「The Medium」と「Silent Hill」は比較すべきものなのか?

Windows Central(WC)が“「The Medium」と「Silent Hill」を比較するのは間違っている理由“という面白い記事を掲載しています。

The Mediumは先週、Xbox Series X、Xbox Series S、Windows PCで発売されましたが、ゲームの発表時から一部メディアやSNS上では『Silent Hill』との比較が行われていました。

開発したBloober Teamは昨年の5月に、サイレントヒルなどを手がけた伝説の作曲家である山岡晃氏がBlooberのArkadiusz Reikowski氏と共同でスコアを手がけると発表されていますし、ゲームはサイレントヒルとバイオハザードの旧作を彷彿とさせる固定カメラ視点(リモコン視点)が採用されていることも意識される点と言えます。

また、2つの世界というアイデアもあります。「The Medium」では、主人公マリアンヌは現実世界と精神世界の世界に同時にいることができ、一方での行動がもう一方の世界に影響を与えます。「サイレントヒル」では、3つの世界が存在することもありますが、基本的にプレイヤーは現実世界と異世界と呼ばれる異形の地獄の次元の2つの世界と対話します。

ゲームメディアのGamesradarは「The Mediumは基本的に新しいサイレントヒル」、Polygonは「トレーラーが強いサイレントヒルの雰囲気を醸し出している」と述べていて、メディアでもSilent Hillへの意識は避け難いようです。

「The Medium」Blooberのブランド マネージャーであり、ゲームの脚本家でもある Grzegorz Wilczek 氏は、このゲームを「90 年代のホラージャンルのアイコン」と述べています。Blooberは、ゲームがサイレントヒルとよく比較されていることに言及し、「どちらかというと”アムネシア”のゲームに近いと考えていますが、特にサイレントヒルの音楽を手がけた山岡晃氏が関わっていることを考えると、比較されることは仕方ないし、気にしていない。」とのことです。

Blooberは、今までのほとんどの作品で、過去作のインスピレーションを得ているようですが、「それは人々が作りたい、見たいと思っているものだからだ。」と述べています。実際、人々は「サイレントヒル」の新作を渇望しており、何年も前から噂が出ては消えています。

コナミと小島氏が「Silent Hill」を復活させるために何らかの取引をしているだとか、PS独占で開発しているという噂を信じない限り、『The Medium』はXboxとPCの数あるホラーゲームの中でも、手に入るであろう最高のサイコロジカル・ホラーの一つでしょう。

固定されたカメラアングル、山岡晃氏の音楽などなど『The Medium』を『Silent Hill』シリーズに結びつけるものはたくさんありますが、『The Medium』もスローな展開で、序盤は怖さを感じるかもしれませんが、ゲームが進むにつれ、本当の意味での雰囲気が増していき、プレイヤーを惹きつけて離さないようになっています。

「The Medium」の導入部は、人によってはややスローで退屈な展開に感じるかもしれませんが、マリアンヌが何に遭遇するのか、知っておくべきことが全て語られています。「The Medium」ストーリー進行のペースが好きか嫌いかはプレイヤー次第で、サイレントヒルのゲームのように、真の恐怖、脅威が迫るのはかなり後で「The Medium』には戦闘がないにもかかわらず、『サイレントヒル』と同じように見事なアートワーク、環境、モンスターに圧倒されます。

サイレントヒル2、サイレントヒル・ホームカミングなど過去作と重なる要素の多くあるものの、WCは『The Medium』はサイレントヒルのどのシリーズよりも、もう少し先を行っているとしています。

「The Medium」「Silent Hill」も個人的な悲劇を描いていますが、「The Medium」では社会的、政治的な悲劇も描かれています。ゲームの舞台は1999年のポーランドで、共産主義が崩壊してからそれほど時間は経っていませんが、その影響がまだ残っています。

プレイヤーは、第二次世界大戦とポーランド共和国のナチスの占領下で行われたイベントについて学習します。ポーランド人ではないプレイヤーのためのいわば、背景説明でもありますが、それら大規模な機関が人々にどれだけ深く影響を与えたかが分かります。

登場人物の一人であるトーマスは、第二次世界大戦のトラウマで周囲の人々が疲弊し、それが恐ろしい形で彼の人生に染み付いています。「The Medium」の登場人物の周りには全員が悲しみの感情が漂い、徹底してダークでその多くは他の人を黙らせようとしている権力者、抑圧者たちによるものです。

こう言った背景、描写はナチスから酷い経験をしたポーランド人だからこその視点であり、日本人の感覚では決して生み出せないものかもしれません。

Bloober Teamが、昔のサバイバルホラーゲーム(サイレントヒル、バイオハザード)に多大な影響を受けた物語として、またそれに敬意を表して「The Medium」を制作したとしていますが、似ている箇所は一部あるものの、前述の2作からは非常に独立した作品と言えます。

WCは、簡単に言えば、「ホラーを装った政治的なコメンタリー」で、Blooberがこの2つをどのように融合させたかは、エンディングに不満が残るとしても、体験する価値があるとしています。

更に、サイレントヒルのゲームをもっと出して欲しいという飢えを満たすために何かを探していた「Silent Hill」ファンにとっては物足りない結果となってしまったかもしれません。ま、これは人によるのかもしれませんが。

「Silent Hill」シリーズの最後のゲームは、2012年の『Downpour』でしたが、あれは平凡で退屈な出来だったと言わざるを得ないでしょう。実際レビュースコアも微妙な評価になっています。

今では、もはや伝説ともなった『P.T.』のデモが2014年にPS4でヒットした後に発表された『サイレントヒル』は、豪華なクリエターとキャストのおかげで多くの「誇大広告」を生み出しました(開発は小島秀夫氏、主演はノーマン・リーダス、共同監督はギレルモ・デル・トロ)。しかし、その後に小島氏のフランチャイズ権利を所有しているコナミとのトラブルにより、残念な事に計画はキャンセルされました。

それ以来、ファンが見ているのはコナミがパチンコ機などへのライセンスものばかり、、昨年、『デッド・バイ・デイライト』にヘザー・メイソンやピラミッド・ヘッドなどの「Silent Hill」の名物キャラクターが登場し、大いに話題になり盛り上がりました。「Silent Hill」はもはや伝説的な存在で、複数のメディア、ホラークリエイターを刺激し続けていますが、ストーリーを語るという点では完全に死んだ、死に体状態と言えます。

WCは、サイレントヒルのファンが「The Medium」にしがみつくのは分かる。「サイレントヒル」の発売中止(そして『P.T.』の配信停止)は、待ち待っていたホラーゲームプレイヤーの心に大きな傷痕を残したからだとしています。

「Silent Hill」と『The Medium』の間には類似点もありますが、戦闘メカニックの不足に加えて、レビューでも指摘されているように、エンディングに不満があり、精神世界のコンセプトが十分に活かされていなかったという意見があります。

「The Medium」ではマリアンヌが精神世界をコントロールする能力に重点が置かれていましたが、『Silent Hill』の面白さは常にそのコントロールの欠如であり、プレイヤーは地獄のような旅を強いられることになる点が違うと言えますが、そもそも全く同じようなスタイルではパクリとも言われてしまうので、独自性を持たせる事は仕方のない事だと思います。

しかも「The Medium」はBloober Teamにとっては史上最大規模の作品であり、その点で今回のThe Mediumでの経験は、大きなステップになるのは間違いなく、次回作もより素晴らしいもの見せてくれるに違いありません。

Blooberの作品はどれも過去作のインスピレーションを得たと言っても、個性的で独自の世界観を持っているので、その点で私はMAX PAYNE、ALAN WAKE、Quantum Break、最近ではCONTROLの「REMEDY」スタジオと似た雰囲気を持っているイメージで、その事からもBloober Teamの今後は非常に楽しみだと思いますし、個人的に大いに期待したい要注目のスタジオだと思います。🔚

via WindowsCentral

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