昨日、マイクロソフトがXbox Series Xに向けてのファーストパーティタイトル、サードパーティタイトルのショーケースイベントを配信し、Halo Infiniteを含む、バリエーション豊かなゲームタイトルが披露されました。
年内に発売されないタイトルもいくつかありましたが、多くはXbox Series Xの発売と同時か、もしくは年内にはプレイ出来る数多くのタイトルがありました。
しかし、今回ショーケースイベントを観ていて感じたことがあります。まず、Halo Infiniteはゲームプレイをしっかり見せてくれましたが、その他は開発者自身のビデオメッセージはありましたが、相変わらずゲームプレイ映像が少なかった事です。開発者から注目のアンリアルエンジン5で開発中の「Hellblade 2 Senua’s Saga」も開発スタジオのニンジャセオリーの方が本作のロケーションダイアリービデオの告知をしただけでした。
Xbox Series Xの強力なCPU、GPUパワーを全面的に押し出したものを期待していた人には若干期待外れだったのではないでしょうか?
もちろん、素晴らしいグラフィックスを実現したタイトルもありましたが、それより印象的だったのが、全てのタイトルがXbox Game Passに対応し、それを強くアピールしていた事です。これはドラクエ11sがXBOXに出ることもサプライズでしたが、それ以上にまさかのXbox Game Pass入りには驚きました。この発表を見た時に、マイクロソフトはGame Passに本腰を入れてるなと誰もが感じたのではないでしょうか?
その事からも、今回のショーケースはXbox Series Xのゲームをアピールもあるとは思いますが、それ以上にXbox Game Passに加入してもらうための展示会のように見えたというのが正直な感想です。決してこれが悪いわけではありません。ハリウッドの映画界、TV界を見ても分かる通り、ストリーミングのNETFLIXやケーブル局のHBO(同種のサービスでも拡大)が大きな存在感を見せて席巻しています。
マイクロソフトのXbox Game Passは、正にゲーム版NETFLIXとも呼ばれおり、プラットホーマーにとって今後のサービスの要になると言われており、サードパーティやソニーもこの月額定額での遊び放題サービスで多くの加入者を獲得することが、今後の重要なキーポイントになると言われています。
Xbox Game Passはライバルのソニーより遅れての立ち上げにも関わらず、既に数倍多い1000万人を超える加入者を獲得しており、シェアを大きくリードしています。
数日前のマイクロソフトの決算報告でサトヤ・ナデラCEOは、「Xbox Game Pass(コンソール、PCも含めて)は記録的なペースで加入者が増えている。」事を明らかにしていますし、フィル・スペンサー氏は「Game Passで1000万人もの巨大なベースが出来たことで、ゲームを開発する際の評価基準に新たにGame Pass購入者をベースにした今までにはない評価基準が出来、リスクを取って今までにない基準でゲーム開発を生み出すことが出来る様になった。」と発言しています。
更にXbox部門のボスでもあるフィル・スペンサー氏は、「今やライバルはソニーでも任天堂でもなく、グーグルやアマゾンです。」と発言しています。この発言の真意は、おそらく今やコンソールを中心とした競争ではなく、クラウドや定額サービスでいかにユーザーを多く獲得出来るかに移行しつつあり、コンソールユーザーだけでなく、スマートフォンやタブレットを介したユーザーの獲得競争でもあると思います。
こういった事を踏まえると、今のマイクロソフトがフォーカスしているのは、明らかにXbox Game PassがXBOX事業の中心に位置しており、ゲーム機はあくまでXbox Game Passに来てもらう為の窓口に過ぎないという印象です。もちろんゲーム機が重要ではないと言っているわけではなく、最強パワーを擁したXboxSeriesXを出して素晴らしいグラフィック、高いフレームレートを実現することで、そう言ったハイエンド志向のコンソールゲーマーをXBOXを買ってもらう事も大事なことですが、最終的にはXbox Game Passへと行き着くわけです。マイクロソフトはXbox Liveのアクティブユーザーも重視していましたが、今や最重要項目の筆頭はXbox Game Passの加入者数でしょう。
過去最高規模の多数のスタジオ買収し傘下に収めているのも、ゲーム機を売るためというより(もちろん、その一端もあるでしょう)、Xbox Game Passに加入してもらうためではないかと思います。そしてマイクロソフトは、先日Xboxゲームをスマートフォンやタブレットなどでも、クラウドを経由してプレイ出来るクラウドゲーミングサービスの「Xクラウド」をGame Pass Ultimate加入者には無料で提供することも発表しています。
これは前述したように「Xクラウド」を窓口にしてその背後にいる膨大な数のスマートフォン、タブレットユーザーをXbox Game Passに引き寄せる事が視野にあると思われます。XBOXユーザーではないスマートフォン、タブレットユーザーが、どれだけXbox Game Passに興味を引くかは未知数ですがw
しかし、今までの伝統的な次世代ゲーム機のローンチとは、明らかに違う方向性を目指しているのがマイクロソフトで、伝統的に現行機から速やかに次世代機に移行してもらうために現行機との違いを強くアピールし、次世代機に特化したタイトルを優先しているのがソニーで、この方向性の違いも面白いなと思っています。
マイクロソフトは最終的には、Xbox Live Goldという概念も取り払い、Xbox Game Pass Ultimateに1本化させたいのではないでしょうか?その方がシンプルでユーザーも迷うこともなく、入り口も簡素化すれば加入しやすくなります。
しかし、中にはPCはいらないよというユーザーもいると思うので、その辺りは区別するのかは分かりませんが、とにかくマイクロソフトは明らかにソニーとは方向が違うという事です。
どちらのプラットホームの方向性が合う、合わない、好き、嫌いは別として、今後年末に向けてマイクロソフトのファーストパーティの新作や、ショーケースで発表されXbox Game Pass入りした強力なタイトルが大量に投下されると、より一層Xbox Game Passのバリューが高まり、このサービスの価値は更に高まる事は確実と思われます。
将来的に、このサービスこそが鍵になると言われているのも分かるような気がします。我々ユーザーから見てもXbox Game Pass、Xbox Game Pass Ultimateは明らかに「超お得だ」と感じるからです。あっという間に1000万人を超える膨大な購入者数を獲得した事が何よりの証拠ではないでしょうか。
次世代ゲーム機では、過去のソニーvsマイクロソフト、vs任天堂とは違った物になりそうです。極端な事を言うと「過去のゲーム機戦争」のような競争はもう存在していないのかもしれません。🔚
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