PS5 Proがプレイステーション4、5のアーキテクト、マーク・サーニーさんによって発表され、その中で「BIG 3」と呼ばれた一つの重要な機能でもある、機械学習(ML)AIのアップスケーラー「PSSR=PlayStation Spectral Super Resolution」。
PS5 Proが発売されて以降、『Alan Wake 2』『Silent Hill 2』『Star Wars:Outlaws』など、いつくかのゲームで画面の一部(特にシャドウ部分など)にチラつき、ノイズ、揺らぎが多く報告され、テックメディアのデジタルファウンドリー(DF)も検証した結果、問題を指摘しています。
そして、DFが最近投稿した検証動画ではUBIソフトの『AVATAR: Frontiers of Pandora』がPS5Proに対応したところ、PSSRを採用し同様のチラつきが問題になっているようです。
問題は、このPSSRによるチラつきを、ユーザーが任意で「PSSR」をOFFに出来ず、この問題のグラフィックスでのプレイを強要していると批判しています。
同じPSSRを使用している『GT7』では、任意でPSSRをOFFを可能にするなど、ユーザーにある程度の選択肢の自由度を与えていますが、『AVATAR』ではそれが出来ず酷いチラつきのままプレイせざるを得ない状況が問題となっているようです。
最近では『Silent Hill 2』のパッチ1.06ではPSSR採用をやめてFSR2に切り替えたところ、チラつきがある程度解決した事で、悪く言えば「PSSR」は現状ではゲームチェンジャーどころか、逆にサードパーティーの足を引っ張ってしまっている状況と言えます。
一方で、PSSRを使用した『Horizon Zero Dawn』リマスターや『Horizon Forbidden West』などはコンソールゲーム史上最高画質を実現し、非常に上手く機能しています。私も両タイトルをPS5 Proで現在もプレイ中ですが、本当に素晴らしいグラフィックで、「ラスアスPART1、2リマスター」と並んでコンソールゲーム史上最高グラフィックと言っても過言ではないです。特にOLED(有機EL)ディスプレイでプレイしていると、尚更にそう感じます。
DFも、彼ら(guerrillaゲームススタジオ)は一体どうやってPSSRを上手く機能させているのか知りたいくらいだと述べています。
現状、PSSRは前述の通り複数のタイトルで同様のチラつき、揺らぎの問題が起こっており、上手く機能していないと言うイメージが先行しているのは否めません。DFもハッキリとそう明言しています。
しかし、「PSSR」は機械学習AIアップスケーラーなので、アップデートを重ねてバージョンを進化させていけば、より良く改善していく可能性があるので、将来的な改善に期待するしかなさそうです。
ですので、DFの指摘した通り、PSSRを採用するにしても、現時点ではPSSRを任意でOFFにする事も可能にして、ユーザーが代替え策を任意で選択出来るようにするべきなのかもしれません。
一方で、ResetERAのフォーラムに投稿された「Star Wars Jedi: Survivor PS5 Pro」のアップデートに関するスレッドで、「Koralsky」と名乗る匿名の開発者が、特定のタイトルにおけるPSSRの画質の低さ(チラつき、ボヤけるなど)についてコメントし、ゲームによって画質が異なるのは、使用されているアップスケーラーのバージョンが古いためだと明かしています。
Respawnシリーズの最新作「スターウォーズ ジェダイサバイバー」に関して、開発者は
「このゲームがSDK バージョン9を使用しており(PSSR初期のものかもしれない)、 Unreal Engine 4のゲームであるため、最新バージョンのPSSRを使うには、SDK バージョン10以上を使用する必要がある。」
と述べています。
つまり、古いバージョンの開発キットで開発したため最新バージョンのPSSRアップスケーラーを実装できず、初期のバージョンのPSSRを使用しているため、画質が悪くなっていることを確認したようです。
Koralsky氏は、PlayStation 5 Proのアップスケーラーがすでにいくつのバージョンが提供されているのか、また各バージョンが以前のバージョンからどのように改善されているのかについての詳細は言及していないようですが、Koralsky氏は
「NDA(秘密保持契約)の関係で具体的なことは言えませんが(PSSRのイテレーションがすでに何種類あるのかとか、どのような改善点があるのかとか)、PSSRを使用したPS5 Pro対応ゲームの第2弾/第3弾では、IQ(イメージクオリティ)の改善が期待できます。
私が取り組んでいるゲームでは、TSR や FSR と比較して、PSSR(後期のバージョンの 1 つで、最新版ではない)の方がはるかに良い結果を出しています。 今後6~12ヶ月で、PSSRは、Proサポートタイトルの最初のバッチで使用された初期バージョンと比較して、はるかに良い状態になると期待しています。 実際すでにそうなっています。」
と述べています。
これが事実なのかどうかは不明ですが、前述の通りソニーのファーストパーティーの『Horizon』シリーズでは素晴らしいPSSRの成果を見せているので、ファーストパーティーの特権で優先的に最新バージョンの開発キット(最新バージョンのPSSR)を利用して開発していたのかもしれません。あくまで推測ですが。
しかし、DFの『GT7』検証動画でも、PSSR使用時に前を走行する車のテールライト周りにチラつきが発生していますが、極わずかな場面だけだったそうです。
とは言え、最新キットでもGT7のように極一部のシーンでは、PSSRの問題は完全には解決されていないのかもしれません。DFの指摘では特に1080Pを下回る低い解像度からのPSSRアップスケーリングで問題が多いようです。逆に1080P以上の高解像度(1080〜1440P)からの場合は上手く機能しているようです。
nVIDIAのDLSSも6年の熟成を重ねて現在に至るので、PSSRもある程度の改善まではしばらく月日はかかりそうです。🔚
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