【ネタバレ注意】「 ベター・コール・ソウル 」シーズン6 第10話の脚本家、ジーンがソウル・グッドマンになりきれない理由、ジェフの母親マリオンの重要性などについて語る。

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以下の文章には、「ベター・コール・ソウル」シーズン6 第10話のネタバレが多く含まれています。まだご覧になっていない方はご注意ください。念のために、行間を空けておきます。

                   

                     

                      

                       

                       

                    

                    

                 

                      

                         

                      

                     

                    

                       

                    

                    

                    

「ベターコールソウル」シーズン6の第10話「Nippy(迷子の犬)」を執筆した脚本家アリソン・タトロックさんが、ジーン・タカヴィック(ソウル・グッドマン)初のフル・エピソードの執筆について、マリオン(キャロル・バーネット)がストーリー上で重要な理由、ジーンがソウル・グッドマンになりきれない理由、番組の事について、AMCのインタビューで詳細に語っています。一部、重要な箇所を抜粋して日本語訳でご紹介したいと思います。

「ベターコールソウル」シリーズで初のジーン・タカヴィックのフルエピソード製作になった事についてタトロックさんは、以下のように述べています。

“ 1時間全てモノクロで撮影することの美しさと奇妙さが、この作品の面白さのひとつです。さらに、素晴らしいゲスト・キャストにも恵まれました。

このエピソードを書くにあたって怖かったことのひとつは、いつもいる素晴らしい脇役たちがいないことでした。ピーター(グールド)は、まるで新しいシリーズを始めるようだと言っていましたが、幸いなことに、まだ主役(ソウル=ボブ・オデンカーク)がいます。

でもそれ以外は、文脈もトーンも違います。音楽のデイヴ・ポーターは、異なるスコアを作成したので、音楽の美学も異なっているように感じられます。そういう意味では、クリエイティブな挑戦でしたね。

ジーンは今まで、各シーズン第1話の冒頭だけに登場し、通常はピーター・グールドが執筆しています。ですので、ジーンというキャラクターと今回一緒に生活するのは楽しかったし、初めて彼に会うのはエキサイティングでした。

私にとっては別の種類の挑戦でもあったし、「ブレイキングバッド」の前日譚であるこの番組が、突然にその続編になるというのは、パラダイム・シフトでした。”

今まで描かれているジーン(ソウル)は、いつも正体がバレるのではないかとビクビクとし臆病で、なんとも情けないシーンもありましたが、今回の6−10のジーンはどこか強くて自信に満ち溢れています。これまでとは違うジーンの姿を、どのように表現したのかという質問には、

“このエピソード(シーズン6−10)の楽しい挑戦の一部は、ジーン・タカヴィックの中のソウル・グッドマンを見つけることでした。前回ジーンが登場したシーズン5の冒頭で、ジーンはジェフに強要されてTV CMの再現を演じてしまいました。

そしてジーンは2度目の夜逃げを決意し、夜逃げ屋のエドに再び電話をかけ、2回目の夜逃げの依頼をします。しかし、ジーンはそこで考え直し、「自分でなんとかする」と電話を切りました。

そして、その後のジーンを具現化する必要があったのです。撮影現場では、彼がモールを歩くシーンを撮影するときに、それが具体的かつ物理的に起こりました。

主人公のボブ・オデンカークとミシェル・マクラーレン(素晴らしい監督)は、ソウルらしさへの進化に非常に具体的なダイヤルを合わせてくれました。言い換えれば、これは自信を表す記号のようなもので、有能な詐欺師として彼の自信が戻ってきていて、モールを歩くときに、彼の骨や血の中に実際に戻っていました。

あのシーンを見れば、それがわかるでしょう。彼が自信を取り戻すと、足取りが軽やかになり時折、微妙な笑みを浮かべることもあります。彼は楽に動けるようになり、エピソードの終わりには、シナボンでの仕事を少し楽しんでいるようにさえ見えます。ジーンの世界全体が、以前のように陰鬱で恐ろしいものにはもう見えないのです。”

そして、キャロル・バーネットが演じる、ジェフの母親のマリオンについては以下のように述べています。

“キャロル・バーネットと一緒に仕事ができたことは、とても光栄なことでした。私も含め、撮影現場の全員が彼女に憧れていて、彼女はこれ以上ないほど素晴らしい協力者でした。

彼女は役柄が素晴らしいだけでなく、私たちがやっていることすべてに楽しくて温かいエネルギーを与えてくれました。キャロルとボブ・オデンカークの相性は抜群でした。

そして、彼女は女性チームの一員であることが好きだったようです。彼女は、女性監督、女性脚本家、女性AD、女性トップ・プロデューサーのチームと仕事をしたことがないと何度も言っていました。

キッチンでマリオンとジーンがおしゃべりしているところに、息子のジェフが入ってくるシーンは、私がこれまでテレビのために書いてきた作品の中で、最も好きなシーンのひとつです。

脚本を書いていてとても楽しかったし、撮影現場でもとても嬉しかったのです。あるシーンを書いて、それがある種のリズムを持ち、ある種の掛け合いがあって、頭の中でそれをイメージしたとしても、実際に撮影現場に行くと、何らかの理由でそれがうまくいかなかったり、俳優たちが私がイメージしたのと同じように、感じてはくれなかったりすることがあるのです。

しかし、今回はそうではありませんでした。今回は私が想像していたものより10倍よかったです。二人は本当に素晴らしかった。ボブもキャロルも、私のイメージをよく理解してくれ、本当に楽しそうに演じていました。”

そして、シーズン4、5でジェフを演じたドン・ハーヴェイに代わって、今回新たにジェフを演じているパット・ヒーリーも最高でした。この3人の関係は、とても奇妙で素晴らしいものでした。

私がイメージして書いたものが、それ以上に現実のものとなっていくのを見るのは、本当に楽しいことでした。私はこの作品をずっと忘れずに覚えているでしょうね。

                

今回の6−10では、ジーンはジェフに接近するのに「愛犬ニッピー」を探すという嘘を作り上げ、ジェフの母親のマリオン(キャロル・バーネット)に接近しました。なぜ彼は、これがジェフに近づく最善の方法だと思ったのか?という質問について

“マリオンなしでは、ジーンは影響力がなかったからです。直接 脅したり誘惑したりしないのが、マフィア流の手口でしょう?相手の家族や恋人といつでも接触できることを示すためで、これは「暗黙の了解」なのです。

ジーンは、はっきりと言う必要はありませんが、ジェフが知っているジーンは危険な人物、非常に怖くて危険で強力な闇社会の人間と関係している人物が、あなたのお母さんと台所のテーブルに座っているとしたら、、それは「暗黙の脅し」なのです。

しかし、ジーンは純粋にマリオンのことが好きなようで、二人のつながりはソウル・グッドマン的な興味深いもので、両方のことが同時に成立しているんです。一方では、ジェフを操るためにマリオンを利用し、一方では彼女を本当に好きなのかもしれないのです。”

今シーズンは、既に「ブレイキング・バッド」の主人公である、ウォルターとジェシーが登場することが約束されています。

そして、今回のエピソードでジーンらが強盗のリハーサルを雪原で行っている時に、ジーンが「高校の化学の先生」に言及しており、おそらくこれまでで最もあからさまにウォルター・ホワイトについて言及しています。このセリフについては、どういった意図があるのかについては

“これはこのエピソードが重要だと考えているという事実と、物語の中で「ブレイキング・バッド」の時代に向かっているという事実を視聴者に伝えるためです。”

と述べています。これは非常に興味深い発言ですね。。そして次回6−11のエピソードタイトルが、「ブレイキング・バッド」。これはもう、間違いなく次回の6−11でウォルターとジェシーが登場すると見て間違いないでしょう。

そして、エピソードの最後、ジェフの脅威を排除した成功の余韻に浸りながら、ジーンはいかにもソウル・グッドマンらしい派手なシャツとネクタイを手に取り、少しを笑みを浮かべています。

この時、ジーンはついにソウルに戻った気分なのか?そしてなぜ彼は最終的にその衝動に負けず、立ち去ったと思いますか?という質問に

“私は、彼は絶対にそうだと思います。彼はこのエピソードを通して、昔のソウル・グッドマンの呪縛を感じ、それが彼に完全な取引を望み、かつて彼がとても喜びを感じていたように自信に満ちた、華やかなショーマンであることを望んでいるのです。

しかし、彼はそれが危険であることを知っています。まだ準備が整っていないことも、特にさっきのようなことをやってのけた後、一番やってはいけないことは、自分自身にあれだけの注意を引くことだ、と分かっているのです。

だから、過去の恋人への憧れに近いものがあるんです。それは、彼が今完全に実現することができない、自分自身のこの部分なのです。でも、そこに一瞬のつながりがあって、それから彼は無理やり立ち去ろうとするんです。あの最後の瞬間は、ちょっと切ないですね。

そして、「ベターコールソウル」最終シーズンの仕事を終えた今、以下のように語っています。

“ベターコールソウルは、信じられないような仕事でした。私がテレビの世界に入ったばかりの頃、ある人に言われたことをピーターグールドに話したと思います。

それは「素晴らしい番組と素晴らしい仕事があり、その両方に携わることができれば、金メダルだ」と。この番組はその両方でした。素晴らしい番組で素晴らしい仕事でした。そして、脚本を書くのがとても楽しかったですね。

野心的で綿密な映像制作。ビジュアル・ストーリーテリングと、テレビというメディアをいかにクリエイティブに使うかについて多くを学びました。

そして、とても頭が良くて寛大で、協力的で陽気な、最高の人たちと一緒に仕事する事が出来ました。もう二度とこのような事はできないかもしれないし、それは分かっています。

しかし、私はこの番組を本当に誇りに思っています。”


さすが脚本家ならではの詳細なお話で、より深くドラマを楽しめるガイドになっていました。

そして、タトロックさんが言うように、どうやら残り3エピソードは、「ブレイキングバッド」の時系列になりそうな内容らしいので、非常に充実した残り3話となりそうです。

via AMC.com

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