ジョージ・A・ロメロ監督の傑作『ゾンビ』(1978)が 遂にU-NEXTで 3バージョンを本日配信開始!3バージョン比較で深掘る“ゾンビ映画の金字塔”


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ホラー映画ファンの間で今でも熱く語り継がれる伝説的作品、『ゾンビ(原題:Dawn of the Dead)』。1978年に公開されたこの映画は、ジョージ・A・ロメロ監督が描いたゾンビ三部作の中核であり、現代のゾンビ作品の“原点”とも言える存在です。

そんな本作が、ついにU-NEXTで配信開始されています。しかも、米国劇場公開版、ディレクターズ・カット版、ダリオ・アルジェント監修版の3バージョン!

iTunesでもHD版が4月25日に同時にデジタル販売が開始され、これまで中々ストリーミングサービスでは配信に恵まれなかった『ゾンビ』が気軽に観れるようになった今、再評価の機運が高まっていると言えます。

本記事では、ファンや研究者の間でも話題となる「3つの異なるバージョン」── 米国劇場公開版/ディレクターズカット版/ダリオ・アルジェント監修版 ──についても詳しく比較・解説していきます。

『ゾンビ(1978)』とは?

ゾンビが世界に蔓延した終末世界。テレビ局員のフランと恋人のスティーブン、SWAT隊員のロジャーとピーターは、軍によるゾンビの制圧が失敗していく中で逃亡。逃げ込んだ先は、巨大なショッピングモール。そこを“楽園”とする彼らだったが、次第に外からだけでなく内側からも崩壊の足音が忍び寄ってくる──。

人間の本性と社会の崩壊を描くこの映画は、ホラーの枠を超えた社会的・哲学的映画としても高く評価されています。

【比較解説】3つの『ゾンビ』:どれを観るべきか?

1. 米国劇場公開版(Theatrical Cut)

  • 上映時間:約127分
  • 監督:ジョージ・A・ロメロ
  • 特徴:最もバランスの取れた編集版。初見に最適

ロメロ自身が編集した劇場用の完成版。ホラー、アクション、ブラックユーモア、社会風刺のバランスが最も取れた構成で、最も“完成された”印象を受けます。事実、ロメロ監督自身も一番のお気に入りと公言していました。音楽はゴブリンの楽曲とライブラリ音源を併用。

バランス、テンポの良さ、エンタメ性の高さから、初めて観る人にはこのバージョンが最適です。

2. ディレクターズカット(Cannes Cut / Extended Version)

  • 上映時間:約139分
  • 監督:ジョージ・A・ロメロ
  • 特徴:ストーリー重視。人間ドラマが深く掘り下げられる

通称「カンヌ版」。ロメロ監督がカンヌ映画祭で売り込むために作業した、事実上「ラフカット版」とも言われています。劇場公開前にロメロが編集した長尺バージョンで、主に人間関係や社会状況の描写が追加されています。

ゾンビや銃撃シーンのテンポはやや緩やかになる反面、心理描写の密度は高く、登場人物の葛藤がより深く伝わるのが魅力ではありますが、ロメロ監督自身は「ディレクターズ・カット版」は好きではないと述べています。

しかし、じっくりと人物描写した点からも、映画作家ロメロの本質に迫りたい人にはおすすめのバージョン。

3. ダリオ・アルジェント監修版(European Cut / Argento Cut)

  • 上映時間:約119分
  • 監督:ロメロ(編集:ダリオ・アルジェント)
  • 特徴:アクション強化&音楽刷新。スピーディーでスタイリッシュ

ヨーロッパ向けに、『サスペリア』で有名なイタリアの巨匠ダリオ・アルジェント監督が編集。全体のテンポが速く、会話や社会風刺の描写をカットし、アクションを前面に出し、アルジェント監督らしくゾンビ殺害などのゴア・ショット(残酷ショット)が3バージョン中で一番多いのも特徴。アルジェント監督が、『ゾンビ』の制作資金を出資している事から、ヨーロッパ向けの編集権を得たようです。

音楽はほぼすべてがゴブリンによるサウンドトラックに変更され、ゴブリン独特のシンセ・ロックが緊張感を高めています。

テンポ良くゾンビ映画を楽しみたい方、ゴブリンの音楽が好きな方に最適です。

しかし、ゴブリンの同じ曲がこれでもかと言うほど頻繁に繰り返し使われるので、人によってはちょっとくどく感じられ、若干ですが雑な編集の印象が個人的にあります。

ただし、日本での劇場初公開がダリオ・アルジェント版をベースに残酷シーンをフィルター処理されているので、当時劇場公開で観たファンや残酷ショットを好むファンからは支持されている作品でもあります。

【比較表まとめ】

バージョン上映時間編集者特徴
米国劇場公開版約127分ロメロ初見向け。一番バランス良好な完成版
ディレクターズカット約139分ロメロ人間ドラマ重視。より深いストーリーテリング
アルジェント版約119分ダリオ・アルジェントアクション重視。残酷ショットも多い。音楽が全編ゴブリン

一方で、Blu-ray等では3バージョンを収録した3枚組『ゾンビ 製作35周年記念究極版ブルーレイBOX』(既に廃盤)、ディレクターズ・カットとアルジェント版をチャプター再生の方法で完全版として再生出来る「隠し技」が可能な『ゾンビ 製作45周年コレクターズ・エディション』が存在します。こちらのブルーレイはまだ発売中でAmazon日本でも購入が可能です。

完全版の再生する「隠し技」の方法は、本編ディスクのメニュー画面でリモコンの上を押すとゾンビの「目」が反転表示されるので、そこで「決定」ボタンを押す。と開始されます。

【U-NEXTでの視聴はこちら】

U-NEXT『ゾンビ(1978)』を見る

最後に:現代に響くゾンビ映画の本質

『ゾンビ(1978)』は単なるグロいホラー・パニック映画ではなく、「人間は何に支配されているのか?」という問いを投げかける深い作品でもあります。

それぞれのバージョンが映し出す“異なる側面”を見比べることで、より深くロメロの世界に入り込むことができるでしょう。

ホラー映画の歴史において、今なお輝きを放ち続けるこの傑作、気軽に観れるようになった今こそ、ぜひこの機会に堪能してみてください。

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