【DF】PC版Horizon Zero Dawnは不具合が完全に直ったのか?

今春「Days Gone」を皮切りに、プレイステーションの独占タイトルが続々とPCに登場することが発表されたことで、ソニーの傑作独占タイトル群をPC版で最高品質、高フレームレートでのプレイが非常に楽しみではありますが、ソニーが初めて本格的なPC版移植に挑んだトリプルAタイトルの傑作「Horizon Zero Dawn」ば発売当初、スパイク状に出現するスタッター、頻発するグラフィック・エフェクト関連のバグ、環境によっては多発するクラッシュなど問題が山積みで、STEAMのレビューも発売事は紛糾していました。

しかし、頻繁にパッチがリリースされて半年が経過した今、個人的にプレイもしていて感じたのは、かなり改善されたと言えます。とは言え、まだ完璧ではありませんが、開発の「ゲリラ・ゲームズ」はユーザーからのフィードバックを受けて多くの問題を丹念に修正し、いくつかの場面ではパフォーマンスを劇的に向上させてきました。

ゲームを起動直後でも明らかな違いが分かります。デジタルファウンドリによると、発売当初は4K解像度で起動すると、Horizonは内部的に正しい解像度でレンダリングされた後、1080P(1920x1080P)にダウンスケールされ、その後2160P(3840x2160P)にアップスケールされていましたが、これは修正されたようです。

後、以前はイライラするくらい時間がかかっていた起動当初のシェーダーコンパイルが、起動画面上に移行しバックグラウンドで実行されるようになったため、実行中に設定画面を表示したり、ゲームを開始したりすることができるようになりました。しかし、デジタルファウンドリは、シェーダーのキャッシュ処理が完了するまで待つことをオススメするとしています。

結局のところ、シェーダーコンパイルが終わるまで起動画面が出ずに、延々と処理画面で待たされるという事はなくなりましたが、結局のところ「完了するまで待った方が良い」という事からも、この部分に関しては時間を食うという点では変わっていません。

メニュー自体はほとんど変わりませんが、様々なV-syncオプションも適切に動作するようになったようで、ゲーム起動時のボーダーレスウィンドウモードのような大幅なパフォーマンス低下はないようです。異方性フィルタリングもリリース時には壊れていて、オプションから選んでも動作せず、ディテールを改善するためにはnVIDIAのコントロールパネルから調整する必要がありましたが、現在は本来の機能を果たしています。

これは当たり前のことですが、完全に修正されたことは大変に喜ばしいことです。ダイナミック・レゾリューション・スケーリング(DRS)についても同様で、発売当初はRTX 2080 Tiで4K、ウルトラを実行すると、対象となるシーンが54fpsで動作していました。そのため、DRSでは60fpsにするために解像度をわずかに下げるだけでよいはずなのですが、なんと解像度が1080Pに下がっていました。

現在は修正されており、60fpsのような固定フレームレートで動作させたい場合はDRSを有効にすることを推奨するとの事。AMDのFidelityFXコントラスト適応型シャープネス(CAS)もメニューシステムに追加されています。これは単なるシャープネスフィルターですが、低解像度でTAAアンチエイリアシングを使用しているときにメリハリ感を上げたい人には良い拡張機能との事。

DFによると、発売当初はSSAO(スクリーン・スペース・アンビエント・オクルージョン)にバグがあったようで、高解像度で高品質の設定を使用すると、シェーディング効果が小さくなってしまうようです。これは最新のパッチ1.10でも変わらないようで、「中」程度の設定、テクスチャの品質についても「中」を推奨するとしています。

更に、ローンチ版と同じように、高い設定にするとLOD(レベル・オブ・ディテイル)バイアスが調整されるだけで、遠方のディテールがより強調されるものの、多くのテクスチャディテールが少ないピクセル数で占める事になるため、好ましくないエイリアシング効果が発生する危険性があるようです。

発売当初、PC版に追加された地面の草木のアニメーションは、ゲームの残りの部分をアンロックすると30fpsでしか動作しませんでしたが、これは修正されているとの事。また、主人公アロイの髪の毛のアニメーションなど、その他の関連する30fpsの問題も修正されているようです。

フレームレートに関連する別の問題として、60fpsでのカットシーンで全体的に不自然さがありましたが、本作は30fps固定のアップデートを前提に設計されているようです。

カメラカットの際、キャラクターが別の位置にワープするように見えることがありましたが、これもなくなりました。しかし、新たな現象が発生しているようです。ゲーム世界の他の部分が更新され続けているときに、シーン移行時にキャラクターがフリーズするという現象です。これは大きな問題ではないようですが、実際に発生しており目につくとの事。とは言っても、以前のワープするかのような明らかにおかしな現象よりは、改善されているとの事です。

ゲーム内の問題については、最悪の問題であるカメラカット時や移行時、あるいはUI関連が表示された際のスタッターは改善されましたが、まだ完全ではありません。スタッターはかなり軽減されましたが、UIに新しいメッセージが表示される際には、問題がまだあるようです。

DFによると、これはフレームタイムのスタッターではなく別の問題のようです。しかし、発売時バージョンで多く観られた一瞬のつっかえるようなプチフリーズ現象に比べれば、それほど気にならないとは言えます。

発売当初はグラフィック関連の問題と同時に、パフォーマンスも大きな問題でした。DFによると、特に10シリーズのPascalアーキテクチャを採用したnVIDIA GPUはパフォーマンス面でも問題を抱え、GTX 1060では性能がはるかに劣るPlayStation 4のGPUよりもパフォーマンスが劣る部分があったようです。GTX1060に最も近い性能のAMD Radeon RX 580は、GTX1060より良いパフォーマンスでしたが、6TFを超えるGPU性能を持ってしても、1.84TFのPS4のGPUの性能を常時2倍にすることは出来なかったようです。しかし、最近開発スタジオのゲリラ・ゲームズが最適化したのか、nVIDIAのグラフィックカード・ドライバーが改良されたのか、あるいはその両方なのかはともかく、GTX 1060の性能大きく向上しているようです。ベンチマークでは、パフォーマンスが65%向上し、しゃっくりの様に起きるスタッターも大幅に減少しているようです。

自分もRTX 3090でプレイして、ここ最近2回前のパッチあたりからパフォーマンスが目に見えて改善し、フレームレートが高く安定しスタッターも激減しており、エフェクト関連のバグも頻度がほぼなくなり、非常に快適にプレイできています。

DFによると、AMD RX 580では、大きな違いはあまり見られなかったようです。ベンチマークでは、全体的なパフォーマンスは同じで、ゲームの最初のカットシーンでは全体的なフレームレートが向上、最適化によりスタッターが大幅になくなるなど、興味深い改善が見られたようです。がしかし、ゲームが進行すると発売時の悪いパフォーマンスに戻ってしまうようです。

GTX 1060では引き続き大きな改善を実現しているようです。実際、nVIDIA GTX 1060とAMD RX 580 GPUのパフォーマンス結果を並べてみると、ゲームでは通常どちらかのGPUがリードすることが多い中、両者のパフォーマンスは非常に拮抗しているとの事です。DFは、AMDのGCNアーキテクチャーがコンソール中心のタイトルでは優位と予想していたようで、逆にこれはむしろ興味深い結果だったようです。

このHorizon Zero DawnのPC版の発売からの経緯を見るに、今後ソニーのゲームがPC版で発売された際、このような問題は正直勘弁してほしいなと思うところです。

PC版「Horizon Zero Dawn」は発売当初から大幅に改善はされているので、結果的にはPC版として悪い出来ではありませんが、特に素晴らしく飛び抜けて優れているというわけでもないという印象です。カットシーンのアニメーションのパフォーマンスダウンや、アニメーションの再生時のスタッタなど、いくつかの問題はまだ残っており、DFは「ソニーゲームのPC版はコンソール版に比べて、ハードウェアの性能差を考慮すると、全体的にパフォーマンスが低いという印象を感じている。」としています。

DFは、低品質の異方性フィルタリングと1080pの中途半端な画質でコンソール版(PS4)に合わせた画質設定でも、PS4の3倍近い性能を誇るはずのRX 580やGTX 1060のようなGPUでは、PlayStation 4をはるかに超えるパワーを発揮するはずだが、AMD RX 580では「プレイステーション 4」の3倍以上の演算性能を持つAMD製GPUが、60fps未満しか達することが出来ないという結果には失望で、他の完成度の高いゲーム機の移植版で見られたパフォーマンスの向上とは言えない。」としています。

しかし、DFによると、「Horizon Zero Dawn」は、開発当初からマルチプラットフォームでの発売を想定しておらず、PS4以外での使用を想定していないエンジンを使用しているそうで、30fps以外での動作も想定していなかったようです。

そのため、今後リリースされるソニーの他のファーストパーティタイトルは、PCへの移行を念頭に開発している可能性もあり、よりスムーズになる可能性があるかもしれないとしています。

例えば、今春発売予定のPC版『Days Gone』は、Unreal Engine 4を採用しています。このゲームはUnreal Engine 4が使用されているため、クロスプラットフォームでの移植に役立つはずだと述べています。

「Days Gone」のPlayStation 5のパッチでは、30fpsの上限を取り除くだけで、60fpsでも問題なく動作することが確認されています(PCではそれ以上になると思われる)。また、「Ghost of Tsushima」や「God of War」、さらにはディスク版の「The Last Guardian」でも、同様にPS5でパフォーマンスが向上しています。

ソニーがこれらの傑作作品のPCへの移植作品をどれくらいの本数を発売してくれるのでしょうか?そしてPS4でプレイした時と比べて、PC版でどれだけグラフィックの向上、そして高パフォーマンスが得られるのか、PCユーザーとしては本当に楽しみと言えます。🔚

via Eurogamer, DigitalFoundry

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