【兵器専門家】UFO(UAP)の正体が何であれ、極超音速兵器では絶対にない。

海軍のパイロットが未確認飛行物体に遭遇したという信憑性の高い報告や、国防総省の秘密調査については、長年にわたって世間を魅了してきました。 

何ヶ月もの間、UFOの正体を知りたがっている人々は、既知の技術を超えた動きをするこれらの「謎の物体」について、米国政府が知っていることを示す法的に義務づけられた情報報告書の発表を待っていました。

先週、この文書の未分類部分はUFOが異星人文明の産物であるという証拠、UFOが実際に何であるかについての信憑性のある理論も提供しませんが、UFOが米国の秘密計画の一部ではないと大きく報じられてから、人々は失望しています。

しかし、ここでの興味深い出来事の1つは、実際のレポートではなく、表面化し始めたUFOの説明の可能性に関係しています。海軍のパイロットが見ているものは、ドナルド・トランプが数十億円をつぎ込み、ジョー・バイデンがさらにつぎ込もうとしているエキゾチックなミサイル技術を使った中国とロシアの先進的な実験の成果なのでしょうか?

UFO報告書の内容を最初に報じたのはニューヨーク・タイムズ紙で、金曜日には次のような記事を掲載した。

この記事では、基本的な調査結果を示し、政府がUFOが地球外起源であると断定できないことを強調した上で、無名の高官による説明を紹介しています。「これは、中国やロシアの極超音速兵器の実験結果ではないか」と。

ロシアは、米国のミサイル防衛技術を回避できる技術として、極超音速兵器に多額の投資を行っています。また、中国も極超音速兵器を開発し、軍事パレードで公開しています。「もし、この現象が中国やロシアの航空機であれば、2つの国の極超音速研究がアメリカの軍事開発をはるかに上回っていることを示唆している。」と関係者は懸念を述べています。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、独自の短いレポートの中で、「UFOの目撃情報が、高度な極超音速能力を持つ敵国の仕業である可能性について、防衛当局のリーダーたちが頭を悩ませている。ロシアや中国のような外国の敵対勢力が秘密裏に研究している可能性がある。」と報道しています。実際、ロシアや中国は、音速の5倍以上の速度を出せる極超音速機の実験を行っていると考えられています。

この分野の専門家であり、極超音速兵器に関する主張をデータで詳細に検証した最近の論文の共著者であるUnion of Concerned Scientistsのキャメロン・トレイシー氏は、次のように説明しています。

「極超音速兵器は、弾道ミサイルと比較して、実際には非常に遅い速度なのです。これらの技術の主な有用性は、ペイロードをより早く移動させたり、目標に到達させたりすることではなく、地表近くを飛行するため、宇宙空間を移動するミサイルを迎撃するための防衛システムを理論的には挫折させることができることです。」

問題は、技術的には“極超音速兵器“というものは存在しないということです。この言葉は、“ブースト・グライド・ビークル“や“巡航ミサイル“など、さまざまな未確立の技術を表すマーケティング用語のようなものだそうです。

もっと重大な問題は、極超音速兵器は、一般市民や米国防総省の想像力をかきたてたUFOのような挙動をしないだけでなく、そのような動きは絶対にできないということです。人類を家畜のように扱おうとする灰色のエイリアンが操縦しているというのは魔法のように思えますが、実際に物理学を無視した既存兵器システムの革新的な物であるよりも現実的なのです。

例えば、2017年の『Times』紙の記事では、海軍のトップガン・パイロットたちが、長さ40フィート(約12メートル)の楕円形の機体が太平洋の海上から急上昇しホバリングした後、信じられない速度で瞬時に加速して去っていく様子を語っています。キャメロン・トレイシー氏によれば、これはどんな極超音速兵器でも出来ないようです。

「水中に潜るといっても、極超音速機では不可能です。水に比べて非常に密度の低い空気中を移動することは、すでにいくつかの大きな課題を含んでいます。密度の高い空気の中を移動すると、物体の周囲の空気が摩擦熱で非常に加熱します。(イオン化)極超音速で移動すると、その空気に衝撃波(ソニックブーム)が発生します。実際には、空気中の分子がバラバラになるような複雑な化学反応が起きているのです。このような環境の中を飛行するのは本当に大変です。その熱の多くは物体にダメージを与え、更に機体表面を劣化させます。今、空気中に存在している異常な分子や原子が、機体の表面と反応してしまうのです。これは非常に難しいことで、空気よりはるかに密度の高い水の話になったら、それは本質的に不可能なことです。」

その数年後、2019年のNYタイムズ紙に掲載された記事では、海軍パイロットたちが「“機体を急停止し、瞬時に旋回する“」と表現していました。トレーシーによれば、これは極超音速兵器ができることではないという。ABCが取材した専門家も同様に同じ意見でした)。特に、最速タイプであるブースト・グライド・ビークルがそれを可能にするとは到底思えないと述べています。

「極超音速グライダーは、旋回することができます。飛行中に揚力を発生させ大気中を飛びます。多くの点で、高速な民間航空機のように機能します。当然旋回はできますが、それほど急激に旋回はできません。例えば、音速の10倍の速さで動くものは、揚力を得て回転します。ですから、通常の直進飛行では、重力に対抗するために上方向に揚力を発生させます。左右に旋回したい場合は、少し回転させることで、発生している揚力の一部を左右に向けることができます。現実的なシナリオを想像してみると、揚力の発生を完全に止めることはできません。どうにかして空中に留まらなければならず、重力に対抗しなければならないからです。そうすると、現実的な旋回力が発生し、ある一定の割合で左または右に押し出され、その方向にいくらかの加速度が発生します。

例えば、現在あなたは音速の10倍の速度で前進しています。そのため、同じ揚力が完全に左右に作用したとしても左右に素早く旋回し始めるまでには時間がかかります。そして、その旋回までの長い時間の間に、非常に長い距離を前方に飛ぶことになるのです。現実的な場面では、回転半径が数百キロから千キロ、場合によっては高速になるとそれ以上になることもあるでしょう。では、謎の物体が見せた高速で瞬時に90度ターンしたのは?、、そんなことはあり得ないことです。力関係がうまくいかないのです。

極超音速兵器の理論が明らかに無意味であると考える理由は、もっと基本的なところにあります。例えば、米国の3分の1以下、12分の1以下の防衛費しかかけていない中国とロシアが、米国よりも進んだ技術を持っているというだけでなく、識別できないほど進んだ技術を持っているという考えは、信憑性にも欠け、現実的ではありません。

また、これらの国が革新的な技術に到達したであろうという考えも同様です。機能的にもまるで魔法のように既知の技術からはかけ離れています。キャメロン・トレイシー氏は、UFOの真相についての推測を避けたが、「新しいクラスの秘密の極超音速兵器説よりも現実的な説明は、たくさん考えられます。」と述べています。

こうした不都合な事実にもかかわらず、無名の関係者の主張はメディアの中で大きく広がり、英国の多くのタブロイド紙や地元のニュース・ステーションが、極超音速兵器の不吉な脅威を、時には終末論的な言葉で表現しています。奇妙なことに、バイデン氏の予算案では、これらの兵器に38億ドルの支出を求めており、これらを電動歯ブラシのブランド名である「ハイドロソニック」と呼んだトランプ氏の要求をはるかに上回る額となっています。

また、キャメロン・トレイシー氏と同僚のデビッド・ライト氏が最近発表した研究によると、この新しいとされるクラスの兵器についての主張はほとんどナンセンスであることがわかっています。

国家情報長官室が国防総省と協力して作成したUFO現象に関する報告書が、どのように事前告知されたかによって、評判の高い国防当局が何十億ドルも費やしたいと考えている、正直ほとんど役に立たないような技術が米国にもたらす脅威の可能性が誇張されてしまうことになっているのです。

しかし、慎重に見極める洞察的視点を求めている人は、トレイシー氏とライト氏が書いた論文を参考にするとよいかもしれません。この論文では、「極超音速兵器の性能に関する誤解が続いているのは、誤った技術的な事実がこれらの兵器を開発する組織によって広められるという社会的プロセスに起因する。」としています。ニューヨーク・タイムズ紙では、丁寧で詳細な記事が掲載されています。

現役もしくは退役した海軍パイロットが証言したUAP(未確認空中現象)の動きは、「既存の技術からはあまりにも現実離れしたもので、地球外もしくは異世界の何かと考えた方が、遥かに現実的だ。」という極超音速兵器に関する専門家の考え方にも驚きです。こうなると、ではその驚異的な物体と搭乗しているのは一体何者なのか?という議論になる事に期待したいと思います。

via Vice.com

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