Ebb Studio SCORN開発者インタビュー『Xbox Series Xは非常にバランスの取れたシステムです。トレーラーはRYZEN、2080Ti搭載のPCで動作しています。』

H.P.ギーガーの作品にインスパイアされたFPS視点のホラーゲーム「Scorn」が、インサイドXboxの最新エピソードで新しいトレーラーが公開され再登場しました。

インサイドXBOXで公開されたSCORNトレイラー。
  

これは、MicrosoftがXbox Series XとWindows PC (Steam)で発売されるScornのコンソール独占権を確保したためで、4Kと60fpsをターゲットにしておりXboxOne、XboxOneXでは動作せず、XboxSeriesX専用となっています。

数年前にKickstarterで資金提供されたScornは、マイクロソフトが独占権を確保し援助した事で、リリースに向けて順調に歩み始めているように見えます。Ebb SoftwareのゲームディレクターLjubomir Peklar氏にwccftechが独占インタビューし、インディースタジオの開発ハードル、今年の年末にリリース予定のXboxSeriesXの印象、マイクロソフトの独占について、レイトレーシング、アンリアルエンジン5などについて語っていて、興味深い内容なので日本語訳でご紹介します。

Ebb Softwareには現在何人の開発者がいますか?

現在は40人以上です。

Q:当初の計画よりもScornの開発期間が長くなった一番の理由は何でしょうか?Scornはまだ2つのパートに分割されるのでしょうか?最終的なゲームはどのくらいになるとお考えですか?

この2つの質問はつながっています。長い期間ですが、人々はその時間的な要素からしか見ていません。ゲームに取り組んだ人の数は比例しません。2014年に40人のチームがゲームに着手し、現在までその能力でゲームに取り組んでいるかというとそうではありません。2014年は基本的に4人しかいませんでしたが、2015年はその倍、2017年は20人、今では40人になりました。それがなぜこんなに時間がかかるのか、人々の心に混乱、疑問をもたらしているんだと思います。

リソースが限られているからといってゲームを2つのパートに分割して、それを全体の体験に戻すのも、混乱を増やす原因になっています。パート1は2018年に出る予定で、ゲームの全てではではありませんでした。2014年、2016年、2017年にゲームの話が出たのはリソースが不足していたから、スタジオに投資してもらうために見せて、興味を持ってもらう必要があったからです。ブラブラとしていて、大きな予算を吹っ飛ばし、こんなことをしなければならなかったということはありません。最初の数年間は、このようなマニアックなプロジェクトが生き残っていくために必要なものしかありませんでした。

何度も言っていますが、もし私に必要なリソースがあれば、公にはせず一般の人に知られずに密かにゲームを開発したいと思っています。今頃になって初めてゲームのことを聞いて、新しいゲームだと思っている人もいるでしょう。ゲームに関しては他のホラーゲームとは関係なく、あくまでもオリジナルデザイン目標にこだわって開発しています。

Q:マイクロソフトが『Scorn』の独占権を手に入れたと言っていましたが、それは時限独占なのでしょうか?それは、プレイステーションファンが後からでもゲームを手に入れることが出来るのか、それとも完全な独占なのか?

そのような情報についてはお話できません。

Q:Xbox シリーズ X の開発者として、新しいVelocityアーキテクチャのどの点に最も感銘を受けましたか?また、『Scorn』ではエリア間のローディング画面はありますか?

プラットフォームとしてのXbox Series Xは、手にしてからまだ2ヶ月しか経っていないので、我々は自由に使えるものをすべて把握しているところです。XboxシリーズXは、非常にバランスのとれたシステムだと思います。SSDソリューションは、アセットのロードに関しては信じられないほどの改善で、今のところはPC版とシリーズX版の間には完全なパリティ(同等?)があるように思えます。今後なるべく負荷を少なくするようにしていきたいと思います。

Q:Scornのようなホラーゲームでは、ビジュアルと同様にオーディオコンポーネントも重要です。XboxシリーズXに内蔵されているProject Acousticsエンジンで何が可能になるのかはもう調べましたか?

今まで通り、これまでのオーディオソリューションを使い続けます。開発途中でオーディオのセットアップを変更してしまうと、余計な問題が発生してしまいます。でも、Project Acousticsの導入は検討していきたいと思います。

Q:Xbox Series XではDirectMLもサポート。Scornのために何らかの形で機械学習APIを使用する予定はありますか?

DirectMLとNVIDIAのDLSS 2.0は、ゲームが思うようなパフォーマンスを発揮できていない場合に、非常に興味深いソリューションであり、これらのソリューションは、比較的低いパワーのPCシステムを持つプレイヤーをかなり大幅に助けることができると感じています。これらの新機能の多くは、私たちの手の届くところにあります。私たちはプレイヤーに可能な限り多くの選択肢を与えられるように最善を尽くしています。

Q:Scornには、アンリアルエンジンの技術が採用されていることを考えると、アンリアルエンジン5の新しいデモについての意見を聞かずにはいられません。また、Scornにアンリアルエンジン5の新機能(Nanite と Lumen)を利用するために UE5 にアップグレードする予定はありますか?

あのデモはとても印象的でした。開発側としては、大きな注意点がなければなおさらですね。3つのプラットフォーム全てで、このエンジンをうまく使うことができそうです。エンジンがカスタム I/O で最速の SSD を中心に構築されているのではないかと心配している人のために、このように見てください。何らかの理由で Epic がそのシステム専用のエンジンを作ろうと思ったとしても、(そのシステムの他の部分と比較して)システムの最も遅い部分に主眼を置いて設計するとは思えません。理論的に選ぶとしたら、平均的な速度のSSD(シリーズXのものよりもさらに遅い)を取って、メモリを多めにした方がいいと思います。

アンリアルエンジン5の公式ダイジェスト映像

今、そのようなシステムは明らかにあまりにも高価なので、カスタムI/Oソリューションを備えたこれらのSSDは、最良の選択肢です。アンリアルエンジン5はまだリリースされてませんし、先の話なので、仮に今日発売されていたとしても、今のゲームを全く別のパイプラインに移行させるのは大失敗だと思います。

Q:Scornは、少なくともXboxのウェブサイトに記載されている公式タグによると、「レイトレーシング」を使用していません。さらに、UE5のデモでは、レイトレーシングに頼らない印象的なルーメンテクノロジーのリアルタイムGI(グローバル・イルミネーション)ソリューションが紹介されていました。これは、一部の人が想定していたように、次世代ゲームではレイトレーシングは基本的なものではなく、オプションの技術であり続けるということなのでしょうか?

このデモで見たように、GI(グローバル・イルミネーション)に相当するものを得るには、他にも方法があります。開発者は何年も前からレイトレーシングを使って静的なGIを作成してきました。リアルタイムレイトレーシングは確かに画期的です。プレイヤーが気づかないような気の遠くなるような機能よりも、今後の開発者にとってはずっと便利なツールになるでしょう。

長年に渡り、開発者はレイトレーシングでできることを、反射からシャドウ、AOまで、様々なテクニックを駆使して似たような物を(フェイク)模倣してきました。これらの「フェイク」にはいくつかの制限があります。より静的であり、特定の角度では効果は破綻してしまいますが、ほとんどの部分では、それはかなりよく見えます。

新しい技術が利用できるようになると、開発者の中には、見せびらかすためだけに使いすぎてしまう人もいます。だからこそ、技術を誇示するためだけに、全反射面や不適切な照明条件の部屋があるゲームを見かけるようになってきたのです。技術は、開発者が達成しようとしていることのためにあるべきであり、その逆ではありません。ですから、リアルタイムのレイトレーシングは間違いなく将来的には完全なソリューションになるでしょうが、近い将来、開発者はケースバイケースでそれを使用することになるでしょう。

Q:VRSやメッシュシェーディング、サンプラーフィードバックなど、他のDirectX 12 Ultimateの機能をXbox Series XとPCの両方でサポートするつもりなのでしょうか?

繰り返しになりますが、私たちは現在、利用可能なすべての機能を探索していますが、これらの機能はすべて真新しいものであり、これらすべてのツールを使用して見てどうするか検討する時間が必要だと思います。

Q:なぜScornで60FPSを目標にしているのですか?戦闘が多く、スムーズな操作性が求められるということでしょうか?

キーボードとマウスを使用するPCプレイヤーにとって、60FPSは単純に必要なものです。また、コンソールでは応答性も同様に重要であるべきだと感じています。それはプレイヤーが直接ゲームとコミュニケーションをとることです。グラフィカルな忠実度だけの話でも、ゲームが30FPSで動いていると、カメラが動き出した途端に確立されたディテールが失われ始めます。

Q:トレーラーには「期待されるXboxシリーズXのビジュアルクオリティを代表するインエンジンフッテージ」というラベルが貼られていましたが、これは通常PC上で動作していたことを意味しています。もしそうなら、トレイラーに使用されたPCのスペックを共有することができますか?

これはトリッキーな質問です。なぜか多くの人が、このグラフィックレベルでもハイエンドPCなら4K 60FPSを出すのは簡単だと感じているようですが、実際にはそうではありません。ショーケースでは、2080TiとRyzenプロセッサを使用していますが、使わない理由がなかっただけで、2070スーパーで設定をミックスして4K 60FPSでゲームを動かすのは十分に可能です。

Q:Steamに記載されているシステム要件はまだ有効ですか?Scornの新しいトレーラーで見たビジュアルのレベルを考えると、少し低いように思えます。

はい、システム要件は古いもので、PC用には少し高くなります。

via wccftech

インタビュアーも言っているように、インサイドXBOXで公開されたトレイラーで公開された映像の下部のテロップ『In-engine footage 「representative」 of expected Xbox Series X visual quality』の通り、PCで動作していたようですが、どんなスペックなのか分からない状況でしたが、RYZENプロセッサーと2080Ti搭載のPCで動作していたようです。

あの驚異的なディテールを考えると、UE5を使えばもっと凄いことになりそうだと思うのですが、開発者はあまりあまり乗り気ではなさそうです。開発人数を考えると膨大な作業になりリリースがまた遅れてしまうということもあるんでしょうかね。本作は多難な経過を経て、マイクロソフトが拾い上げたことで、開発も今まで以上にスムーズに進んでいるようで、発売が待ち遠しいタイトルの一つです。🔚

SCORN公式ホームページ

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