マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが、株主に向けた2024年次書簡レターをLinked inで公開しました。
その中で、AIなど様々な分野について述べていますが、個人的にも「ゲーム」について語っている箇所が気になったので、その部分だけ抜粋して翻訳をご紹介し、個人的に感じた事をシンプルに述べたいと思います。
我々は、より多くのデバイスでより多くの人々に素晴らしいゲームを提供しています。
2023年10月に完了した「アクティビジョン・ブリザード・キング」の買収により、私たちのエコ・システムに数億人ものプレイヤーが加わりました。
キャンディークラッシュ、ディアブロ、ヘイローからウォークラフト、エルダースクロール、ギアーズ・オブ・ウォーに至るまで、生涯収益10億ドルを超える20のフランチャイズを展開しています。
そして、Xboxクラウドゲーミングにより、プレイヤーの皆様がお好きなゲームを、お好きな場所で、お好きな時に、お好きな方法で体験していただけるよう、これからも革新を続けてまいります。
最後に、ファンの皆様から大変ご好評をいただいている4タイトルを初めてNintendo SwitchとSony PlayStationに、提供しました。
今回、ナデラCEOがゲームについて言及したのは、多くのフランチャイズを抱えて展開している事、そしてそれらのゲームを多くの場所で様々な場所に提供する事を強調していました。
実質、XBOXに関しては「XBOXクラウドゲーミング」についてでした。これも結果的に多くのプレイヤーに自社ゲームを提供するためのサービスであり、XBOXハードウェアに直接関係はありません。
これらの発言からも分かる通り、私はマイクロソフトが巨大なゲームパブリッシャーへと変化しつつあるという事です。
XBOXのハードウェアは、パワフルなXbox Series Xという素晴らしい完成度のハードウェアと見事な後方互換システムなどを用意したにも関わらず、今世代もライバルのプレイステーションに前世代と同じく2倍近い差(一部報道では2倍以上とも言われている)をつけられ、プラットフォーマーとしては正直苦戦しています。
そんな状況下で、マイクロソフトが巨大ゲームパブリッシャーを次々と買収し、遂に「コール・オブ・デューティー」ブランドを擁するアクティビジョン・ブリザードまで手に入れましたが、独占タイトルをXBOXだけに投じるのではなく、プレイステーション、任天堂Switchなどにも今後提供していくという路線を拡大しようとしています。
この状況を見ると、マイクロソフトの過去の歴史から判断するに、XBOXブランド、ハードウェアはいずれ消滅してしまうのではないか?と懸念、もしくは不安に感じるXBOXユーザーの声を国内外でも聞こえてきます。
事実、マイクロソフト寄りなメディアでもある、WindowsCentralのJEZ氏が最近のナデラCEOの年次書簡を見て、悲観的というかネガティブな見方をしているようです。
Jez氏が最新の記事の中で言及した内容が非常に印象的というか、、悲観的な内容だったので、一部抜粋紹介します。
“少なくとも、マイクロソフトはゲームにチャンスを見出しているのだろう。 ありがたいことに、ナデラ氏はXboxについて言及し、同社が現在、生涯収益10億ドルを超えるフランチャイズを20以上持っていることを強調した。 しかし、サティア・ナデラ氏がXboxについて実際に言及したのは、Xbox Cloud Gamingの文脈だけだった。Xbox Cloud Gamingは、Xbox Game Passのサブスクリプションを超えて、来月にもAndroidでゲームを購入できるようにしたいと考えている。
現在Xboxを利用しているユーザーにとっては残念なことだが、ナデラ氏はXboxのタイトルをニンテンドースイッチとプレイステーションに提供し始めたことを明らかにした。ナデラ氏は、Xboxが独占ゲームを持つことを嫌っていることを公言しており、マルチプラットフォーム戦略 “Project Latitude “は継続されるようだ。ーたとえその過程でXboxのハードウェア・エコシステムが破壊されるとしてもだ。
マイクロソフトのXbox戦略は、ナデラがWindows Phoneを消滅させたように(そしておそらく数年後にはSurfaceも消滅するだろう)、Xboxハードウェアを消滅させる道かもしれないが、OpenAIとの初期のパートナーシップは、大規模な言語モデルを商業化する方法をますます探求している競合他社と歩調を合わせている。 現在のところ、これらのサービスは、その実行に必要な膨大なデータセンターの処理能力により、途方もない額の損失を出している。”
Jez氏は、「マイクロソフトがXBOXハードウェアのエコシステムを、いずれ消滅させてしまうのではないか。」と懸念し、悲観的な見方をしているようです。
これも前述の通り、これだけの巨大なゲームスタジオを抱えた大手パブリッシャーでもあるので、全てのタイトルをXBOX、PCだけの独占とするのは、ビジネス的視点でみれば、やってはいけない方向性ではあるのは、明らかです。
今のマイクロソフトは、今までのようなXBOXプラットフォーマーとしてではなく、巨大なゲームパブリッシャーに変貌しつつあるのと、現在は独占主義のプレイステーションでさえ、PCに自社の独占タイトルを次々と発売しているくらいなので、時代は変わりつつあるという事ですね。
今は1プラットフォーマーが、数百億円の巨大な開発費で開発するAAA大作を、独占で永遠に抱えるという時代は、過去の話になっているのかもしれません。あっても短い時限独占で、パブリッシャーも膨らみ続ける巨額の開発費を回収するには、1プラットフォームでは難しくなってきているという事です。
その点で、任天堂は本当に凄いなと感じます。実写レベルの膨大な開発費になるゲームではなく、マリオやゼルダのように適度にリアルでシンプルな映像でも肝心の中身で勝負というタイトルな訳ですね。ある意味、高効率なビジネスという事になりますが、それだけに自社で開発するハードウェアの失敗は許されないという重圧が常にのしかかります。
マイクロソフトは今まで、ライバルのソニーに追従し、常に競合機種をぶつけて発売してきましたが、巨大スタジオ買収した今年、遂にソニーのPS5Proに対して競合機種を出さず、従来機種のリフレッシュのみでした。
これは海外のXBOXファンからも、XBOXはPS5Proに対抗するPro機を出さないのか?という声もありました。私もそう感じましたが、結果的にマイクロソフトは、ゲーム部門のトップであるフィル・スペンサー氏がPS5Pro、PS4Pro、Xbox One Xのような強化型コンソールは現時点で必要性を感じていないと述べている事からも明らかです。
テック解析メディアのデジタルファウンドリーもYOUTUBE動画で、その事について議論している場面もありましたが、PS5Proに対抗機種を出さないマイクロソフトの姿勢には、前述のようにプレイステーションに大きくシェアを引き離されている事からも追従しないという姿勢に肯定的なようです。
マイクロソフトはアップグレード機、もしくは次世代機を前倒しで1年以内に発売するのではないかという話もしています。あくまでも推測の域を出ない話ではありますが、実際マイクロソフトのXBOX部門のサラ・ボンドさんは、「次世代XBOXは飛躍的な技術革新をする」と述べています。その事から、直近では新型のXBOXハードウェアが消滅してしまうわけではないので、もし前倒しで次世代機が出るならば、どのような技術革新なんでしょうかね?PCシステムのようなXBOXになるのか?例えば、グラフィックスカードなどのパーツを替える事が出来るとか、クラウドに特化した携帯機なのか、、
とにかく、来年以降のマイクロソフトの動向は注目して良いかもしれないというDFのトークは気になるところです。
via WindowsCentral
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