面白い作品なのに、なぜか未だにブルーレイ化されない作品、結構あるんですよね。権利関係が複雑なのか、大手が国内権利を抑えていて、そのままになっているとか、見落とされているとか、権利が高くて採算が合わないからなどなど、、色々と裏事情はあるんでしょうけど、、
個人的に「面白い作品なのにブルーレイ化されていない」と感じる作品を、徐々に取り上げていきたいと思います。
当ブログで取り上げた作品が、面白いと思うかどうかは人それぞれなので、当ブログで言う「面白い作品」は、あくまでも私が見て面白いと思った作品を取り上げていますので、その点をご理解ください。
無数に存在する映画には、DVD化すらされず、酷い場合はビデオテープのみという作品すらあります。ほとんどは60年代〜90年代の作品が多いですが、この年代の作品群は本当に面白い作品が多く、カルト的な人気を博している作品も多々あります。
海外ではリリースされていても、日本ではリリースなしというパターンが特に多いですね。。
もちろん、他の年代でもそういった作品はありますが、特に70〜90年代はその密度が濃いのではないかなと思います。
今回取り上げたいなと思ったのが、「殺しのベストセラー」です。
1987年に製作された作品で、監督は「ローリング・サンダー」、「摩天楼ブルース」のジョン・フリン監督。脚本はラリー・コーエン(「悪魔の赤ちゃん」では監督)です。
冷酷非情な敏腕殺し屋クリーブを演じるのは、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」、「サルバドル/ 遙かなる日々」、「ビデオドローム」で知られるジェームズ・ウッズ。ここ2006年には、TVドラマ「シャーク:カリスマ凄腕検察官」で敏腕弁護士も演じています。
警官で作家でもあるデニスを演じるのはブライアン・デネヒー。「ランボー」1作目でランボーに厳しく対応する保安官、「F/X引き裂かれたトリック」「推定無罪」「ブルー・ヒート」などが有名ですね。ブライアン・デネヒーは、残念ながら2020年4月にお亡くなりになっています。
クリーブの元ボスのマドロック役には、ポール・シェナール(スカーフェイス、ゴリラ、グラン・ブルー)が演じており、キャスティングも素晴らしい作品です。ポール・シェナールは1989年に53歳の若さで亡くなっています。
「殺しのベストセラー」のストーリーは、
“1972年、 ロサンゼルス警察の証拠物件保管所が、覆面をした複数の男らに襲撃され、大金が強奪された。その際、警備をしていた警官3人は射殺され、幸い奇跡的に生き残ったのがデニス・ミーチャム (ブライアン・デネヒー) ただ一人。
事件は手がかりもなく迷宮入り。 そして15年後、、ベストセラー作家となっていたデニスも、 本業の刑事と作家の両立や、妻の病死、アイデア不足でスランプに陥り、 一人娘とのコミュニケーションにも苦労していた。
ある日、ある事件のおとり捜査をしていたデニスは、犯人を追跡中に突然現れたクリーブ(ジェームズ・ ウッズ)という男に命を狙われる。
彼はかつて暗黒街のドンに雇われていた敏腕殺し屋で、自分をモデルにした自伝的な小説を書く事を条件に、元ボスを逮捕出来る秘密を暴露するという条件をオファーしてきた。
作家としてもスランプ気味だったデニスは渋々だが、興味を持ち殺し屋クリーブのオファーを引き受けるが、クリーブと一緒にクリーブ自身の過去を辿る取材活動中に、クリーブが15年前のロス警察証拠保管所強奪事件の犯人の1人だった事が判明する。。
犯罪都市ロスを舞台に、 作家としての顔も持つ警官が、かつて同僚を殺した犯人と暗黒街のドンに挑む。 警官でもありベストセラー作家でもあるデニスをブライアン・デネヒー、 冷酷非情な敏腕殺し屋にジェームズ・ウッズが扮し、 ベテラン俳優が競演するハードボイルド・バイオレンス・アクション。”
というストーリー。本作は、日本では劇場未公開となったハードボイルド・サスペンス作品で、特に若い世代にはほとんど知られていない作品だと思います。
敏腕殺し屋がかつて働いていた、元ボスへの復讐をネタに交わるはずのない殺し屋と刑事が、取材活動の過程で2人の間に奇妙な友情が芽生えていくという展開が非常に面白いのです。
刑事と行動を共にしているうちに、次第に感情を見せ始め好意すら持つ冷酷非情な殺し屋クリーブ(ジェームズ・ウッズ)、そしてそのクリーブに激しい怒りを感じつつも、特ダネのためと割り切っているうちに、何処か同情する感情を持ち始める刑事作家のデニス(ブライアン・デネヒー)
素晴らしい役者が演じたからこそ、この作品の格が上がっているとも言えます。特にデニス(ブライアン・デネヒー)とクリーブ(ジェームズ・ウッズ)2人が取材活動を行なっていく映画の根幹となるシーンは、正に名優同士ならでは演技。
更に監督ジョン・フリンの手腕、ラリー・コーエンの脚本の出来も良いからでしょうね。2人の個性がしっかり描写されていて、ストーリーに引き込まれます。
相反する男2人の奇妙な友情物語とも言えます。結末も良い意味でしっかりまとまっており、観て損はない隠れた秀作だと思います。
辛口批評で有名だった評論家ロジャー・エバート氏は、
“『殺しのベストセラー』の問題は、筋書きが軽い、本当に軽いのだ。ベストセラー作家になった刑事と、話したがっている殺し屋という独創的な着想があるだけで、その中心には説得力のあるストーリーはない。”
と厳しい評価ですが、一方で他のメディア評価は
「1980年代映画で、最もエッジの効いたサスペンス・スリラーの1作。ジェームズ・ウッズもブライアン・デネヒーも素晴らしい。」
「ノックアウトされた。強烈で想像力豊かで刺激的なマルチレイヤー・スリラーだ。ウッズもデネヒーも抜群に素晴らしい。80年代の知られざる名作映画の1作と言える。」
「この“ベストセラー”は素晴らしい読み物だ。巧妙で、緊張感があり、そして非常に魅力的な作品だ。ウッズとデネヒーは、正に型破りな犯罪捜査の異色コンビである。」
ロッテントマトのスーパーレビュアー評では、
“「殺しのベストセラー」は、強力なキャストと、ジョン・フリン監督による素晴らしい演出が、見事なまでに練り上げられたドラマチック・スリラーで、最初から最後までよく構成された映画だ。プロットは非常に魅力的で、最後まで釘付けにされる。ジェームズ・ウッズの演技だけでも、この映画を見る価値がある。もちろん、この映画はもっと良くなる可能性があり、いくつかの部分で平坦になることもある。しかし、ほとんどの場合、「殺しのベストセラー」は2人の傑出した俳優の最高の演技を見せてくれる非常に良い作品である。
デネヒーが、作家としての自分と刑事としての自分を両立させようとする役柄にもたらした葛藤が、とても素晴らしい。「殺しのベストセラー」には欠点もあるが、非常に優れた脚本のおかげで、その欠点を克服し、非常に印象的な作品にしている。
1980年代後半のドラマティック・スリラーの中では、最も優れた作品のひとつで、チェックする価値のある映画であり、間違いなく批評家の評価が間違っていたと言える。名優2人の演技が大変素晴らしく、それがこの作品を他の同クラスの作品より際立たせている。”
など、、特に「80年代の過小評価された秀作の1本」という意見も多いようです。
個人的には、終盤の展開で一つ疑問に感じた点はありますが、ネタバレになるのでここではあまり言及しませんが、これは考え方によっては納得出来る展開でもあるので、なんだかんだでジョン・フリン監督の最高傑作と言っても良いと思います。
海外では本作のファンがいるようで、ジェームズ・ウッズ演じる敏腕殺し屋クリーブのキル・カウント動画まで作られていますw こうやって見ると、かなりの人数を殺めていますw まだ映画をご覧になっていない方は、この動画はご覧にならない方が良いかと思いますw
「殺しのベストセラー」は、日本ではDVD化はされているものの、ブルーレイ盤はまだ発売していません。海外ではかなり前に既にブルーレイが発売されています。米国盤とスペイン盤が存在しているようです。
日本での「殺しのベストセラー」のDVDは、既に廃盤になっているようで、アマゾンではDVDが中古であれば、900円台から出品されているようです。新品は3000円台〜と若干のプレミア価格になっています。
今回、記事を書くにあたって久々にDVDを鑑賞しましたが、やはり傑作だという自分の印象は変わらずです。素晴らしいサスペンス・スリラー作品だと思います。
まだご覧になられていない方は、是非見て頂きたい作品です。ジェームズ・ウッズ、ブライアン・デネヒーがお好きという方なら、尚更にオススメな作品です。
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