ゲームは各国それぞれに、ゲーム内容を審査しレーティングを与え管理している団体が存在し、独自の基準で判断しています。日本では、コンピュータ・エンターテインメント・レーティング機構(CERO)という団体があり、そこでソフトに含まれる表現内容にふさわしい対象年齢が記された「CEROレーティングマーク」を商品に表示して販売するようになっています。
アメリカとカナダでは、Entertainment Software Rating Board(ESRB)という団体が独自のレーティングを設けていて、ESRBのレーティングと言えば、海外版タイトルのAAAタイトルに多く見かけるレーティングM(Mature)があり17歳以上となっています。その上に位置するのが最高レベルAdult Only(AO)アダルト・オンリーという20歳上のレーティングがありますが、マイクロソフト、ソニー、任天堂といった各メーカーに加えて大手流通会社も「AO(アダルト・オンリー)」でレーティングされた対応ソフトの制作・販売は原則として認めておらず、メーカーはレーティングM(Mature)が限界基準として内容や表現を調整しているのが現状です。
ここで日本に話を戻しましょう。日本のCEROの最高基準は18歳上のみの「Zレーティング」となっていて、アメリカの「レーティングM(Mature)」に相当します。ですが、日本のゲームレーティング審査は独自の傾向があり、アメリカでは17歳以上のレーティングMでクリアしていても、日本でレーティングZでは、頻繁に日本独自の修正や削除が成されてしまう事が多くあります。こういった基準の違いがユーザーにとって様々な弊害を生んでいるという状況です。
20歳上、まして30、40歳のユーザーからすればZレーティングを設けて規制しているのに、なぜ更に修正や削除するのか?それこそZの意味がないのではないか?となります。米のMレーティング基準で調整、完成後に新たな修正や削除となれば新たな追加コストが発生するのは必至で、メーカーからすれば余計なコストになるわけです。
もちろん、日本法人のメーカーからすれば少しでも多くのユーザーに売る、プレイしてもらうためにもCEROの基準ギリギリに修正して売りたいのも分かります。が、修正や削除する事で失望し、少数とは言え修正削除された日本版ではなく、修正のされていない海外版購入に流れてしまうユーザーが少なからず一定数います。余計なコストをかけて修正や削除をし、逆に日本での売り上げ損失を招いているという、状況に陥ってます。
実際、デジタル版が普及する前は、日本版の規制と修正に失望し海外版を求めて多くのユーザーが海外版を輸入ゲームショップに求めて列をなした事が多々ありました。あるタイトルは輸入ゲームショップなどで数万枚も売れたという話もありました。ユーザーからすれば、無修正の米国版が開発者の意図した100%の製品なわけで、それを修正や削除されてしまうと、極端な話ですが不完全な物となってしまうわけです。タイトルによっては全く違う印象に変わってしまう物もありました。正直なところ、そんな物は買いたくないと海外版に流れるわけです。
私は当時、XBOX360のギアーズオブウォー1〜3の日本国内版と米国版を両方プレイして、残酷表現である人体の頭部破壊の削除、血飛沫の量を少なく調整、切断面の黒灰色化、転がっている死体の削除、血の色の修正などだけでもまるで違う印象のゲームになってしまう事を実感しました。
こういった現状、ある雑誌のインタビューでは「結局はメーカーのやる気次第。」だそうで「CEROとのやり取りを粘り強くやるかやらないかの違い。メーカーからしたらそれに時間を割くくらいなら、修正、削除が手っ取り早くコストもかからない」とか。
こうなると、いつまで経っても堂々巡りな話になるので、私自身の意見、希望としては、日本のCEROは一回レーティング基準の見直しをやるべきではないかと。これだけワールドワイドにデジタル販売も普及し始め、AAAなどのハリウッド大作なみの莫大なコストをかけた超大作ゲームタイトルが販売されるようになった今、ゲームはもはや「子供のおもちゃ」の延長線ではなく、大人も楽しめる立派なエンターテインメント、要は娯楽であり、そうした現状を踏まえてレーティング基準も米&カナダのESRBのM基準に寄り沿ったものに変えるべき段階なのではないでしょうか?
どうも今の日本は、ゲームというと今だに「子供、少年の玩具」の延長線上の様な見方が根強くあって、アメリカのように映画と同等のエンターテインメントというポジションを得られていない気がします。アメリカでは今やハリウッドの規模を超えた産業になっているのですから、日本もその認識に追いついて欲しいなと切に願います。 🔚
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