ソニーが日本時間の深夜1時にプレイステーション5に関する技術解説動画を配信しました。解説はお馴染み、PS4、PS5のリードシステムアーキテクトのマーク・サーニー氏。
このビデオは本来今週から開催していたGDC2020(ゲーム開発者会議)のセッションの模様を収録したものなので、かなりテクニカルで専門的な解説が中心だったので、詳しくない人からすると退屈な内容だったのかもしれませんw
実際、コメント欄やSNSではZZZZとか、何を言ってるのかよく分からないなどの意見も散見されましたw私も専門家ではありませんが、自作PCなど20数年、多少の知識くらいはあるつもりですが、感覚的に理解は出来ても100%理解などは出来ませんでしたwですので、この手の内容に普段触れないゲームユーザーからすると、??だったのは仕方ないと思いますw
ですので、ここでは分かりやすく単純に書いていこうと思います。専門的な内容はメジャーな関連メディアで専門家が詳しく書いてらっしゃると思いますのでw
今回の発表で1番時間をかけていたのは、PS5に搭載される爆速のSSDとロード時間、そして内部でいかに効果的かという事と、3Dオーディオに関しての技術解説でした。
SSDは爆速と言える5.5GB/sでPS5が突出
その爆速SSD、容量825GBで転送速度 5.5GB/s、圧縮時8~9GB/s、シークタイムの削減等も含めた転送速度は、PS4の内蔵HDD使用時比で100倍以上と驚異的な速度を実現しています。
KRAKENと名のついたハードウェア圧縮、メインチップ側に専用プロセッサやSRAM搭載などアクセス・スピード向上にかなりのコストをかけてこだわった作りだなと感じました。昨年のWIRED独占記事でSSDによるアクセススピードの速さによるロード時間の短縮がゲームチェンジャーになると言っていた事を思い出します。
Xbox Series Xの内蔵1TB SSDがネイティブ2.4GB/sなので、PS5の内蔵SSDは単純に倍以上も爆速という事です。これは衝撃的な速さで、噂でPS5のSSD速度の方が有利になるのではないかとは聞いていた自分でも、まさかここまで速いとは思ってもみませんでした。私のPCでOSドライブに使っているサムスンのNVMe M2 SSD 960PROでも2.5GB/sくらいなので、本当に驚異的です。
ソニーが昨年からPS5情報を小出しで公開してきましたが、いつもSSDに言及していたその理由が、予想を超えた爆速SSDで明らかになったという事ですね。
CPUはXbox Series Xが300MHzも上回る
そしてCPUですが、噂とおりZEN2 8コアCPUで周波数は3.5GHzでした。インテルCPUで言うところのハイパースレッド(AMDではSMTと呼称)動作時の周波数に関しては何故か「可変」とだけ明記されており未公表でした。
Xbox Series Xが3.8GHzでSMT時は3.6GHzでロック(固定)と公表しているので、おそらくPS5はSMT時で3.3GHzくらい?かと思われます。クロックもマイクロソフトのように固定なのかも不明です。なぜ未公表なのかは分かりませんが、明らかにXBOXより下回るので、そういった印象を発表の場では回避したとしか思えないような。。本当のところは分かりませんけど、数値的にそう感じるくらいの差です。
この事からも、CPUの処理速度はXbox Series Xが大きく優っているという事です。300MHzも違うので、PCのCPUで言えばクロック差は約1グレード以上下のモデル差くらいの差があります。この差はフレームレートなどでは若干の差で出てくるかもしれません。
GPUもXbox Series Xに及ばず。。
そして注目されていた、グラフィックス処理のコアであるGPUの性能。これは32CU(32演算ユニット)を2.23GHzの「可変」クロックで動かして10.28TFlops(以下TFLOPS)である事が分かりました。これもライバルのXboxSeriesXの52CU、1.825GHz(完全な固定)で12.15 TFlopsを大きく下回る性能と言わざるを得ない数値です。
気になるのは、クロック周波数の「可変」です。マイクロソフトの電力や熱によって左右されない完全なロック(固定)とは違い、電力や熱などによって左右される「可変」というのも気になります。つまり、PS5のGPUクロック2.23GHzは常時維持されるわけではないという事です。
当初PS5のGPUスペックは9.2 TFlopsという噂が根強く出ていました。ここからはあくまで推測ですが、噂は当たっていて1桁の9では12のXBOXと比べて劣る印象が否めないので、なんとか2桁の10TFlopsに引き上げてXBOXに対抗させる為にクロックを200MHz上げて可変クロック(ブーストクロック)による10TFlopsにしたのではないかと思いましたが、、考えすぎですかね?w 開発段階で仕様変更はいくらでもありますが、そう考えたくなる経緯が初期のリーク情報からも垣間見えるかな?と思いました。
マーク・サーニー氏は、昨日の動画の中で、TFlopsというワードについて触れており
「テラフロップス(TFlops)はGPUの多様な機能の中で浮動小数点演算という一つの処理能力を測る指標であり、現代では意味があまりなく、TFlopsを目安にするのは危険です。CU(演算ユニット)の数よりもクロックが高いほうが、GPUが持つその他の機能を高い能力で回せるため実効上は優れています。」
と説明していましたが、マーク氏の言いたい事は分かりますが、さすがにGPUの演算ユニット36CUで2.23GHz 10TFlops(PS5)と52CUで1.825GHz 12TFlops(XboxSeriesX)というCU数の物理的な差は埋め難い差なのは事実で、それを意味がないとするのはちょっと暴論ではないでしょうかね、、
メモリー帯域でもXbox Series Xが有利
そしてメモリーですが、GDDR6で16GBはXBOXと同じですが、詳細を見ると256bitで448GB/sでした。XBOXが320bitで560GB/sですので、ここでも能力差が出ています。ただし、XBOXは16GBの内10GBが560GB/sで、残る6GBは336GB/sでその内3.5GBがゲームに使えると分かっています。それでもXBOXがPS5よりメモリー帯域でも優れているのは確かですが、分かれてる事がメリットなのか、デメリットなのかは開発関係者の意見なども聞かないと分からないところです。
拡張ストレージはXBOXの方がお手軽かもしれない
そして拡張ストレージ、これはPS5とXBOXではアプローチが違っていて、XBOXがSeagateと共同開発した独自形状のメインチップと直結した高速拡張スロットに差すメモリーカード的な高速SSDを採用したのに対し、PS5はM2 SSDを利用できるスロットを搭載しているようです。
つまり、PS5は市販品が利用可能なようです。ただしPS5の高速なストレージシステムに見合う性能のSSDであることと、形状も対応することが条件としてあるようで、どの市販M2 SSDが使えるわけではなく、PS5の発売時にソニー側が検証した特定のM2 SSDが使えるとの事。
しかし、速度についてはPS5の内蔵SSDが独自コントローラによって爆速化を実現しているので、同じコントローラを持たない市販品では5.5GB/sを上回る速度が必要との事。正直、条件は厳しく限られた製品しか使えない予感。そもそも現状では(今年末でも)5.5GB/sクラスの製品が安く買える事自体が、全く見えませんw 時間が来年以降と時間が経過すれば価格は下落するでしょうけども、先が見えないですね。。これはソニーの発表を待つしかありません。
この辺りは一長一短ではないでしょうか?つまり、PS5の爆速内蔵SSDの速度に見合う超高速SSDが安く買えるか?という事です。現状はあり得ませんw
その点でPS5ほど爆速ではないが、XboxSeriesXの普通に速い独自形状の1TB SSDの方が価格面でも安そうで現実的ではないかと思えてしまいます。ま、この辺りは実際に製品が出てみないと分かりませんが、速度的な部分、現実的な観点からは明らかにそう感じます。
一方で速度を求めない拡張ストレージとしては、USB接続の外付けストレージも接続可能。こちらはPS4タイトルなどを保存して直接起動できるようです。速さを求める場合、低速な外付けから内蔵の爆速SSDに移動させることも可能との事。ただし、USBスロットの規格は明らかにされていませんでした。XBOXはUSB3.2と発表されています。
興味深いテンペスト3Dオーディオ技術
そしてオーディオ面。ソニーは「テンペスト3Dオーディオ」と称しSSDと同様にかなりの時間を割いて解説していました。
マーク氏曰く、オーディオはゲーミングで大きな進化が見られなかった未開拓の領域で、PS5のテンペスト3Dオーディオエンジンにより革新的な差をもたらすと以下の特徴を挙げました。
本格的なオーディオを誰にでも手軽に。7.1chサラウンドセットアップや高価なサウンドバーのユーザーだけでなく、テレビのスピーカー、ヘッドホンでも体験出来る。
数百個の独立した音源を高度にシミュレートし、2chのステレオや7.2chといったレベルではなく、ゲーム空間内に存在するあらゆる物体について、3D座標を持ったサウンドとして正確に捉えてその場にいるような臨場感のあるサウンドを再現する。
臨場感。例えば雨が降っている場面では、屋外で雨音を録音した音源だけを再生するのではなく、雨粒が空から落下して、様々な物体に当たり複雑に反射する過程をシミュレートし、実際にそこに立って聴いているような感覚を得られる。左右ステレオだけでなく後ろから、上からの音も上から聞こえるかのように。
実際のプレイ環境では、数百もの多数のスピーカーでプレーヤーを覆うことはできないので、3Dオーディオエンジンでシミュレートし、利用できるスピーカー数で仮想的に再現
そしてこの時に利用するのが人間の耳や頭蓋の形状により、音の伝わり方が変わることを数字に置き換えたというHRTF (頭部伝達関数)に言及していました。
人間の耳が左右2つしかないにも関わらず、正確に音の方向、空間認識できる原理を応用し、3DオーディオをHRTFで少ないスピーカーからの音が立体的に聞こえるようになるとしています。HRTF自体は現在市販の仮想サラウンド製品で昔から使われている技術ですが、人によって立体的に聞こえたり聞こえなかったり、経験に差異が生じているのはHRTFが本来は個人、個人の頭部形状や耳の位置と形状の違いから独自に適応させなければならないものを、万人向けの標準HRTF使っていることで体感に差が出てしまうとの事。
PS5ではこの差異を解消するにあたり、当初5種類のHRTFを用意して簡単なテストで、どれが自分の耳に合うか、実際にテストサウンドを聴いて選んでもらう事で、今までの仮想サラウンドがいまいち立体的に聞こえなかった人でもサラウンド感を実感できやすくする効果があるそうです。
複数のパラメータを用意する事で、より万人向けに体感しやすいバーチャルサラウンド体験を確実にするというのは興味深いアプローチだと思います。
マイクロソフトもXboxSeriesXで空間オーディオ専用ハードウェアを搭載
実は、マイクロソフトもドルビー研究所と共同で既にソフトウェアレベルのドルビーアトモスヘッドホンをXboxOneSとXboxOneXで対応させ、ギアーズ5やトゥームレイダーで対応させている上に、プロジェクト・アコースティクスという名で空間オーディオの開発を進めていて、その空間オーディオ専用ハードウェアをXbox Series Xに搭載し、オーディオのレイトレーシングと呼び、それをゲーム開発社会議で講演、発表する予定でした。
ゲーム内空間を実際にその場にいるかの様なリアルな空間表現を実現するには複雑な処理を伴うので負荷もあるようですが、空間オーディオ処理専用のハードウェアを搭載する事で、グラフィック処理の足を引っ張らずにリアルなゲーム内オーディオ空間表現を実現するという事だそうです。
結論
PS5のスペックが明らかになった事で、PS5を簡単に言えば爆速SSD搭載でより快適ゲーミング出来るマシンという感じでしょうか。ただし825GBしかないので、拡張も含めタイトル選択に悩む事になりそうです。。
マシンパワーという点では明らかにXbox Series Xが上回っており、特にCPU、GPU、メモリーでもPS5よりかなり強力で、これは明確な物理的アドバンテージになるでしょう。
とは言え、PS5もXboxSeriesXもゲーム機というレベルを超えた凄く魅力的な次世代ゲーム機であり、両機種には魅力的な独占ソフトが沢山あります。本当にゲームが好きならば両機種とも買って堪能すべきではないでしょうか?それだけの価値と魅力が両機種にはあると断言出来ます。
ですので、自分は今世代同様に両方買いたいと思いますw 🔚
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