マイクロソフト・ゲーミングのCEOに就任したフィル・スペンサー氏(54歳)が就任してから、XBOX事業は壊滅寸前の崖っぷちから、ハードウェアをゲーム中心にシフトさせ、マインクラフトのモーヤン買収、ゼニマックス・メディア・グループ買収を成功させました。
アクティビジョン・ブリザードに関しては、ゲーム業界だけでなくマイクロソフト本社の買収額としても史上最高の買収額となり、お荷物とまで言われたゲーム事業を、今やマイクロソフトの主力事業に匹敵するまで重要な事業に躍進させました。正に“XBOXの救世主“とさえ言われています。
ウォールストリートジャーナルは、「アクティビジョン・ブリザードの買収が承認され、買収が成功すれば、マイクロソフトのゲーム事業は副業から中核事業に躍進させる可能性がある。」としています。
フィル・スペンサー氏は、マイクロソフト生え抜きの社員で、生粋のゲーマーある事は、よく知られています。
スペンサー氏は、20年にわたってゲーム・コンソール「XBOX」に重点を置いてきたマイクロソフトのビデオゲーム事業を、デバイスを問わずにプレイできる方向へとシフトさせ、更にマイクロソフトのサティア・ナデラCEOの中核と言えるクラウドコンピューティングにも結びつけました。
マイクロソフトでXbox事業の初期開発(1999年〜)を指揮した元マイクロソフト幹部のロビー・バック氏はスペンサー氏について、「ビジネスとクリエイティブ両者のバランスを非常に上手く取っていて、それこそが1番難しい事なのです。」と述べています。
「マインクラフト」を開発したモーヤン買収(2014年)について、この取引に詳しい複数の関係者によると、モーヤン側からスペンサー氏に買収を持ちかけられたそうで、スペンサー氏はそれをナデラ氏に伝え、マイクロソフトは25億ドルで買収したそうです。
なんとモーヤンから買収を打診されたとは驚きです。
マイクロソフトのモーヤン買収は、マイクロソフト史上最も成功したM&Aの一つと言われているそうです。匿名の元マイクロソフト幹部の証言では、ナデラ氏はモーヤン買収後に「ゲームにもっとつぎ込める資金はあるのか?」と聞いてきたそうです。既にこの頃から、ナデラCEOのゲーム事業に対する見方は変わっていたようです。
アクティビジョン・ブリザードの買収が、米連邦取引委員会 (FTC) の反トラスト法 (独占禁止法) 審査で正式承認されると、マイクロソフトは中国のテンセント 、日本のソニー・グループに次いで、世界第3位の規模のビデオゲーム会社になり、マイクロソフトのゲーム部門の売上高は年間200億ドル(約2兆3000億円)を超えるようになるそうです。
これは、マイクロソフトの「ウィンドウズ」部門に匹敵する規模で、ゲーム事業はもはや主力事業レベルの規模にまで拡大する事になります。
スペンサー氏は、高校時代にワシントン州南の町で過ごし、最初の関連仕事は家電販売店だったそうです。
そして、ワシントン大学在学中にマイクロソフトでインターンとして働き、同大学時代に技術・科学コミュニケーションの学位を取得、マイクロソフトに正式に入社してからは、「マイクロソフト・マネー」などのソフトウエアを開発するチームに在籍していたそうです。マイクロソフトに入社後もゲーム好きは変わらずだったそうで、勤務時間中にゲームをプレイすることさえあったとかw
2001年、マイクロソフトは初代XBOXを発売しゲーム市場に本格参入しましたが、スペンサー氏も同年にXboxチームに加わったようです。スペンサー氏と共に働いていた同僚の方々は、「彼は、普通の社員よりもゲームに夢中だった。同僚を自分のオフィスに呼んで新しいゲームを見せびらかしたり、会議中に携帯電話でゲームをしたりすることもあった。」と述べていますw
XBOX部門のメジャーネルソンとして知られるラリー・ハーブ氏は、「サティア(ナデラCEO)には内緒だが、フィルはゲームに夢中になることがよくある。チームズの会議中にも、XboxシリーズSで遊んでいることが多々ある。」と証言していますw
他にもスペンサー氏と共に出張の際、空港での待ち時間にゲームで夢中になって遊んでいた。という関係者の証言も過去にありましたw
そんなゲーム好きな生粋のゲーマーでもあるスペンサー氏、ゲームをしていないときは、ゴルフをするそうです。高校時代から交際していた彼女と結婚、現在は既に成人になった2人の娘さんがいるそうで、部下からは「とても穏やかで、温厚。」とされているそうです。
スペンサーさん、本当にゲーム好きな生粋のゲーマーだったんですね。
そして、スペンサー氏の大きな功績の一つに「ゲームパス」の成功があります。ゲームパスは既に2500万人を超える契約者数を抱えています。
スペンサー氏も「ゲームパス」には、並ならぬ思い入れがあったようで、スペンサー氏が中心に立ちこのプロジェクトを推進したそうです。
マイクロソフトで12年間XBOXに携わり、2015年に退社したリチャード・アービング氏は、スペンサー氏の部下が「ある会議で様々な理由を挙げて、ゲームパスはうまくいかない。と反論したことがあった」そうです。
“うまくいかない理由“として挙げられたのが、「ゲーム開発会社が参加したがらない」「利益を侵食する」などだったそうです。
しかし、そんな反論をされてもスペンサー氏は頑として譲らなかったそうです。「彼は絶対に引き下がらなかった。彼は常に、うまくいかせる方法を見いだそうとしていた。」とアービング氏は証言しています。
モーヤンのスタジオ買収打診、そしてゼニマックス・メディアの買収に関しても、ベセスダのトッド・ハワード氏とスペンサー氏が旧知の中で、その繋がりも大きかった。という証言もあり、こういった一連の成功も、フィル・スペンサー氏のゲーマーとしてゲームへの理解の深さ、そして温厚な人柄と信頼関係があってこそなのかもしれません。
ゲーム部門のトップとして、正に「理想的、最適な人物」と言えるフィル・スペンサー氏、まだまだ先ではあるでしょうけども、フィルさん程の素晴らしい方の後任選びも大変と言えそうです。🔚
via ウォールストリートジャーナル
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