「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」が中国で公開されなかったのは、ソニーが自由の女神が登場するシーンを、中国当局が削除するよう要請したのを拒否したからのようです。
中国では、中国共産党(CCP)宣伝部傘下の中国電影管理局が映画を審査、検閲しています。Puckに語った複数の情報筋によると、中国当局は当初ソニーとマーベル・スタジオに対し、映画で大きく登場するアメリカのランドマークである「自由の女神」のシーンを全て削除するよう求めていたそうです。
しかし、中国の規制当局は、アクション満載の場面を削除するという当初の要求を修正、代わりに、トム・ホランド演じるスパイダーマンが自由の女神の冠の上に立つシーンなどが、あまりにも「愛国的(Patriotic)」とみなされるので、そのシーンの削除を要求していたと報じられています。
『スパイダーマン:No Way Home』を見た人ならご存じの通り、クライマックスのアクションシーンはすべて、スパイダーマンのトリオが自由の女神の上や周りをスウィングしながら敵と壮大な戦いが行われます。
さらに、マーベル映画では「自由の女神像」がより大きな役割を担っている事もあり、中国の削除要求は、無理難題でもあったわけです。
ソニーは最終的にこの要求を拒否し、その結果、世界最大の映画市場である中国でスパイダーマン最新作の公開がなくなったのです。報道によれば、この公開で1億7,000万ドル(約220億円)から3億4,000万ドル(約443億円)の売上を失う可能性があるとのこと。
「スパイダーマン」新3部作の第1作目『スパイダーマン:ホームカミング』は、2017年に中国で約1億1700万ドル(世界収益の13.3%)を、その続編である2019年の「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」は、約2億490万ドル(世界収益の18.25%)を稼ぎ出している事から、ソニーにとっては痛手ではあります。
しかし、「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」は世界最大の映画市場でもある中国で公開されなかったにもかかわらず、「アバター」、「タイタニック」、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」などの大ヒット作に次ぐ歴代最高の興行収入を記録しています。
ハリウッドが世界最大の中国市場での売上を失うのを恐れて、中国の要求に屈して中国に配慮した修正などを行なっている流れからすれば、ソニーの中国当局からの要求拒否は、映画の設定上、無理な要求から拒否したものとは言え、賞賛に値する事だと思います。
この機会をきっかけに、流れを変えてほしいものです。🔚
via Puck, Yahoo!News USA
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