東京ゲームショーでソニーのPS5 Proの実機が披露され、試遊機も設置され、想像以上に素晴らしい、綺麗などポジティブなレポートが沢山出ています。
確かに、PS5より45%もレンダリング処理が向上しメモリも高速になり、SSDも倍増の2TB。遥かにパワフルですが、値段も12万円とゲーム機としては初の10万を軽く超える約12万円。
PS5 ProはGPU、メモリ、2TBのSSDアップグレードでPS5に4万円上乗せされているわけです。(米国は200ドル上乗せの700ドル。)2TBのSSDの価格を考えれば、GPU、メモリ高速化、2TB SSDで4万円の上乗せは割安に感じるかもしれませんが、ソニーはPS5Pro発表前にPS5の価格を1万数千円値上げして上乗せしています。
しかし、8万円から10万円を超えて12万円となった今、「この価格ならPC買った方がいい」などという声もあり、従来のゲーム機としての枠を大きく超える価格になったPS5Proの存在意義が問われているのも事実。
総合的なゲームプラットフォームとして、8万円のPS5と8万円の「ゲーミング」PCでは、まともなエントリーレベルのPCを構築するには十分な金額ではなく、12万円ならどうなるでしょう?
事実としてPS5Proと同等の性能のゲーミングPCを組むとなると、12万円では到底不可能でPS5Proと同等か凌駕する性能のゲーミングPCをなると、おそらく20万円は必要でしょう。
PS5 Proは、60個のAMD CU(コンピュートユニット)を搭載したGPUを搭載しています。これは、PCのグラフィックスカードAMD Radeon RX 7800 XTと同じ数であり、単体で475ドル以上(為替で換算すると68000円。日本での実勢価格 7〜8万円)、これにケース、マザーボード、CPU、メモリ、ストレージ、電源を最低でも追加する必要があります。
ま、日本は為替差額を鑑みても、海外PCパーツの窓口である代理店がマージンを取りすぎという話もありますが、日本は円安の影響で相対的に高いのもネック。
しかし、ソニーのPS5Proの12万円という価格は、米国の700ドル換算では、現在の為替相場で見れば2万円くらい高いわけで、変な憶測も出てきてしまいますね。コンコードの損失の穴埋めにしようとしているのではないかとか色々と言われてはいますw
とは言え、PS5 ProのGPUの60CU(コンピュートユニット)は、60個のPCのAMDグラフィックスカードのコンピュートユニットと単純比較出来るわけではありません。デスクトップ用PC用のグラフィックスカードのGPUは、ほぼ間違いなくPS5ProのGPUより高い電力消費量と高いクロックスピードで、おそらくより多くのキャッシュメモリなどを持っています。
しかし、PS5 Proの新しいGPUにはアップグレードされたレイトレーシング・ハードウェアが搭載されており、RX 7800 XTのRDNA 3ハードウェアにはない、強力かつ効率的に処理出来る可能性があります。
ところが、テックメディアの「デジタルファウンドリー」が、PS5と同じPS5ProのCPUがボトルネックになるかもしれないと指摘。
全面刷新したように見えるPS5 Proですが、そのほとんどがグラフィックスのアップグレードです。PS5ProのCPUは、初代PS5と同じZen 2仕様のCPUコアを8基搭載し、同じ3.5GHzで動作します。PS5Proは、10%クロックアップはするらしいですけどね。
現在のPCの世界では、Zen 5がメインでPS5ProのCPUと比べて3世代先行しています。クロックスピードは5GHzをはるかに超えています。もちろん、Zen 5コアを搭載した最高スペックのRyzen 9000チップと優れたGPU、その他すべてのパーツを搭載した新品のPCを12万円で入手する事は不可能です。
しかし、Ryzen 7000 Zen 4チップ、インテル第12世代または第13世代CPUを搭載したPCを作れる可能性は十分にあります。それがゲームにとってどれほど重要でしょうか?
おそらく、古いZen 2 CPUでもほとんどのゲームには問題ないでしょう。しかし、ミドルクラスの最新のCPUでもPS5 ProのCPUを上回る性能を持っています。
そして、ストレージであるSSD。PS5はすでにPCIe 4クアッドチャンネル・ストレージ・インターフェースを搭載しており、それは同様にPS5 Proにも引き継がれています。
PCは最新のPCIe 5のSSDを搭載して帯域幅を2倍にすることもできます。しかし、PCファンであってもそれがゲームにとって体感できるほどの大幅な性能アップ、パフォーマンス向上になる事はないというのは、自作PCユーザーであれば分かります。
エントリーレベル〜ミドルレンジクラスの性能のPCで最新の高価な第5世代SSDをという例も少ないでしょう。つまり、SSDとストレージは一般的に、このパフォーマンス比較ではあまり意味がないと言えます。つまり、SSDストレージに関してはPCでもPS5Proのどちらのプラットフォームでも決定的な優位性の物ではないという事です。
海外の専門メディアなどの報道によれば、PS5 Proのフレームレートから推測する性能は、PCのAMD RX 7800 XTとRX 7700 XTの中間に位置する可能性が高く、 どちらかと言えばRX 7800 XT相当だろうという意見が多いようです。
結果的には、RX 7800 XTを搭載したゲーミングPCを12万円、米700ドルでも不可能です。デジタルファウンドリーはRTX4070がPS5Proに近い性能としていますが、RTX4070だけで日本では9〜10万円です。
そう考えるとPS5Proの12万円という価格は意外と割安という見方も出来、純粋なゲームマシンとしては最高のコスパマシンと言えます。
PCの利点は、用途に応じてグラフィックスカード、メモリ、CPUなどを自在にアップグレードする事が出来る事です。ゲーム以外の用途(動画編集、写真編集)にも幅広く使えるのも大きなアドバンテージと言えます。
冒頭で述べたように、「12万円でゲームしか出来ないゲーム専用機(コンソール)を買うくらいなら、上乗せしてでも幅広い用途に使えるPCを作った方がいい。」という意見も強ち間違ってはいないと言えます。
しかし、ゲーム機のPS5Proの利点は、SCEのCEOも言ってましたが、ボタン一つ押せば、瞬時に本体が起動し直ぐにゲームを開始できるという利便性、そしてスマートな筐体でスペースも取りません。
PCはハイエンドとなると消費電力も相当大きくなりますが、コンソールはPCよりは少ない電力でプレイ出来ます。そういう意味で見れば、コンソールはPCに比べて非常に「エコロジー」ではあります。
ゲームにフォーカスし、価格と性能のコスパで考えれば、価格が上がったとはいえ、PS5Proを買うのが正解ではないかと思います。PS5Proの性能をPCで12万円の予算では難しいですからね。
という事で純粋にゲームだけを考えれば、「PS5Proは性能を考えたらお買い得で、買う価値はある」と言えます。
個人的にPS5Proに期待しているのは、やはりソニーのAIアップスケーリングの「PSSR」ですね。これがどれほどゲームの画質を引き上げてくれるのか、非常に気になるところです。
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