本日、既に日本のメディアでも報道されている通り、デイビッド・グラシュ氏、デイビッド・フレイバー氏、ライアン・グレーブス氏が証人として出席し、UAP公聴会として画期的で歴史的な証言を行いました。
公聴会前に提出されたグラシュ氏とフレイバー氏の冒頭陳述書の日本語訳は既に当ブログで記事に上げていますが、残り1人のグレーブス氏の日本語訳を上げておきます。
【ライアン・グレーブス氏の冒頭陳述書】
東海岸の航空機乗務員たちは、10年近く経った今でも高度なUAPに遭遇し続けており、これらのUAPの正体は不明のままです。
安全なエアロスペースを目指すアメリカ人の航空機乗務員および軍のUAP証人プログラム。
私は行動と答えの必要性を認識し、「Americans for Safe Aerospace」=ASAを設立しました。私が予想していなかったのは、どれだけのUAP退役軍人や民間航空機乗務員の証人が私たちに接触してくるか?ということでした。
組織の設立以来、今までは安全な受け入れプロセスがなかったために、以前はUAPを目撃しても口に出せなかった30人以上のUAP目撃者の避難所となっています。大半のUAP目撃者は公に話したがらないのです。それは、仕事上ネガティブな影響を恐れているのです。彼らは、ただ自分の目撃証言をデータに加えたいだけなのです。
民間航空機パイロット
証人の大半は、大手航空会社の民間パイロットです。多くの場合、彼らは数十年の飛行経験を持つベテランパイロットです。
パイロットは、高度40,000フィート(12,000m)上空でUAPを報告しており、低軌道やカルマン線下のグレーゾーンにいる可能性があり、右旋回や逆行軌道、Jフック(おそらく急旋回)などの不可解な動きを示します。
時々、これらの報告は繰り返され、最近はハワイと北大西洋の北で多数の目撃がありました。
民間航空機パイロットが私たちに話す時、たまに”申し訳ありません、これはクレイジーな事に聞こえるでしょう “というような謝罪で始まります。
私は、何十年もの経験を持つ大手航空会社の信頼性の高い民間パイロットに会ったことがあるが、多くの場合ベテランパイロットです。
彼らは訓練された観測者であり、中には元軍人パイロットもおり、よく見間違えられるスターリンクフレアも理解しており、それではないと断言しています。
その他の領域での軍証人
他の退役軍人たちも、私たちの領空や海域でのUAP遭遇について名乗りを上げています。2023年のNDAA(国防授権法)によって、議会と国防総省の全領域異常解決局(AARO)にUAP遭遇、目撃について名乗り出ることが許可されています。あらゆる退役軍人は、汚名、嘲笑と政府内の混乱したプロセスのために、証言する事をためらっています。
現在、彼らが自分の目撃報告するための一般的な方法はありません。私たちはそのギャップを埋めようとしています。
最も説得力があるのは、複数の目撃者、そしてセンサーシステムによるUAPの観測で、裏付けとなる文書やそれを見つけるためのロードマップが添えられています。
私は、これらの証言は表面をなぞった程度に過ぎず、証言する事への安全が確認されれば、さらに多くの人々が自らの体験を共有することになると信じています。
複数のケースで、指揮系統に同時刻の通知がなされ、いくつかのケースでは、センサーデータが分析のためにエスカレーションされ、データの扱い方に重大な不正があったものもあります。
結論
軍や民間航空機の乗務員から、軍や民間空域で未確認物体が定期的に発生しているという信頼できる報告があります。
国防総省のUAPタスクフォースは、2021年にUAPによるニアミス(異常接近)が11件あったと報告していますが、その数は年々増えていると聞いています。
2022年4月、FAA(アメリカ連邦航空局)は、ウェストバージニア上空の民間航空機がUAPの下で飛行中に複数の動作不具合を起こしたとの警報を運行管理者に発しています。
UAPを取り巻くスティグマ(嘲笑、侮辱)は、この領域認識のギャップの深刻さを損なうものであってはなりません。
もしUAPが外国の無人機(ドローン)であれば、それは国家安全保障上の緊急問題であります。それ以外のものであれば、科学の問題でもあります。いずれにせよ、飛行の安全保全に対する懸念でもあります。
次のステップ
UPの性質と意図を特定し正しく評価するためには、
(1)範囲を決定するための正確な報告
(2)権限を与えられた公平な調査
(3)科学者が研究するために調査結果とデータを公に共有する透明なプロセス
が必要です。
民間航空機パイロットの報告
今日、FAAの規則ではパイロットは民間団体に報告することになっている。UAPを目撃した民間航空機乗務員は、UAPの報告制度がなく、報告した事に対する報復への保護制度がないことに非常に不満を抱いています。
彼らは無線で管制官と、あるいは会社の公式フォーラムで “奇妙な “ことを議論するのをためらっていましたが、最近になってようやく自分たちの間で自由に話すようになりました。彼らは仕事上でのネガティブな影響を恐れており、保護に値します。
民間パイロットにUAP報告がないことは、我々の空域に領域認識のギャップを生み出しています。中国がハワイ付近で高度なUAPを運用し、民間パイロットがそれを日常的に観測していたとしても、今日その点を結びつける方法はありません。
権限を与えられた公平なUAP調査
何十年にもわたる国民や証人に対する不信感を回復する必要がある。
ここ数ヶ月の私の経験では、汚名が払拭され、証人がその報告プロセスへの信頼を深めるにつれて、驚くべき証言が生まれ始めるのです。
国防総省の全領域異常解決局(AARO)は、UAP事件を分析するための中心的な役割を果たすことになっているが、その仕事を完全に遂行するために必要な権限を持たなければなりませんし、目撃者との信頼関係を築かなければなりません。
AARO局長のショーン・カークパトリック博士は、最近のNASA独立研究チームの会合で、既存の航空機のように目に見える揚力や推進力を持たず、マッハ2まで上昇する “金属の球体 “が世界中で目撃されているが、AAROはこれらのUAPを評価するために科学的に校正された機器へのアクセスを必要としていると述べた。
カークパトリック博士はまた、UAP目撃者の証言には“何かある”と指摘しています。
政府は、機密扱いでしか開示されないUAPデータを保有しています。
私が持っているセンサーやビデオデータを誰もが見ることができれば、UAPが国防、情報、科学界にとって最優先事項であることは間違いありません。
私の理解では、2021年以降のすべてのUAPビデオは機密かそれ以上に分類され、アメリカ国民や一部の議員でさえ、私の飛行隊の仲間が録画した「ギンバル」のフルビデオ(既に公開されているより長い完全版があるようです。)のようなUAPビデオを見ることが出来ません。
中国のスパイ気球とNORADのレーダーフィルターの再調整の余波の中で、アメリカ国民はなぜ3機のUAPが民間航空への脅威として数日間に渡って撃墜されたのかを知りたがっています。
彼らは何だったのか?UAPデータが過剰に分類されているために、私たちは答えを得るための真の科学的調査をすることができないのです。
要するに、なぜ私たちは空にある物体、特に高度な技術を示す物体を未確認のまま放置してしているのか?ということです。
私は、科学的な方法とオープンマインドをもって、UAPの性質に関するこれらの疑問を追求すべきだと思います。
最後に、この重要な問題に関して本日リーダーシップを発揮してくれたことに感謝します。アメリカ国民は、我々の空で何が起きているのかを知る資格があります。それは長い間待ったなしだったのです。
ありがとうございました。
以上、元トップガンパイロットだったライアン・グレーブス氏の陳述書の日本語訳でした。
グレーブス氏は、以前に60Minutesに出演し、現役時代の訓練中の制限空域にUAPが数年間、毎日のように出現していた。と驚くべき事実を明かしています。
そして退役後は、UAPと遭遇もしくは目撃した民間航空会社のパイロットや軍パイロットに、体験した事を安全に報告出来る支援活動をしている事からも、グレーブス氏がいかにUAP問題を真剣に捉えているかが分かります。
今回のUAP公聴会開催への道筋をつけたティム・バーチェット議員は、公聴会終了後の会見で「まだ始まったばかりだ。」と述べ、今後も公聴会を行う意思を見せています。
今回の公聴会は今まであまり触れる事がなかった米大手メディアまでも取り上げているので、その点でも大成功と言えるのではないでしょうか、、
今回の公聴会で証言したデイビッド・グラシュ氏は、UAPのリバース・エンジニアリングなど特殊アクセスプログラムの行われている具体的な所在地や名称、更に個人名など情報を提供する用意があるとまで述べています。
国防総省は公聴会の内容を否定していますが、遂に公聴会で具体的な証言がされてしまった事で、否定するにも限界が近くなっているような気がします。
今回のUAP公聴会開催には国防総省、そして情報機関、一部の議員からも反発されたようで、委員会メンバーがUAPの機密データ入手も妨害されたようです。
そんな状況でも公聴会を開催した委員会メンバーの方々にはリスペクトですね。
是非とも、2回目では新たな内部告発者や証人を集めて開催して頂き、国防総省の否定に楔を打ち込んで欲しいところです。🔚
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