米情報機関は一体、何を隠そうとしているのか?そして、何故そこまで見せたくないのか?やはり国防に関わる機密情報が絡むので、敵を利することになるからなのか?
POLITICOのブライアン・ベンダー記者が、米政府の複数の現役・元政府高官から聞いた話として、「一部の軍事・スパイ機関は、「未確認空中現象(UAP)」に関する資料を集めようとする取り組みを妨害したり、見て見ぬふりをしたりしている。」と記事でレポートしています。
その結果、「連邦政府がすぐに情報を共有することはないだろう。バイデン政権は待望とされている議会へのUFO情報の報告を遅らせることになりそうだ。」と述べています。
米上院情報委員会は、米国家情報長官に対し、米国防総省と協力して、軍関係者から報告を受けたり、レーダーや衛星などの監視システムで捕捉された、原因不明の高性能航空機(UFO,UAP)や高性能無人機(ドローン?)の目撃情報を6月25日までに公開するよう要請しています。
今回の要請は、2017年に米国防総省が、海軍の艦船につきまとう姿がビデオに収められた未確認の超高性能物体など、一連の原因不明の軍空域への侵入を研究していることが明らかになったことを受けたものです。
しかし、今回の調査を指示している委員会は、機密情報の共有に難色を示す場合もあるような機関から情報を引き出すためには、時間が足りないので更なる時間とリソースを大幅に増やすことを提唱しています。それは、機密情報を共有することに抵抗を示している場合もあるからだそうです。また、政府高官の関与がなければ、各省庁に情報を開示させることは困難であると懸念しているようです。
元米国防総省の情報担当官で、UAPビデオ公開の仕掛け人の一人でもあり、一連の情報公開規定の制定を働きかけ、現在も政策立案者に助言を行っているクリストファー・メロン氏(クリス・メロン氏)は「情報にアクセスするだけでも、さまざまな安全保障上の官僚制度があるため、それ自体が試練です。」と語っています。
昨年8月に設立された海軍を中心とした国防総省の「UAP(未確認空中現象)タスクフォース」は、人員やリソースが少なく、軍用システムで収集した報告書やビデオなどの具体的な証拠品の入手には苦戦しているようで、僅かな成功しか収めていないと主張しています。国防総省の「UAPタスクフォース」は、より広範な政府報告書に貢献する主要な軍事組織となることが期待されています。
クリス・メロン氏はインタビューで「UAPタスクフォースが、関連情報へのアクセスを空軍から拒否されていることは知っています。空軍からは厳しい態度で臨まれているようです。それは非常に残念なことだが、予想外のことではありません。」と暗に空軍のこういった態度は予想していたようです。
米空軍は、冷戦時代の調査ではUFOとの関わりが深かったこともあり、この問題に関する質問はすべて国防長官室に委ねられ、国防長官も同様に、この取り組みについてはほとんど公にしていないようです。
ペンタゴンのスポークスマン、スーザン・ゴフは、「国民の保護、作戦上の安全性の維持、情報収集手段の保護のためです。我々は、UAPの監視やタスクフォースの調査の詳細について公にはしていません。」と述べ、一連の空軍の批判への対応をかわしています。
議会に提出される報告書には、画像処理衛星、盗聴器、スパイなど、さまざまな手段で収集された「未確認現象データの詳細な分析」などかなり具体的な内容が含まれるようです。また、公開命令には「米国の制限空域における未確認航空現象(UAP)侵入データの調査から得られた、FBIの詳細な分析データ」も含まれていなければならないそうです。
更に、報告書にはどの諜報機関が情報を取得したかに関わらず、連邦政府に報告されるすべての未確認空中現象(UAP)のタイムリーなデータ収集と集中分析を保証するための各省庁間プロセスの詳細な説明が含まれていなければならないとの事。この事から、かなり突っ込んだ内容の報告書になるため、機密情報も含まれておりそれに抵抗を示す機関もあるようです。
クリス・メロン氏は、「このような機密情報を、国家安全保障に関わる官僚組織全体から集めることは前例もなく、非常に困難なことです。この苦しいプロセスを、何十もの異なる機関、陸軍(US ARMY)、CIA、国家偵察局(NRO)、国家安全保障局(NSA)、国防情報局(DIA)、国防高等研究計画局(DARPA)と繰り返さなければならないのです。」
POLITICOの質問に対し、国家情報長官アブリル・ヘインズのスポークスマンは、「議会への報告書は作成中です。我々は議会委員会の要求を認識しており、それに応じて対応します。」と述べ、それ以上の詳細については言及しなかったそうです。
ブライアン・ベンダー記者は、「報告書の提出を渋ったり、意図的に遅らせれば、アメリカ国民の多くは、米政府が知っていることを隠そうとしている。と受け止めてしまうだろう。」と釘を刺しています。
この報告書を要求した責任者であるフロリダ州選出のマルコ・ルビオ上院議員は、フォックス・ニュースで、
「軍や情報機関が、UFOの起源について確固たる結論を出したとは思えません。それが何であるかを知るために努力しなければならないのです。論理的な説明があるかもしれない。もしかしたら、技術的な進歩を遂げた外国の敵(ロシア、中国?)かもしれません。彼らが期限の6月1日までに、報告書を提出するとは思えませんし、何を扱っているのか明確な結論が出ているとも思えませんし、もしくは完全な答えよりも新たな疑問が出てくるかもしれません。私が言えるのは、米国政府は、未確認飛行物体について、かつてない程真剣に調査に取り組んでいるという事です。」
と答えています。
更に、ドナルド・トランプ前大統領の下で国家情報長官を務めたジョン・ラトクリフ氏は、先週のフォックス・ニュースのインタビューで、
「”無人航空機現象”と呼ばれるものについて、たくさんの目撃報告があります。目撃情報とは、海軍や空軍のパイロットが目撃したり、衛星画像に写っていて、率直に言って説明し難い動き(物理の法則を無視した動きで飛行)をしている物体のことを言っているのです。それは、技術的に再現が難しい動き(急停止、急ターン、瞬時に急加速)や、音速を超える速度で移動してもソニックブームが全く起きないことなどです。」
最近の事例として、2年前の2019年にカリフォルニア沖で海軍の駆逐艦を悩ませた正体不明の「小型の飛行物体、ドローン」の群れについて、テクノロジーサイト「The Drive」が明らかにしています。
2019年7月、カリフォルニア州のチャンネル諸島周辺で、数日間にわたり米海軍がシンプルに「ドローン」または「UAV」と呼ぶ、正体不明の航空機の集団が、海軍の艦船を追跡し飛び回ったようです。
2019年の夏に起きたこの不穏な一連の出来事は、海軍の最上層部にまで調査が及び、海軍、沿岸警備隊、FBIなどによる捜査が行われ、海軍の指揮系統の頂点である海軍作戦本部長をはじめ、大きな注目を集めたとの事。
夕方の遭遇時には、なんと6機もの未確認の航空機が、艦船の周りに群がっていたと報告されています。
不明の無人航空機は視界の悪い中を長時間飛行し、ロサンゼルス沖100マイル(約160km)の軍事訓練場の近くの海軍の軍艦の頭上で大胆な行動をとっていたと言われています。
2017年まで米国防総省で極秘の調査組織だったAATIPでUAP(未確認空中現象)の研究を主導し、この問題が国防総省内で真剣に扱われていないことに不満を感じて抗議の意を込めて辞職し、現在は軍の非公式な顧問を務めるルー・エリゾンドは、
「官僚機構の内部には、この問題について率直に話すことに対して大きな抵抗がある。話せば、汚名とタブーがつきまとっています。このミッションがぴったり当てはまりそうな組織は、抵抗を感じています。何十年にも渡り、世間ではタブー視されてきた問題なので、誰も指示されることなくこのような話題で自分や上司のキャリアを危険に晒す事はしたくないのです。消極的な抵抗と言え、調査活動にリソースや人材投入など、一切何もしてくれません。各機関の協力体制が整っておらず、敵に有利な機密情報を守ろうとしている。という意見もあります。」
と述べています。
ルー・エリゾンド氏
国防次官を務めたエレン・ロードは、「国防総省がこれまで抱えていた課題の1つは、未確認物体の侵入に関するデータを収集する多くの情報収集組織や軍の組織が、すべて非常に縦割りの構造でうまく連携が取れていないことです。」
彼女はまた、すべてを公表しない正当な理由があるかもしれないと述べています。
「SFや宇宙人のような要素を求めて、ウサギの穴(Rabbit Hole)に入ってしまう(本筋から外れる)ことがあると思います。実際には、敵に利用されている技術もたくさんあり、それに対処する方法もあります。しかし、それは機密情報でもあり一般的には公の場では語られないことです。そこにこの種の問題の難しさがあるのです。」
しかし、元米政府エネルギー長官で現在はNM知事でもあるビル・リチャードソン氏は、UFOドキュメンタリーフィルム最新作の「The Phenomenon 」( iTunes映画ストアで日本語字幕版で配信中 )内でのインタビューで
「私はロズウェル事件は事実で、実際に地球のものではない何かがそこに落ちたのだと疑っています。そして私たちは、情報を開示することでアメリカの人々が、あれはなんだったのかについての判断を下せるようにするべきです。これはおそらく、国家安全保障とは何かということに対する過剰反応の最も露骨なケースです。国民には知る権利があります。」
と述べ、アメリカ政府や情報を持っている機関は情報を公開すべきだとしています。
しかし国防総省は、昨年組織された「UAP(未確認空中現象)タスクフォース」の詳細を語ることを拒否していて、何人の人員が配置されているのか、どのくらいの予算が与えられているのかさえも明らかにしていません。
エリゾンド氏は、
「今のままでは6月までにこのような障害を克服できる可能性は低いと考え、より多くの時間とリソースを要求する為に、中間報告を設けた方がいい。このような状況では、十分な時間とリソースを確保することができません。議会が期待しているだけでなく必要としている、そして率直に言ってアメリカ国民も必要としている、包括的な政府全体の報告書を提供するには、確かに十分な時間ではありません。すべての関係者に報告させるという大変な作業に加えて、すべての関係者が文言に同意して承認するという、慎重かつおそらく非常に困難なプロセスが必要になる。このプロセスだけでも数週間から数ヶ月以上かかるだろう。」
と、難色を示している空軍や情報機関からしっかりと情報を引き出すには、中間報告を設けた方が良いと考えているようです。
クリス・メロン氏は、「ヘインズ氏やキャスリーン・ヒックス国防副長官など、行政府の高官が直接関与することで、仕事を適切に行うために協力を得る事が必要だと証明されるだろう。良いことは、双方の指導者がこの未確認飛行物体の問題を今までにない程、真剣に受け止め誠意を持って行動しているように見えることだ。」と述べています。
via POLITICO, FOX NEWS
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