかを見てみると、本当にそのようなことが見えてくると思います。

私たちは本当に学び、耳を傾け、コンテンツやサービス、プラットフォームを誰もがアクセスしやすいものにしようと努力しています。前回のゲーム機発売時とは根本的にゲームに対するビジョンも変わっています。私達は、欲しい人が欲しいデバイスで、欲しいゲームをプレイするというビジョンが見えてきました。

最終的にXboxシリーズXは49,980円で販売され、XboxシリーズSは29,980円で発売される事になりました。しかし、当初発表されたXboxシリーズSの価格は、32,980円(311ドル)でしたが、日本での予約開始直前に値下げを発表しました。

シリーズSの日本価格が当初、海外価格より高価になった理由は明らかにはなっていませんが、ヒントン氏によるとこの調整はマイクロソフトが日本の消費者の声に耳を傾けた結果だと述べています。「これは、私たちが本当に市場の声に耳を傾けようとしていることであり、私たちはそれをはっきりと聞きました。」

結果的にXboxシリーズX、シリーズSと共に予約はあっという間に完売し、マイクロソフトが土壇場で価格を下げたことが、一定の効果があったのかもしれません。

マイクロソフトのゲーミング エコシステムのコーポレート バイスプレジデントのサラ・ボンド氏は、文化の違いを理解することがいかに重要であるかを認識しているようです。「現在の役職に就いて最初にしたことの一つは、日本で時間を過ごすことでした。日本の開発者はゲーム業界で最も歴史を持ち、最も象徴的なキャラクターと創造性を持っています。」

ジェレミー・ヒントン氏は、Xbox Oneの発売は文化の違いを無視したレッスンだったとしています。「Xbox Oneがどのようにして発売されたかを振り返ってみると、当時はMaddenとCall of Dutyと欧米のテレビ番組でいっぱいの洋ゲーのBOXで日本で10ヶ月遅れで登場し、サードパーティのサポートもあまりなく、ファーストパーティのゲームのローカライズもあまりなく、市場で最も高価な大型の箱で登場しました。それは成功の秘訣ではありませんでした。」

「私たちがはっきりと耳にしたのは、ファンが一貫してフィードバックをしているということでした。”もっとこれが欲しい、もっとこれが見たい、ここで助けてくれないか、などなどです。」

「私たちは歩いて入ってきて、”これは私たちが作ったものです、皆さんもきっと気に入るでしょう “と言っていたのです。」

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16 件のコメント

  • 任天堂のお膝元、SIEの元お膝元の日本では、360の時以上に日本向けのソフト開発やマーケティングを行わないとシェアは伸ばせないでしょうね。

    現状のコメントを見る限り、日本の「おま国」を極力減らすよう頑張る!
    程度の力の入れ具合なので、Oneよりは売れるけど360よりは売れないだろう
    というのが私の見立てです。

    iPhoneの日本での成功は、MacやiPod等で着々と培ってきたAppleのブランディング戦略と、同時期の競合他社のスマホの出来の悪さやガラケー依存体質に起因するところが多く、現状のXboxの状況とはまるで違います。

    日本で大成功しているSwitchと、それなりにシェアをキープしてるPSの市場に本気で切り込む気があるのなら、相当なインパクトが必要になります。
    任天堂みたいにファーストの力で切り開くのが理想ですが、それが出来ないのであれば、カプコンやスクエニあたりを買収するくらいはしないと厳しいでしょうね。

    • おっしゃるとおりで、相当の予算とコンテンツ供給、インパクト、
      もしくはゲームパスでの付加価値をつけないと中々、負のイメージを払拭出来ないでしょうね。。

      自分がフィルさんやナデラCEOの立場なら、ゲームパスの価値観を向上させる上でも
      カプコンを買収します。

      当然彼らの頭の中にもそれがあると思っています。
      フィルさんも再三、日本のスタジオに言及していますし、ナデラCEOも公然と今後の買収を明言しているので、
      もしかすると本当に起こるかもしれませんね。

      マイクロソフトも日本市場への本気度は今後の行動を見て判断して欲しいと言っているので
      その行動を見てみたいですね。

  • 360時代にはローカライズの質の良さに定評がありましたよね。特にfableシリーズは細部から細部まで作り込まれていたことを驚いたことを覚えています。今のmskkにここまでやれとは言いませんがユーザーが納得するローカライズをやってほしいですね

    • 同感です。360時代のALAN WAKEのローカライズ、限定版の特典物の作り込み度といい
      360時代は本当に力のこもったローカライズでしたね。。

      ただし、個人的には英語音声+日本語字幕派で、日本語吹替はあまり好きではない方なので
      「強制日本語音声のみ」という仕様だけはやめて欲しいです。

  • 詳細な和訳ありがとうございます。
    360時代のように、日本でも活気が戻れば嬉しいですね。
    ひとまずSeries Xは予約できたのでほっとしました。

    • 当ブログにお越し&お読み頂き、ありがとうございます。
      そう言って頂けると書いた甲斐があります。

      シリーズX確保、おめでとうございます!単発で在庫復活している様なので、
      初回で逃した方も続々と確保成功しているみたいで良かったですw

      私も当初はRTX3090に集中してシリーズXは買うつもりなかったのですが、
      抽選外れたりと中々入手出来ないので、XboxOneX本体から試しにオーダーしてみようかなと
      トライしたらあっという間に出来てしまい、買ってしまいましたw

      どこまで売れるか未知数ですが、XboxOne以上には売れて欲しいですね。
      マイクロソフトも日本市場への本気度を行動を見て判断して欲しいと力説しているので
      一応期待はしてみたいですね。

      PS5は30日のビックカメラ抽選に賭けています。外れたらどうしよう。。w

    • ま、PSや任天堂並みは厳しいでしょうけど、やり方次第ではXboxOne以上に売れるのではないでしょうか。
      場合によっては、360レベルまで売れるのも可能性あると思いますね。キーはシリーズSでしょうね。

      後は、マイクロソフトがどれくらい日本へ予算を割くかでしょうね。
      一応、マイクロソフトは日本への本気度は我々の行動を見て判断してほしいと言っているので
      その行動を見てみたいものですw

      マイクロソフトが日本の大手パブリッシャーを買収する様な事があると
      ハードは360くらいまでは売れそうな気がします。ゲームパスが本当にお得ですからね。
      マイクロソフトのナデラCEOは今後もスタジオ買収を明言しているので何が起こるか分かりません。

      そして、来年にはXクラウドも日本で始まるので、ゲームパス加入者は相当増えそうな気がします。
      今のマイクロソフトは完全にゲームパス中心に回っていますからね。

  • XBOXONE以上は売れて欲しいけど厳しそうな気がせんでもない
    まぁでもPS5もXSXも予約できたから発売を待つのみだわ

    • 個人的に、今があまりにも酷い状態なので、今以上は売れるかなとw
      問題は継続して売れ続けるかでしょうね。。

      自分はまだPS5が確保出来ていません。。明日のビックカメラの抽選外れたらアウトです

  • XBOXが日本市場でシェアを伸ばすのは無理でしょ
    でも日本のPCゲーム業界ではゲームパスでシェアを伸ばすのは十分に可能だと思う
    マイクロソフトは世界市場でも勝てないコンシューマーゲームは諦めて、PCゲームの王者を目指した方が現実的だと思う
    つまりSteamを潰すって事

    • ま、今があまりにも酷いくらい売れていないので、今以上には売れるとは思いますが、
      問題は継続して売れ続けることが出来るかでしょうね。厳しいとは思いますがw

      でも、マイクロソフトは既にコンソールで競争する気はないようですね。
      明らかにゲームパスが中心に回っていて、コンソールはゲームパスへのゲートの1つに
      過ぎない感じですね。
      フィルさんの話など聞いていると、ゲームパスの影響でコンソール台数も増えているようですが、
      今回のゼニマックスメディアの買収もコンソールを売るためより、ゲームパスの恒久的ラインナップ拡充と、
      今後傘下スタジオの新作が出る事で、ゲームパスの価値を更に高める、、これが目的でしょうしね。

      STEAMの買収は理に適っているかもしれませんね。EPIC+SONYみたいな感じになってますしねw
      じゃ、STEAM+Microsoftみたいなw バランスは取れるかもしれませんねw

      EPICは相変わらず独占販売とかでSTEAMから新作を削り取る事ばかりしてますしね。

  • JRPGを日本人の為に仕方なく作ってやるではなく
    JRPGこそ全てのゲームジャンルの頂点
    JRPGこそがRPGとしっかり認めてやること
    そうしなければ日本製には絶対に勝てないよ

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