MicrosoftがASUSと共同開発した初の「Xboxブランド携帯ゲーム機」、ROG Xbox AllyとROG Xbox Ally Xを発表しました。余計な機能を削ぎ落としてゲームに特化されたカスタムメイドのWindows11 Home OS搭載でBattle.netやSteam、EpicなどのPCゲームストア、さらにXboxコンソールのライブラリー(あくまでクラウド対応タイトル、Xbox Play Anywhereタイトル)やXBOXクラウドでプレイも利用可能な究極と言える次世代の携帯機(ハンド・ヘルド)です。
【概要】
- ROG Xbox Ally/Ally Xは、Project Kennanと呼ばれるASUSとの協業プロジェクトの成果。
- 7インチ1080p 120Hz VRR対応ディスプレイ、Xboxライクなグリップ、ボタン、カスタムWindows 11搭載に加え、新設計の「XboxフルスクリーンUI」で快適な携帯性と利便性を実現 。
- Windowsアプリ(Steam、Battle.net、Epicなど)とクラウド・Xboxリモートプレイ、Game Pass等、全て一本化されたライブラリからアクセス可能 。
- 発売は2025年ホリデーシーズン、日本を含む複数国で展開予定 。
両モデルの詳細スペック比較
項目 | ROG Xbox Ally | ROG Xbox Ally X |
CPU | AMD Ryzen Z2 A | AMD Ryzen AI Z2 Extreme |
RAM | 16GB LPDDR5X‑6400 | 24GB LPDDR5X‑8000 |
ストレージ | 512GB M.2 2280 SSD | 1TB M.2 2280 SSD |
ディスプレイ | 7″ FHD 120Hz IPS | 同左 |
バッテリー | 60Wh | 80Wh |
ポート | USB‑C 3.2 ×2, microSD, 3.5 mm | USB‑C 4 (Thunderbolt 4含) ×1、USB‑C 3.2 ×1, microSD, 3.5 mm |
重量 | 670 g | 715 g |
特徴 | コントローラ的グリップ、Windows UI最適化 | インパルストリガー、より厚めのバッテリーとメモリ |

両機種ともWindows 11を搭載しつつ、スムーズにゲーム起動ができる“XboxフルスクリーンUI”を採用。Ally Xには、更に強力な処理能力の「AMD RYZEN AI Z2 エスクトリーム」プロセッサと+8GB増量された24GB RAM、XBOXワイヤレス・コントローラーにも搭載されている、より没入感のある体験を可能にするインパルストリガーや高速通信ポートが搭載されており、外部拡張も可能なようで、よりハイエンド志向モデルとなっています。
他のデバイスと違うなと目を引いたのが、グリップ部分。マイクロソフトはXBOXワイヤレス・コントローラーでのプレイ感覚を大事にしたいという意図から、グリップ部はしっかりと厚みがあり、非常に保持しやすいとの事。一部のインフルエンサーによる体験レポートでは、Xboxワイヤレスコントローラーというより、ソニーのPS5デュアルショックコントローラーに近い感触だという意見もありましたね。
実際にXBOX Ally Xを体験したレポートを見ると、実際にプレイ出来たタイトルは1つだけで『Gears of War : Reloaded』だったそうです。録画など撮影は一切禁止だったそうですが、動作は良好で1080Pの画面に70fps前後で安定して動作していたとの事。
XBOXデバイスでSteamから「スパイダーマン」がプレイ可能に?!
元IGNのエディターで、現在はメディア・ジャーナリストでもあるDestin氏によると、Xbox Ally Xに触れる機会があり、既にスチームがインストールされており、そこからDestin氏のSteamライブラリーからマーヴェル「スパイダーマン:マイルズ・モラレス」をインストールする事が出来たとレポートしています。
これはもしかして、Xbox Ally、Xbox Ally XからSteamライブラリにアクセスし、ソニーのPC大作をプレイ可能になる可能性があるという事ですね。ま、理論的には可能という事になりますが、ひと昔では考えられなかった事が起きつつあるなと実感します。
従来のASUS ROG Allyでは、Steamストアで購入した「Marvel’s Spider‑Man Remastered」(ソニーのタイトル)が720p解像度でプレイ可能との報告があります。実際、720pで35~55fps、1080pでも20~30fps程度の安定したパフォーマンスが確認されています。
新モデルのAlly XではRyzen AI Z2 Extreme搭載で更に処理能力が向上するので、スパイダーマンのような重量級AAAタイトルを1080Pでより高いフレームレートでのフル体験も可能性が高く、Steamでのアクセシビリティが一層拡大すると期待されます。
もし、XBOX Ally、XBOX Ally XからSteamライブラリを通して「スパイダーマン」「God of War」「ラスト・オブ・アス」などのソニーのタイトル大作がプレイ可能になるのであれば、これはプラットフォーム間の大きな壁がなくなる事を意味するわけで、大きなゲームチェンジャーになる可能性を秘めていますね。
ま、理論上は可能になるのは当然ですが、ソニーがこれを認めるのかなと。ま、ソニーにとってのメリットはより多くのユーザーが自社タイトルを購入してくれるかもしれないという点、デメリットはXBOXデバイスからソニータイトルがプレイ可能になるリスクですね。このあたりは年末の発売日までには明らかになるでしょうけど、ソニーとしては収益拡大になるならと許容して欲しいところ。

マルチプラットフォーム対応が開く可能性
❶ 一括ライブラリ閲覧
XboxアプリのフルスクリーンUIは、Steam / Epic / Battle.netからインストール済みのゲームを統合表示で見やすく、起動も一元管理できる利便性が特徴。
❷ クラウド・リモートプレイへの対応
Xbox Cloud Gaming、Xbox Play Anywhereタイトル内のXboxコンソールのリモートプレイ、さらにGame Passとの統合で、インストール・ストレージ空き容量を問わず即プレイが可能です。限られたストレージ容量の場合はクラウドプレイは大きなメリットになりますからね。
❸ Windows携帯機へのOS最適化
このフルスクリーンのXboxエクスペリエンスで、Windowsデスクトップや多数の必要のないバックグラウンド・プロセスの動作を排除したので、Windowsをしっかりとバックグラウンドに配置した事で、ゲーム用により多くのメモリを解放するとしています。更に操作性とバッテリー効率も考慮され、とにかくゲームに特化したカスタムWindows OSに仕上げているようです。将来的には他社Windows携帯機への展開も予定されています 。
❹ 将来の広がりと競合優位性
Steam Deck+SteamOSのライバルとして、Windows携帯機市場に新しい選択肢を提示した事で、Switch 2やSteam Deckとの差異化が進む可能性があります。集約されたゲームライブラリは、Xbox、Game Pass、およびSteam、Epic Games StoreなどからインストールされたすべてのPCゲームを、GOGランチャーが提供するものと同様に、単一のインターフェースで表示されるようです。報道では、この統合ライブラリの一部がXboxPCアプリに表示されるようになり、Microsoftは、Xboxクラウド・ゲームまたはXboxコンソールへのリモートプレイを通じて完全なXboxコンソールライブラリにアクセスできるようになると述べています。
ただし、XBOXのネイティブコンソールゲームがプレイ出来るわけではなく、あくまでXbox Play Anywhere対応タイトル、XBOXクラウド対応タイトルに限定されるという事です。
Xbox Ally、Xbox Ally XはあくまでもネイティブPCゲームをプレイするように設計されたWindows PCハンドヘルドであり、Xbox PCアプリやPC Game Pass(およびSteamやその他のランチャーからのもの)からゲームを引き続きプレイできますが、ネイティブコンソールゲームは使用できません。
そこで、Xbox Play Anywhereの出番となるわけです。Xbox Play Anywhereではすでに1000以上のゲームがサポートされており、Xboxコンソールで購入するとPC版のゲームが無料で利用できる機能です。
Xbox Cloud Gamingでは、タイトルをデバイスにストリーミングすることもできますが、他のランチャーにアクセスできるということは、あらゆる種類のPCゲームをプレイできることを意味します。Windowsで実行されるランチャーは、Xboxハンドヘルドでも実行する必要があるとの事。
将来的にはネイティブのXBOXコンソールゲームが登場することを期待出来ますが、それはおそらく噂に出ている次世代XBOXになるのかもしれません。
大事な事は、今回発表されたROG Xbox Allyは、Xbox固有の機能を備えたWindows 11ゲーミングPCだという事です。
まとめと未来展望
ROG Xbox Allyは「Windowsの自由×Xboxの一体感」をポータブルで実現する革新的で野心溢れるデバイスです。Epic・Battle.net・Xbox、そしてSteamのソニータイトルを横断する自由度は、大きな可能性を秘めています。
ホリデー2025に向け、気になる価格や予約情報が注目されますが、近日発表されるようです。ROG Allyの価格から推測するに、XBOX Ally Xは10〜14万円くらいはありそうですね。私はビデオゲームを携帯ゲーム機でプレイする習慣がないので、購入予定はありませんが、携帯機を持ち歩いてプレイする習慣のある方はマスト・バイな機器にはなりそうですね。
Steam DeckやSwitchと異なる“マルチストア対応+クラウド連携”がキーワードとなるでしょうね。MicrosoftとASUSの提携が、携帯機市場に新しい潮流を作ることは間違いありません。
こうなると、次世代XBOXもこの流れになる事は確実で、大きな地殻変動が起きているなと実感します。個人的に悩ましいのは、ゲームをプレイする時間がそれほどなく、限られているという事です。
今の時代を生きている若い世代のゲーマーが羨ましいと感じるこの頃です。
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