アメリカの情報機関将校から内部告発者に転じたデビッド・グラシュ氏が、米の闇予算による未知の墜落物回収とリバース・エンジニアリング・プログラム(逆行分析)に関する疑惑を告発した7月26日の下院による未確認異常現象(UAP)公聴会の直後、両陣営の一握りの代表者たちが、アメリカ国民にこの問題の透明性の確保を約束しました。
この超党派による有志の議員グループ(UAP Caucus「コーカス」=UAP議員連盟)は、議会における彼らの同盟者と同様に、この極秘UAP回収、リバースエンジニアリング計画のさらなるアクセスを追求してきました。
7月27日、ティム・バーチェット下院議員(テネシー州選出)は、アンナ・ポーリナ・ルナ下院議員(フロリダ州選出)、マット・ゲーツ下院議員(フロリダ州選出)、ジャレッド・モスコウィッツ下院議員(フロリダ州選出)とともに、ケビン・マッカーシー下院議長宛てで「いかなる常任委員会の管轄外」かつ「召喚権限を持つ」権利を保有した特別委員会の設置を求める書簡に共同署名しました。
しかし、The Daily Wireのインタビューでティム・バーチェット議員は、
“特別委員会の設置要求は却下されたと述べ、この動きは “我々の動きを制限してしまう事になる。 “
と述べています。政府内にはまだまだ情報公開を阻む勢力が多くいるようです。
UAP議員連盟は8月、情報コミュニティ監察総監(ICIG)のトーマス・モンハイム氏に書簡を送り、デビッド・グラシュ氏から提供されたとされる未確認異常現象に関する多くの情報を提供するよう求めました。
モンハイム氏は9月15日(UAP議員連盟が設定した期限)に書簡を返信し、ICIGは「DNIの責任と権限の範囲内で、UAPプログラムの疑いについて監査、検査、評価、見直しを行っていない。」と述べています。この流れからも内部告発で多くの情報が寄せられているにも関わらず、消極的な姿勢を感じられます。
しかし、アメリカ国民に対しての透明性をめぐる戦いが表面化している一方で、水面下で起こっていることは、より重大な結果をもたらすかもしれません。
Publicの新しいレポートによると、ここ数ヶ月の間だけで、政府職員や請負業者(軍事企業)など、30人以上の内部告発者が、続々とICIG、国防総省監察総監、議会に情報を提供しているようです。
また、Publicの取材に応じた全てを知る立場にあるという匿名の人物の話によれば、国防総省の全領域異常解決オフィス(AARO)に情報提供、証言した関係者は50人近くにも及ぶそうです。
シュレンバーガー氏は、「彼ら(内部告発者)は皆、とても怯えていた。その怯え方は尋常ではないように見え、私には彼が事実を語っているように感じられた。」
と述べています。公開された証言によると、
「米国、ロシア、中国政府による墜落機体の回収とリバースエンジニアリング計画、回収された機体から得られた物質のテスト、政府の積極的かつ継続的な情報隠蔽操作、UAPSとの精力的な軍事行動、非人間的知性(NHI=Non Human Intelligence)との接触と協力、非従来型の推進力を持つ三角形の機体のリバースエンジニアリングの成功など、直接的な報告から間接的な報告も含まれている。」
とのこと。
この話が事実ならば、想像以上に多くの物体が墜落、回収されているようです。
問題は、そのような多くの直接の当事者、もしくは元関係者などの内部告発が過去にもあるにも関わらず、情報コミュニティ監察総監(ICIG)やAAROなど政府の担当部署は何事もなかったかのように、とぼけた姿勢で否定し続けている事です。
前述の通り、内部告発者たちは、当局の報復に命の危険を感じ、尋常ではないほど怯え、匿名を条件に証言したようです。
多くの懐疑論者は、墜落物回収やリバースエンジニアリングプログラムの主張は、アメリカの闇予算による極秘軍事兵器プログラムを覆い隠す(Cover up)、あるいは現在の政治的危機からアメリカ国民の目を逸らすために計画された心理作戦の一環と主張しています。
確かにその主張は強ち間違ってはいないかもしれません。過去数十年に渡り、CIAや軍はUFOや宇宙人といった情報で隠したい情報に混ぜて、人々の関心を核心部分から注意を逸らす事に成功してきました。この手法は「クラックポット」というそうです。
だからこそ、敵国に知られたくない画期的な航空機が極秘に存在していると仮定するならば、軍の立場からはUAPや地球外の物体ではないか?と見られている方が好都合な訳です。
これはあくまでもUAPが米空軍、もしくは海軍の超極秘機体だったらの場合です。
元空軍情報将校で防諜部員でもあった悪名高きリチャード・ドーティ氏は、空軍特別捜査局で働いていた時に、UFO関連の偽情報を流したり、工作活動をしたと何度も証言しています。最近は多くのTV番組や関連メディアなどに登場し、証言しています。しかし、彼のような偽情報を広めてUFOジャーリストらを混乱させた人物の言い分をそのまま受け止めても良いのかどうかは疑問が残ります。
興味深い証言には、遺伝的に異様に細い特異な体型をした人間を雇い、宇宙人に見せかけた事もあったと述べています。
しかし、国防総省の元任命者マリク・フォン・レンネンカンプフ氏がPublicに対し
「監察総監室(OIG)を通じて行われる偽情報キャンペーンは、個人を訴追、懲役、罰金のリスクに晒すことになるため、現在はそのような試みが行われる可能性は低い。」
と述べています。
現在、チャック・シューマー上院議員(民主党)とマイク・ラウンズ上院議員(共和党)が提出し、国防授権法の一部として署名されるであろうUAP開示法(シューマー&ラウンズ法案)が、下院委員会のメンバーの間で議論されています。
この法案は、JFK暗殺事件に関する記録の機密解除を目的とした法案をベースにしたもので、9人の委員からなるUAP記録審査委員会を設置し、すべての政府機関がUAPに関する記録を適時に提出することを義務づけるものです。
さらに、「公共の利益のために民間人や団体が管理することができる、出所不明のすべての回収技術や人間以外の知性の生物学的証拠」に対する「土地収用権」を政府に与えることになります。
「そのような資料は存在する場合、その資料はすべて、審査委員会に提供され、当該資料の管理当局に適した場所で、適時に、個人的な調査およびその後の開示決定が行われるものとする」
と、開示法の条文には書かれています。その窓口となる審査委員の9名は、上下両院議長やUAP情報公開財団など複数の団体からの推薦を受け、大統領が指名するようです。
そして、どの候補者も、
“未知の技術の収集、開発、リバースエンジニアリング、または生死を問わず人間以外の知性の生物学的証拠の調査に関する、レガシープログラムまたは管理当局に、過去または現在も関与していないこと。 “
とされています。
法案本文によれば、
「すべての審査委員会ノミニーは、関連するすべての大統領、省庁、特別アクセス・プログラムを含め、必要なセキュリティー・クリアランスとアクセス権を迅速に付与されるものとする。」
とされています。
パネルメンバーには、現職または元国家安全保障官僚、現職または元外務官僚、科学者または技術者、経済学者、専門的な歴史家、社会学者をそれぞれ1名以上含まなければならないようです。上院の国土安全保障・政府問題委員会は、メンバーの指名後まもなく承認公聴会を開催する事になります。
Publicの情報筋によると、下院情報特別委員会(HPSCI)のマイク・ターナー委員長(オハイオ州選出)は、オハイオ州のライト・パターソン空軍基地が自身の選挙区に含まれており、Open Secretsによれば2022年の選挙で防衛産業関連の個人やPACから約20万ドルの献金を受け取っており、UAP情報公開法を「潰そうとしている」ようです。
また、著名な役職に就いている人物たちも、このUAP情報公開法案に疑念を抱かせ妨害しようとしているようです。
このように、政府内には軍事企業と関わる議員などを筆頭に、UAP情報の公開を阻む勢力も多くいるようです。まるでX FILESや陰謀モノの映画のような話ですが、これが現在アメリカの水面下で起きている事実なのです。
UAP銀連盟のメンバーの1人で強硬派でも知られるマット・ゲイツ下院議員は、
“私はUAP事件と遭遇事件などの完全な情報開示を支持する。私は、完全な開示に勝るものはないとするUAP情報開示法の文言を維持するため、議会で闘い続けるつもりだ。”
と頼もしい声明を出しています。
UAP情報開示法の文言に関する討論の結果は、近いうちに公表されるようです。
まだ次のUAPに関する公聴会は予定されていませんが、上下両院の特定の議員は公聴会を開く意向のようです。
そうなったのも、内部告発者の数が日増しに増えていることもあり、情報開示推進派の議員たちは、この公聴会が最初の公聴会よりもさらに大きな反響を呼ぶことになる事を期待しているとの事です。
当初、尻すぼみになり隠蔽体質逆戻りしてしまうのではないかという危機感がメディアでも報じられていましたが、それに呼応するかのように、前述の通り水面下で続々と直接の当事者、関係者などの内部告発者が増えている事から、無視し続ける事が出来なくなりつつあるようです。
なんとかこの勢いというか流れを断たずに決定的な大きな証拠が出てくる事を期待したいし見守りたいと思います。🔚
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