HBOの超大作TVドラマ、ゲームオブスローンズ シーズン8第6話、衝撃の最終回が5月20日に全世界同時放送され、遂に終了しました。
米国では2011年春から、日本では2013年1月からスターチャンネルで放送開始され、その後スターチャンネルがHBOと独占契約を結び、シーズン6から日米同時放送されるようになりました。米国から見れば、8年も続き主要キャストも番組と一緒に育ち、視聴者もキャストの成長を見守る形で多くの視聴者に支持され、シーズン毎ごとにHBOの視聴者数は新記録を更新するほどで、それまでの最高傑作と称えられたソプラノズ哀愁のマフィアを超える、HBOの顔的な超大作ドラマになりました。
自分も2013年の日本放送開始から見始めて見事にハマり、6年間見続けて来ました。そして2019年5月20日にスターチャンネルで最終回を見終えたので、自分なりに感じた事を書いていこうと思います。
以下、ネタバレに言及するのでまだ観られてない方、内容を知りたくない方はここでやめてください。改行で空けます。
まず、最終シーズンであるシーズン8の第5話放送後、デナーリスの暴走やストーリー展開に批判が集まり、ショーランナーであり脚本家のデイビッド・ベニオフとD.B.ワイスを変えて、別の脚本家で作り直せ!という請願署名がファン・コミュニティで行われ、100万人を超えたらしい。
自分の感想としては、デナーリスの暴走は北部での孤立、疎外感に加えて、ドラゴンのレイガルを奇襲で殺され、側近で良き友人でもあったミサンディがサーセイによって目の前で処刑された事で、サーセイへの憎悪は極限状態に。
そして、ジョン・スノウに彼自身の正体(皆に知られれば、ジョンが正統な王位継承権を持つ事になり、玉座を目指すデナーリスにとってこの事実は脅威、障害となる)をサンサやアリアなど、他には漏らさないと説得したにも関わらず、結果的にジョンが裏切る形でサンサに打ち明けてしまい、それがティリオン、バリスなどに広まってしまった事などで、精神的にも追い込まれていたのは前話までで伏線になっており、デナーリスファンには酷な展開ではありますが、それ故の暴走と自分は納得の展開でした。
6話のエピソードの短さで展開が急すぎで、詳細な描写が足りない、もう数エピソードあった方が良かったのでは?という意見もありますが、最終シーズンは通常のエピソードの20分以上長い80分近いエピソードが4話もあるので、ハリウッド大作映画顔負けのスケールの大きな戦いが連続して描かれ、怒涛の展開となったのでTVドラマとしての桁外れな製作費も考えれば、予算枠もあったでしょうし、短いというのは酷かもしれません。
結果的にデナーリスの父である、エイリス・ターガリエンの「Burn Then All(全て(王都)を焼き尽くせ!)」の言葉を、娘であるデナーリスが実現させてしまったのは、なんとも皮肉な展開だなと思いました。「歴史は繰り返す」「親も親なら子も子」という事でしょうか、、w
王都の善良な市民(女性や子供)までも、ドラゴンファイアで焼き払い大虐殺、王都キングス・ランディングを事実上の焼け野原にして破壊の限りを尽くしたデナーリスは、この理不尽な行為に対し側近のティリオン、ヴァリス(デナーリスによってドラゴン焼殺刑)からも見放され、ティリオンに説得されたジョン・スノウが北部との対立も確実な情勢、そして暗雲立ち込める未来、そしてサンサやアリアに危機が及ぶ事も懸念し、結果的に苦渋の選択でデナーリスを刺殺、その結果、妥結案でナイツウォッチに戻る事になりました。
以前のエピソードでナイツウォッチにいたターガリエン残党の一人で、学匠エイモン・ターガリエンがいました。エイモンも結果的に流れてナイツウォッチに行き着いたわけですが、エイゴン・ターガリエンでもあるジョン・スノウが最終的にナイツウォッチに戻される(事実上の幽閉か)というのは、これもまたなんとも皮肉な展開だなと思いました。
ジョン・スノウに刺殺されたデナーリスの亡骸を見たドラゴンのドロゴンが、デナーリスの死を深く悲しみ、エイゴン・ターガリエンでもあるジョンを殺す事も出来ず、やりきれない悲しみと怒りを鉄の玉座にぶつけ、ドラゴンファイヤーで溶かして壊してしまい、そのままデナーリスの亡骸を優しく持ち上げ、飛び去る場面も非常に感傷的で印象残りました。「こんな物があるから母(デナーリス)は死んだんだ!こんな物は壊してしまえ!」と言わんばかりの行動で、非常に印象的なシーンでした。
シーズン8(ファイナルシーズン)第5〜6話で思わず唸ってしまったのは、ブラン・スタークがシーズン2で見た王都キングス・ランディングの街に飛翔するドラゴンの影のビジョン、そして同じくシーズン2でデナーリスが見た、崩壊した玉座の間に降る雪、そして玉座に向かってチラつく雪の中を歩いていくデナーリス自身の姿のビジョン、、これらのビジョンが見事に5〜6話でしっかりと実現されていた事。ここではじめてシーズン2でブランとデナーリスが見たビジョンが結びついたわけです。この巧妙な繋がりと伏線は見事としか言いようがないですね。
最終話では久々に登場するキャラクターもいました。ネッド・スターク(ショーンビーン)の妻キャトリン・スタークの妹であるライザの息子、ロビンが大きく成長して登場、そしてキャトリン・スタークの弟で、ウォルダー・フレイの娘と結婚させられたエドミュアも久しぶりの登場でした。エドミュアのKYで空振り気味なキャラクターも笑えて、しっかり見せてくれたのでこれも流れとはいえファンサービスな気がしましたw
一つ気になったのは、ジャクエン・フガーが出なかった事ですね。アーリア・スタークというキャラクターの重要なターニングポイントのキッカケにもなった師匠でもある顔のない戦士ジャクエン、数多くの『ゲーム・オブ・スローンズ』のキャラクターの中でもインパクトのあったキャラクターを最終話で出さなかったのは残念でしたね。
最終話でアリアが船で向かう中、チラッとでもアリアの物語の最後のオチとして、ファンサービスとして顔を出してくれても良かった気がしますね。。ジャクエンが好きだった自分にとっては、非常に残念でした。
そして、ティリオンが最終話の終盤、王を決める会議で名言を残します。
『民を団結させる物はなんだろうか?それはストーリー(物語)だ。この世でストーリーほど強力なものはない。誰にも止められない。敵に敗れることもない。』
この言葉の後、ブラン・スタークを王に推薦します。ブランは過去に起きた事柄を全て遡り、リアルタイムの様に見る事が出来るので、メモリーバンク的な存在。その事から出たセリフだと思われますが、素晴らしいセリフです。「ストーリーほど強力なものはない」。。これは現代にも言える事かも。
他にも、ジョン・スノウはエイモン・ターガリエンの名言「愛は義務を殺す」そしてティリオンは「義務は愛をも殺す」と返しました。ティリオンの義務か愛か「選ぶ時が来た」とジョン・スノウに念を押し、その言葉が結果的にジョンがデナーリスを殺める決意をした重要なワードとなったわけです。
そしてジョン・スノウは最終的にナイツウォッチに出戻り、サンサは一人女王として載冠、アリアは未踏の地ウエスタロス西部に旅立ち、ティリオンはブランの要請で王の手に就任、ブロンは要求通りにちゃっかり金庫番に就任し終了。
正直、その後の展開で続編も可能な終わり方ではありますが、このキャストでのゲームオブスローンズは終わり、もう観れないと思うと、寂しいですね。。
原作者のリチャードRマーティンは、全6話ではなく更に数話多く(10話)構成を希望したそうですが、スケジュールや予算の関係もあったのでしょう、聞き入れてもらえなかったそうで、残念がっています。
賛否両論あるファイナル・シーズンではありますが、個人的にはジャクエンが姿を見せなかった事以外は、妥当な結末だったのではないかなと思っています。
正直、可能ならこの続きを観てみたいですね。。🔚
素晴らしいレビューです。GoTも最高のストーリーでした。
お読み頂き、ありがとうございます!
GoT、今でもたまにブルーレイで見返しています。
見返すと、様々な伏線が散りばめられていて
初見時には普通にスルーしていたセリフが各所で気づくんですよね。
そして、改めて感心すると同時にその伏線とそれに至る結末を噛みしめながら
楽しむ事が出来る、珍しい味わい深いドラマだなと思っています。