マイクロソフトの「アクティビジョン・ブリザード」巨額買収。買収完了までの最大の壁は、“独禁当局の厳しい監視の目“かもしれない

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ウォールストリートジャーナルの報道によると、マイクロソフトが総額750億ドル(約8兆5900億円)で、米ゲームソフト大手アクティビジョン・ブリザード買収提案した事で、米国や海外の独禁当局の厳しい監視の目にさらされるだろう。としています。最近の世界各国の独禁当局は、ハイテク分野での買収提案を厳しく精査する姿勢を強めているという状況だからです。

マイクロソフトのゲーム大手「アクティビジョン・ブリザード」の巨額買収提案は、米政府がアメリカの巨大IT企業に対して規制を強めるべきかどうかの議論が活発化している中で、発表されています。

遡ること1990〜2000年代、マイクロソフトは特に欧州の独禁当局に目を付けられ、巨額の罰金を支払ってきた過去があります。

米司法省、連邦取引委員会(FTC)そして米議会議員らは最近、グーグル、アマゾン、アップル、フェイスブックなどGAFAの脅威に注視していました。しかし、今回のアクティビジョンへの巨額買収提案によって、今度はマイクロソフトが厳しい精査を受ける番になった可能性があるとの事。今後はM(Microsoft)を加えたGAFAMに注視ということになりますねw

元米司法省反トラスト局長であるマカン・デルラヒム氏は、「米国の反トラスト当局の最近の動きや、EU、英国など海外の当局も、最近はかつてないほど積極的な対応を取っていることから、当局が今回の買収合意を精査するであろうことを示唆している」と語っているそうです。

米司法省、FTCも広範な買収案件については、“市場競争を阻害する恐れがある“という理由から、異議を表明する可能性も含めて精査する意向との事です。

報道によると、18日にマイクロソフトが今回の買収合意を発表してから数時間後に米独禁当局は、買収提案の精査に関する政府ガイドラインを再検討する方針を示したそうで、早速動きが出ているようです。

米国でこの件を精査する機関が司法省なのか、FTCになるのかはまだ分からないそうで、両機関の当局者は、今回のマイクロソフトによる巨額買収に関するコメントを差し控えたとの事。

マイクロソフトは、ここ数年でゲームスタジオ買収を加速しています。マイクロソフトが買収したゲームスタジオの数は1年前の23社から今回の買収で32スタジオに増加、業界でも屈指の巨大スタジオ連合になっています。

2014年にサティア・ナデラ氏が最高経営責任者(CEO)に就任以降、なんと3倍に増えたことになります。スタジオ買収路線は、XBOX部門のトップに就任したフィル・スペンサー氏の考えも含まれていると思われます。

フィル・スペンサー氏はインタビューで、

「私たちは、売上面でまだテンセントやソニーといったライバルに後れを取っています。現在は、モバイルが世界で最も支配的なゲーム端末です。それはマイクロソフトがまだ特別な能力を持っていない分野です。今回の取引(買収)でモバイル・プラットフォームのビデオゲームへの支配を弱めるのに役立つでしょう。私たちの旅は、今後も長く続くことは分かっています。それは、プレイヤーに届けるためのものでもあります。」

と述べています。

マイクロソフトが買収した人気タイトルでもある「マインクラフト」にはモバイル版もありますが、マイクロソフトはそれ以外にモバイルゲームで大きなシェアはありません。モバイルゲームは昨年、コンソールやPC向けゲームを合わせたよりも多くの収益を生み出し、市場規模は非常に大きいので、マイクロソフトにとってはモバイル市場が今後の課題となっています。

フィル・スペンサー氏が、カジュアルゲームのスタジオに興味があると述べていたのもそういうことなのかもしれません。マイクロソフトは、今回の買収でカジュアルゲームの「キャンディークラッシュ」のKINGを傘下に収めることにもなります。

しかし、一部の消費者保護団体は今回の買収に対し、直ちに懸念を表明したようです。

非営利の消費者保護団体パブリック・シチズンのアレックス・ハーマン氏が「またも巨大IT企業の一つで最大規模のマイクロソフトが、市場での地位を強化しようと競争相手を臆面もなく取得しようとしている。FTCと司法省は、今回の買収手続きを決して認めてはならない。マイクロソフトが「メタバース」に賭けたいと望むのであれば、競争相手を飲み込むのではなく、新たな技術に投資すべきだ。」と厳しく批判しているようです。

ウォール・ストリートジャーナルは、「今回のマイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザードの買収計画が欧州で厳しい審査を受ける公算が大きい。」と述べています。なぜならここ数年、EU欧州委員会の競争規制当局が巨大IT企業による買収、統合への警戒感を強めているからだそうです。

マイクロソフトが巨大な「アクティビジョン・ブリーザード」を傘下に置くことで、コンソール・ゲームのライバル企業(任天堂、ソニー)に対し、不公平な競争状態を生み出す可能性がないかどうかも精査されるようです。

マイクロソフトはXbox、ゲームパスを通して、より多くの独占タイトルをライバルより安価で、良い条件でユーザーへ提供する事が可能になり、ソニーの「プレイステーション」や任天堂の「ニンテンドースイッチ」より、Xbox、PCをユーザーに強いる可能性も懸念されてるとの事です。

しかし、最近フィル・スペンサー氏は買収発表後に、ソニーの上層部と会談し「『コール・オブ・デューティー』は今後も継続してプレイステーションに提供する。」と述べています。

買収の完了は、2023年6月30日までにと言われています。それまでには独禁当局という大きな壁をクリアしなければならず、更に欧州の当局も厄介な存在になるかもしれません。🔚

via ウォールストリートジャーナル

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