市場調査会社TrendForceは昨年、有機EL(OLED)モニターの販売台数が2023年には4倍、2024年には2倍となり、100万台を超えると予測していましたが、同社は最新情報の中で、2024年のOLEDモニターの成長率は前回の予測をはるかに上回り、2023年比で181%増の約144万台に達すると述べています。
サムスンは、QD-OLED(量子ドット有機EL)パネル技術で、OLEDモニター市場で先駆者のLGを抑え込んでリードしているようです。
サムスンは、49インチOLEDモニターの好調な販売と、継続的に新製品をリリースしている事もあり、首位の座を確保すると予想されています。
サムスンに続くのはLG電子、ASUS、DELL、MSI、GIGABYTEの順。 Acer、AOC、Asrock、HP、ソニーなどの小型モニターブランドも最近OLEDモニターを発売しており、今後競争がより激しくなると思われます。つまり、来年以降有機ELの低価格化が進む可能性があり、その相乗効果でOLEDモニターの普及は加速すると思われます。
現在、モニター用に利用可能な主流OLEDパネル技術は、サムスン・ディスプレイのQD-OLEDとLGエレクトロニクスのWOLED(白色有機EL)の韓国勢の2大巨頭。
RGB OLEDを開発したJOLEDは残念ながら、今年初めに倒産。しかし、この第3のパネル技術RGB OLEDはTCLのリーダーシップの下で間もなく復活するかもしれないそうです。
サムスンのQD-OLEDは、LGのWOLEDが480Hzを登場させ、LGが先行すると予想された2024年においても、市場シェアを大幅に拡大しているとの事。
QD-OLEDモニターは、Samsung Displayの積極的な増産体制と、複数の有名ブランドが主力モデルにQD-OLEDモデルを投入している事から、2024年も市場を支配することになると予想されています。
LGは豊富なパネル資源と継続的な製品ライン拡張を活用して、市場シェア19%で2位になると予想されています。
ハイエンド製品に重点を置いているASUSが2024年にOLEDモニター出荷量を大幅に拡大させると指摘しています。 ASUSはデルと僅差で市場3位を争うと予想されています。
一方、MSIは新たな販売チャネルを積極的に拡大、値引き販売などが功を奏した結果、モニター全体の出荷台数が大幅に増加し、全カテゴリーで最も高い成長率を記録したそうです。
MSIのOLEDモニター出荷台数は最も速い速度で増加し、市場シェアは11%に上昇、第5位のブランドとしての地位を確保すると予測されています。一方、ギガバイトは新しいOLEDモデルを発売し、市場シェアは6位になると予測。
トレンドフォースのアナリスト、アニタ・ウォン氏は
“OLEDモニターの出荷台数は2024年に144万台に達すると予測されており、これは前年比で181%の成長になります。
OLEDモニター出荷台数全体に占めるQD-OLEDのシェアは、2023年の53.5%から2024年には73%に上昇すると予想されています。これとは対照的に、LGのWOLEDの市場シェアは26%に低下し、第三のRBG OLEDのシェアはわずか1%にとどまると予想されます。”
と述べています。
サムスンのQD-OLEDの勢い、凄いですね。QD-OLEDは輝度を上げるために偏光フィルターを無くなした弊害で、明るめの部屋では黒がマゼンタ調に見えてしまい、黒も浮きがちに見えてしまう欠点が現状であります。
そんな欠点もなんのその、好調にシェアを伸ばしているようです。サムスンはこの欠点をディスプレイ表面の反射技術で解消すると述べているそうなので、もしかすると2025年1月にラスベガスで開催されるCES 2025(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー2025)でそのマゼンタ染まりの欠点を解消したQD-OLDモニターが展示されるかもしれませんね。そうなるとよりQD-OLEDはシェアを増しそうです。
となると、先駆者のLGがどのような技術で対抗してくるかですね。とりあえず輝度を上げるMLA(マイクロレンズアレイ)技術で輝度的にはQD-OLEDにほぼ追いついた感はあり、後は高輝度時の特に赤と緑の色輝度が維持が課題になりそうです。
一方でTV界ではここ数年、mini LED液晶モデルが高輝度化、分割エリアを増やす事で席巻していますが、来年のTV界はどうなるのかも気になりますね。mini LED液晶を更にプッシュするのか、有機ELも新技術が登場するのか、、このあたりも気になるところです。
我々消費者としては、量産数が増加して競争が激しくなる事で、低価格化が進んでくれるのが一番だと思うので、2025年はそのような段階になってくれる事を願います。🔚
via TrendForce
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