マイクロソフトは、Xbox Series Xで前例のない驚くべきペースで次々と詳細情報を公開しています。しかし、発売予定の年末まではまだ半年以上も待たなければなりません。
マイクロソフトは、現行機であるXbox One Xも発売前の1年前である2016年のE3で突如プロジェクト・スコーピオとコードネーム名で発表し、6テラフロップスの処理能力と当時のゲーム機としてはとんでもないスペック(先に発売していたPS4Proが4.2テラフロップス)でした。振り返れば、次世代ゲーム機の発表を発売前の1年以上前に発表するというのは前例のない事でした。
今回のXbox Series Xでも同様で、1年前の2019年のE3でプロジェクト・スカーレットとXbox One Xと同様に、プロジェクト名で発表されその半年後の2019年末、ゲーム業界のアカデミー賞でもあるゲームアワード2020の授賞式で突如、サプライズとしてXbox Series Xという正式名に加え、予想外の本体、そしてXboxSeriesXのエンジンで動く次世代タイトルヘルブレード2間でも公開されました。
その後も積極的な情報公開を進め、先日テックメディアでテスターでもあるデジタルファウンドリーをマイクロソフト本社に招待し、12テラフロップスという驚愕スペック、技術の詳細からハードウェアの中身からパーツ一つ一つまで全てを公開した上で、実機でのデモも多数公開されました。発売半年以上も前の段階で次世代ゲーム機のこれだけの情報量を公開するのは、本当に異例な事です。
その背景にはまずコロナウィルスによる感染拡大による数々のイベント中止、そして盛大に公開する予定だったE3が中止になってしまった事です。本来開催される予定の6月に独自オンラインイベントを開催するらしいですが、この状況下のままでは厳しいかもしれません。
後は、現在シェアで先行されているソニーに対して、巻き返そうという意気込みも感じられます。日本ではあまり報じられませんが、Xbox One Xは価格面を考えると全世界では好評でセールス自体は悪くはないようです。
マイクロソフトは、Surfaceブランドを立ち上げ、タブレットPC(Surafce)、ノート(Surface laptop,Surface Book)、デスクトップ(Surface Studio)なども開発をスタートさせ、そこで得たノウハウが、Xbox One S、Xbox One Xなどに活かされている(マイクロソフト開発チームがそう述べている)事からも、マイクロソフトのハードウェア設計、製造技術は今やOS屋、ソフト屋など言われていた頃とは全く違い、今や一流のソフトウェアメーカーであると同時に、一流のハードウェアメーカーである事も認識した方が良いでしょう。それは、Xbox One S、Xbox One Xの高い完成度からも感じ取れる事が出来ます。
テック系メディア&テスターのデジタルファウンドリーがマイクロソフト本社に招待されて公開されたXbox Series Xの詳細は驚くべきことがたくさん含まれていて、以前書いた記事でも書ききれなかったので、今回は要点を絞って紹介していこうと思います。
Xbox Series Xの電源容量は315W
Xbox Series Xの電源容量はなんと315Wです。(Xbox One Xは245W) プロセッサーを介して供給される電力量が非常に多いため、レギュレータは1平方インチあたり100Wを供給し、最大190Aを供給します。このため、メインボード(マザーボード)は異例の2枚に分かれた構成になり、数cmの厚さのソリッドなアルミブロックを介して2枚に分かれたメインボードを挟む形になります。1枚にはメインプロセッサー、GDDR6モジュール、電源レギュレーターなどの高出力コンポーネントが搭載され、2枚目はサウスブリッジボードで、主にI / Oを処理します。315Wは確かに大容量ですが、PS3は399Wだったそうですw
Xbox Series XはCPUが固定3.8GHz(SMT時3.5GHz)、GPUが52CU 1.852GHz固定クロックで一定して12テラフロップスというパワーを出力します。正にゲーム機としては桁外れの性能な為、多くの発熱を処理する上でタワー型になったようです。パーツの組み上げを見ていると、まるでテトリスみたいですw
ただし、冷却には万全の配慮が成されているようで、アルミブロックを2枚後世のメインボードが挟む形で縦に配置され、ハイエンドPCに使われるような巨大なヴェイパーチェンバー方式の銅製プレートと巨大な軽量アルミヒートシンクが組み合わせられています。そして綿密に計算されて開発されたと思われる巨大なファンが採用されています。ファンの直下に315W電源とメインボードで挟まれたアルミブロックが配置されています。
そしてこのメインボードのチップとダイレクトに接する部分は、巨大な銅製ヴェイパーチェンバープレート。この巨大な大きさは、メインチップだけでなく、高速なGDDR6メモリー、最大190Aの巨大な電力を供給するレギュレータも接するようになっていて、これらの熱を軽量の巨大アルミヒートシンクに逃します。
Xbox Series 最上部に設置される、巨大ファンは下から風を吸い込み、巨大で重いヴェイパーチェンバー方式のプレートから軽量のアルミヒートシンクへ伝わった熱を吸い出します。プロセッサーに組み込まれたハードウェアが メインチップ上の多数のチップを随時監視し、必要なときに冷却電力を供給しながらシステムを可能な限り静かに保つシステムファームウェアが開発されました。
冷却の要でもある風を生み出すファンには、相当こだわって開発されたようで、開発チームによると製品上で多くの種類のファンと空気の流れ、量を観察、研究し、結果的に単一の軸流ファンが最も効率的で静かだったそうです。ファンはシステムの範囲内で動作するように高度に最適化され、ベアリング構造からフィンの角度、形状なども吟味され、最低限の回転数で多くの風量を確保しファンノイズ抑制なども工夫もされていそうです。
その結果、Xbox One Xより空気の流量が70%も向上し、ヒートシンクを通過する風量も20%増加しました。それはうるさくなるという意味ではなく、より空気の流れがより増えたことでより効率よく吸い込み、冷却して熱を排気出来ているということです。
そして巨大ファンの一角にはXbox One X同様に、開発チームの「遊び」が隠されていて、マスターチーフがw
冷却はメインチップだけではありません。Xbox Series Xには最大3.8Wで2.4GB/sで動作する1TBの高速 NVMe SSDが内蔵されています。SSDは熱を持つと、スピードが遅くなるのは知られています。そこでマイクロソフトは「サーマルバイアス・スプリング」と呼ばれる金属ケージのようなスロットに装着されたバネがSSDのメタルソケットに接地しスロット全体の金属フレームに熱が伝わり放熱し、下からの吸い込まれた風がシステムを通過するときに冷却空気で冷却される方式になっています。これは、背面拡張スロット部と拡張1TB SSDカードも同様の作りっぽいです。よく考えられた構造だと思います。
そして微妙に改良されたコントローラー。共有ボタンはスクリーンショットやゲームクリップなどへ簡単にアクセス出来、グリップは使い慣れていながらも持ちやすいようです。特にDパッドは既存のパッドを大幅に改善したように感じられるようでかなり良さそうです。
内部は、最新のBluetooth無線が統合され、Xbox以外のハードウェアへの接続がより簡単になり、既存のワイヤレスインターフェイスが洗練されて遅延が少なくなっているとの事。これはソフトウェアベースの改良なので、この遅延解消は既存のコントローラーにも恩恵があるようです。新しいコントローラーはXbox Series Xだけでなく、現行のXbox Oneシリーズでも使えます。
Xbox Series Xには膨大な量の新たなテクノロジーが詰め込まれていて、自分もブログで書く為に色々とインタビュー記事を読んで、正直なところ圧倒されてしまいました。
コロナウィルス感染拡大という脅威で軒並み関連イベントが中止になったことで、マイクロソフトも情報を一気に公開した経緯もあるんでしょうけどね。。
しかし、アメリカでのコロナウィルス感染拡大が深刻になってきており、大丈夫でしょうかね、、なんとか無事に予定通り発売してくれる事を願うばかりです。。🔚
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