EU規制当局が、マイクロソフトが提案したアクティビジョン・ブリザードの買収提案取引の承認について、更に詳細な調査を開始すると報じられています。
欧州委員会(EUの行政機関)The European Commission (the executive of the EU)は、すでにこの買収提案に関する最初のヒアリング調査を行っているそうで、マイクロソフトと競合するライバル会社に対し、クラウドゲームにおける同社の活動や、他のプラットフォームでの「Call of Duty」へのアクセスを拒否する可能性が将来的にあるのかどうか、競争を阻害することになるのかなどについて、様々な聞き取り調査を行っているようです。
Politicoの最新報道によると、マイクロソフトは10月31日の深夜までに、この取引に関する競争を阻害するような「懸念」を和らげるような資料をEUに提出しなければならないという期限があったそうです。ところが、この問題に詳しいとする情報筋がPoliticoに語ったところによると、マイクロソフトはこのEU当局の要求を実行できず、それによってより詳細なフェーズ2調査(第2段階)が開始される可能性があるようです。
欧州委員会がより詳細なフェーズ2調査を決めた場合は、11月8日までに正式発表しなければならないとの事です。
マイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザードの買収提案は、その規模、そして業界へ与える影響力の大きさから、世界中の反競争監視団(anti-competition watchdogs)から継続的に調査を受けています。
最近では、8月にサウジアラビアが規制当局が最初に買収承認を決定、先月10月にはブラジルの規制当局CADEがそれに続いて承認しています。英国規制当局(CMA)は、すでに正式に調査を第2段階に拡大して、3月1日までに最終判断を下す前に、マイクロソフトが買収提案しているアクティビジョン・ブリザードとの取引について一般市民から意見を募っている最中だそうです。
マイクロソフトは来年2023年の6月末までに買収承認を得て、取引を完了したい意向を示していますが、徐々に各国の規制当局の買収承認の結果も出始めている中で、今回の欧州当局のより詳細な第2フェーズの調査というのは、気になるところです。
そして本日も米化学メーカーであるデュポンが、エンジニアリング素材メーカーの米ロジャースを約52億ドル(約7700億円)で買収する計画が、規制当局から時宜を得た形での承認を得られなかったとして、買収を撤回というニュースが報道されていました。
買収提案してもこのように規制当局から承認が得られない場合は、買収撤回する場合もあります。マイクロソフトの買収提案が必ずしもこのようなケースに当てはまる訳ではないですが、買収規模、業界に与える影響の大きさを考えると、規制当局も慎重な調査になるのは仕方ないのかもしれません。
マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏は、「買収承認が得られると確信している。」と自信を持っているようです。
いずれしろ、マイクロソフトにとっては欧州の過去の経緯を考えれば、欧州規制当局が最大の乗り越えなければならない壁と言えるかもしれません。
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via Politico
他の海外ニュースによると審査で第2フェーズへの移行がほぼ決定している状況の場合、審査機関の求める書類提出は意図的に行わないのが普通らしいです
貴重な情報をありがとうございます。
私が読んだ海外の記事では、追加情報提出を求められて
マイクロソフトが提出しなかった事で、
第2フェーズに移行したと書かれていたので、
すっかりそうなのだと思っていましたが、
そのように、第2フェーズへ移行がほぼ決まっているような
状況では、あえて「意図的に」という事もあるのですね。。
勉強になりました。改めて、ありがとうございます。