7月下旬発売予定とされている、パナソニック ビエラ初となる「マイクロレンズ有機ELパネル」搭載の有機EL 4Kビエラ「MZ2500」ですが、パッとみた感じでは外観はほとんど昨年モデルのLZ2000と変わっていない事もあるので、一体何が変わったのか気になるところです。
私も丁度、今年TVを買い替えようかなと思っていたところに、今年1月CES2023で発表され、5月11日の日本国内で正式発表されてから速攻で「MZ2500」予約注文した事もあり、海外、国内の様々な専門記事など色々読んだ上で、LZ2000から何が変わったのか?現時点で明らかになっている事を簡単にまとめてみました。
ちなみに「マイクロレンズアレイ」有機ELパネル使用したモデルは、供給元メーカーでもあるLGエレクトロニクスの有機ELの上位モデルGシリーズの2023年モデル「LG OLED G3」にも採用されています。
【LZ2000から変わった事 その1】
有機ELパネルが「マイクロレンズアレイ」という技術を採用しピーク輝度が大幅に向上。
「マイクロレンズアレイ」という技術は、有機EL一画素あたりに極小の凸レンズ数千個を並べ、更に有機EL発光面にもそのマイクロレンズの凹凸形状にピタリと合わせて隙間なく一体成形。これで、従来の有機ELパネル内で拡散して行き場を失っていた多くの迷光を全てパネル表面に導き出すという仕組み。これによってピーク輝度が大幅に向上するという構造だそうです。
つまり、電気的な負荷をかけて向上させた訳ではなく、パネルの物理的な構造を見直してピーク輝度を向上させているので、有機ELパネルに過度な負担をかけることなく、より明るい画像を得ているので、焼き付きのリスクも当然低くなります。
どれくらいのピーク輝度が向上をしているのかというと、昨年の一つ下のLZ1800モデル比較で2倍、昨年のハイエンドモデルのLZ2000との比較では50%向上しているようです。パナソニックによると、全白平均輝度(APL)も数割程度向上しているそうです。
しかもただ、明るくなった訳ではないようです。最新のステレオサウンドの記事では、高輝度の部分の階調表現がLZ2000では白飛びしていたのが、MZ2500では輝度が向上したにも関わらず、しっかりと高輝度での階調表現が実現されているようです。
画質設計を担当したパナソニック畠田昌亮氏によると「高平均輝度部分の信号処理を黒の光出しから丁寧に見直し、分解能をいかに上げるかにこだわった。」との事。これにより、従来では表示出来なかった表現領域を表示出来るようになったという事です。
パナソニックによると、LZ2000とMZ2500を横並びで比べると、明るさの違いは一目瞭然で、「黒が締まりつつ、低階調の暗部の見え方にも注意し、かつピークは出ているので、見通しの良いクリアでより鮮やかな映像になっている。」との事です。
1月に開催されたCES2023での比較写真はAV ForumYOUTUBEチャンネルにパナソニックブースレポートの動画が公開されていて、LZ2000とMZ2500の比較デモの映像が出ていました。
【LZ2000から変わった事 その2】
新たにメタル放熱シートが追加、デュアルメタルヒートレス構造で放熱対策を強化
LZ2000で採用された、独自素材を用いた貼り付け構造と、バックカバー一体型放熱プレートに加えて、MZ2500では新たに有機EL発光層の直下にメタル放熱シートを加えることで、高輝度化によるパネルの放熱対策を更に強化しているそうです。パナソニックでは「デュアルメタルヒートレス構造」と呼称しています。
パナソニックによると、このメタル放熱シートは、同世代の他社のパネル(おそらくLG OLED G3)にはない構造との事です。
この事からも、パネルの放熱対策は万全と言えそうです。海外のレビューで、LG G3のABL(自動輝度リミッター)がアグレッシブに動作するようで、ゲームモード比較ではサムスンの第二世代QD-OLEDパネル採用のS95Cより輝度が低下するというレポートがあります。
となると、あくまで推測に過ぎませんが、前述の通り有機EL発光層直下にメタルシートを加えて、パネル放熱対策を強化したMZ2500は、同じ「マイクロレンズアレイ」パネルでも、ABLの動作はG3より抑えられている可能性もあります。これはあくまでも推測ですが。。
【LZ2000から変わった事 その3】
ブライトネス・ブースターも「マイクロレンズ有機ELパネル」に合わせてチューニング
発光管理の「ブライトネス・ブースター」も、MZ2500の「マイクロレンズ有機ELパネル」に合わせて最適化されているそうです。
【LZ2000から変わった事 その4】
「ヘキサクロマドライブプラス」も新たに最適化
「ヘキサクロマドライブプラス」も2023年モデルでは、色ごとの特徴を検出し補正を最適化することで、従来は色が濃すぎて階調が飽和していた映像も、鮮やかさを保ったまま階調を表現可能になり、また鮮やかさに欠けた映像も、階調を保ったまま、より鮮やかな色が表現できるように進化しているそうです。
【LZ2000から変わった事 その5】
環境光センサーに連動した自動画質調整が進化
MZ2500では、環境光センサーに連動した自動画質調整が進化しているようで、より幅広い部屋の光環境に対応しています。これにより、日中などの明るい部屋でも、暗い映像の暗部のディテールまでしっかりと再現され、まるで映画館のような暗い部屋で見ているかのように、わずかな光のディテールまで感じられる映像を楽しめるとの事です。
【LZ2000から変わった事 その6】
サウンド品質が向上。
昨年モデルのLZ2000では、上方向に放射されるイネーブルド・スピーカー2個、左右方向のワイドスピーカー2個、背面にサブウーファー1個、そして正面のTV画面下には65インチで16個、55インチは14個のマルチアレイスピーカー構成で、合計20スピーカー以上(55インチは19個、65インチは21個)で160W駆動(55インチは150W)という、TVとしてはおそらくこれ以上ない贅沢仕様になっていました。
最新のステレオサウンドの記事によると、今年2023年モデルのMZ2500シリーズでは、ハードウェアは同じものの、より丁寧な音場デザインがされ、各チャンネルの分離感が向上し、より広がりが感じられ、マルチアレイスピーカーによるダイアローグの鮮明さも向上しているようです。
What Hi Fiの記事では、『MZ2500』でフロントマルチアレイスピーカーの配列を見直し、より広いサウンドステージに、そしてスピーカーの制御アルゴリズムも見直して音の定位を改善し、部屋中が音に包み込まれるような臨場感を実現しているそうです。他にもパナソニックが“低域の改善を約束した”という2023年1月時点での記事もありました。
【LZ2000から変わった事 その7】
nVIDIA G-Sync Compatibleに対応
LZ2000では、対応していなかったNVIDIA G-Sync CompatibleにMZ2500は対応しています。グラフィックボードからの映像信号に同期することで、操作時のズレ(ティアリング)やカクツキがない滑らかな映像を実現します。
【LZ2000から変わった事 その8】
ゲームプロ(True Game Mode)モードが追加
シネマプロモードのゲーム版とも言えるモードで、ゲームプロモードが新たに追加。プロ向けのゲーム用映像調整アプリとツールで有名な「Calman」に対応した専用の映像モードが搭載されます。ゲーム映像をマニアックに厳密に好みの画質に調整可能なモード。
【LZ2000から変わった事 その9】
Dolby Vision Gamingに対応(ただし、4K 60pまで)
MZ2500で新たに最新のゲーム映像に使用されているHDR規格Dolby Visionに対応したモードが追加されています。しかし、残念ながら 4K 120pには対応していません。
あとは、余談ですが、先日欧州のベルリンでパナソニックが2023年のビエララインナップを正式発表したようで、そこでパナソニックがアクティビジョン・ブリザード提携し、ビエラが「ディアブロ Ⅳ」の公式TVパートナーになった事が発表されています。
大まかですが、LZ2000から進化した部分を上げてみました。一見見た目はほとんど変わらないのですが、中身は大きく進化し、映像も音もソフトウェア面でも大きく進化しているようです。
パナソニックは『MZ2500』の55インチモデル購入者に3万円、65インチモデル購入者には5万円のキャッシュバック・キャンペーンを行います。
2023年5月11日(木)~2023年8月31日(木)までに『MZ2500』をパナソニック家電製品正規取扱店で購入し、2023年7月21日(金)~2023年10月2日(月)16時59分までに応募した方が対象となります。当然ですが、キャンペーンの応募は、キャンペーン期間中に一人につき一回限りとなります。ですので、キャッシュバックを狙いたい方は、8月31日までにパナソニック家電製品正規取扱店で購入しましょう。
ですので、キャッシュバックを考慮すると、55インチで実質約33万円、65インチで約46万円程度で買える事になります。(2023年6月21日時点)
『MZ2500』は、「マイクロレンズアレイ有機EL」パネル採用に20スピーカーを超える360度立体音響システムなど、内容を考えると、競合製品と比べると明らかにお安い価格なのは確かで、今回は相当にパナソニックは攻めているな、、という印象です。
7月下旬以降にMZ2500実機が我が家に到着しましたら、簡易レポートもしたいと思います。🔚
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