マイクロソフトがまたもソニーより先手を打って次世代XBOXであるXboxSeriesXの更なる技術的な詳細や機能の詳細を公開しました。残念ながらE3 2020の中止が決まってしまい、独自のオンラインイベントを開催するとはいえ、沈黙を続けているソニーとは対照的に、これだけ積極的に次世代ゲーム機の情報を先手先手でポンポンと公開するマイクロソフトの「攻め」の姿勢に同社の本気度を感じさせます。
XboxOneXの時、テック系解析で有名なデジタルファウンドリーに突如として先行公開しユーザーは驚かされましたが、今回もデジタルファウンドリーでおなじみのお二方が、マイクロソフト本社でのXboxSeriesXのビルド、テックレポート動画が、デジタルファウンドリーのYOUTUBEチャンネルで突如公開されました。
更に、マイクロソフトの公式ニュースサイトXBOX WIREでも詳細な解説が公開されていて、合わせて詳細な本体スペックも公開されました。興味深い数値が並んでいるので、一つ一つ見ていきたいと思います。
CPUはZEN2 3.8GHz駆動でSMT時は3.6GHzに。
まずはCPU、7nmの8コアのカスタムZEN2で、クロックは3.8GHz。SMT(シミュレーション・マルチ・スレッディング)要はインテルCPUのハイパースレッディング使用時は、3.6GHz駆動となるようです。クロックは固定。
そして驚異のGPUは、同じく7nmカスタムのRDNA2アーキテクチャで3328シェーダーの52CU(コンピュートユニット)、クロックは1852MHz固定で駆動し、「12.155テラフロップス」を持続的に出力可能となっています。XboxOneXが40CU/1172MHzですので、12CU増加し、クロックも680MHzアップしたことになります。しかしチップには3584シェーダー、56CUが載っていて、4CUが休止状態だそうです。これはどのチップにも使わない余分が載っている事があるので、使えるわけではなさそうです。
GPUのクロック周波数は、XboxOneXの1172MHzから大幅に引き上げられて1852MHz固定。16nmから7nmになったことで発熱が低下して実現した高クロックとも言えますが、CU(演算ユニット)を抑えてコスト増大に直結するダイサイズの拡大を最小限にし、より高クロックで駆動してパワーを絞り出すという設計思想は、XboxOneXと同じとも言えます。
チップの冷却はXboxOneXと同様にヴェイパーチェンバー方式。ヴェイパーチェンバー方式とは、ヒートシンクのベースが中空構造になっており、その中に揮発しやすい液体を封入すると、熱源からの熱でその液体が気化した蒸気(ヴェイパー)がその空間(チャンバー)内を移動し、ヒートシンクに到達すると熱が放出されて液体に戻る。この繰り返しで、普通のヒートシンクよりも熱抵抗値が下がるという方式で、PCのハイエンド・グラフィックスカードにも採用されている方式ですが、コスト面ではやや高いと言われています。
XboxOneXの高い排熱効率、素晴らしい静音性といい、マイクロソフトはXboxOneSやXboxOneX開発で得た多くのノウハウから冷却機構や筐体設計には相当の自信を得たのかもしれません。今やマイクロソフトはSurfaceなどPCのハードウェア開発も並行して行なっている立派なハードウェアメーカーでもあり、近年のハードウェアの完成度は非常に高い完成度を誇っているので、期待しても良さそうです。
チップのサイズ(ダイサイズ)は7nmで360.45mm2。XboxOneXは16nmプロセスで363mm2で、チップの大きさはXboxOneXとほぼ同じというかほんの僅かに小さいくらいで、以前XBOX部門ボスのフィルスペンサー氏がTwitterアカウントで突然公開したXboxSeriesXのチップ写真から410mm2になるのでは?と言われていただけに、360.45mm2というサイズは思った以上にコンパクトだったとも言えます。
この事から推測するに、もしかするとXboxSeriesXはXboxOneXと同じ498ドル近辺の価格になる可能性もないとは言えないかもしれませんね。
メモリーは噂通りGDDR6 16GBで、帯域はなんと560GB/s!XboxOneXの12GBのGDDR5が326GB/sでしたので大幅に向上しています。この恩恵はフレームレート向上やロード時間の短縮にも寄与します。
デジタルファウンドリーの解説によると16GBの内10GBが560GB/sで、6GBがスタンダードの336GB/s構成ですが、6GBの内2.5GBがシステムなどに予約されていて、残りの3.5GBがゲームに使えるそうなので、ゲーム開発者は16GBの内13.5GBをゲームに使えるという事になります。
そしてXboxSeriesXでもPS5でも最大のポイントとなるのが、リアルタイム・ハードウェア動作によるレイトレーシング対応でしょう。現実世界に近い自然な大局的拡散光やオブジェクトに反射、投影される表現を再現するもので、現時点ではPCのミドル〜上位グラフィックスカードでしか体験出来ません。しかもタイトルによっては非常に重いものもあり、ハイエンドPCでも足枷になるものもあります。
現時点では、Remedy開発のCONTROLがレイトレーシング効果を多数採用したデモ的作品と言われているので、レイトレーシング効果のないPS4Pro版とレイトレーシング最高設定でのPC版との分かりやすい4K解像度の比較動画を作ってみましたので、よろしければ観てみてください。他にもシャドウオブザトゥームレイダーでのベンチマークでのレイトレースシャドウのON、OFFでの負荷とfpsの差異を分かりやすく比較した4K解像度動画も作成したのでご参考までに。
現状、重いというイメージのレイトレーシングですが、既に今月下旬に発表される予定のnVIDIAの次世代グラフィックスカードで、レイトレーシングの処理速度が倍に向上するという噂が出ているので、その次世代レイトレーシングに対応するPS5や、Xbox Series Xの登場でレイトレーシングも知名度が上がり、よりポピュラーになるでしょう。
そしてPS5でも大きくアピールしている、超高速なロード時間を実現する次世代高速SSDは、1TBのカスタムNVMe SSDと判明。今までのハードディスクから、メインチップに直結された最大2.4GB/sもの高速な次世代NVMe SSDになることで、高速なロード時間だけでなく、途中のゲームを即時に再開出来るクイックレジューム機能も可能になったと言えます。
最大2.4GB/sという性能はPC用でSamsungのNVMe M2 SSD960とほぼ同等の性能と言えます。私もMY PCのOS起動ドライブにSamsungの1TB NVMe M2 SSD 960PROを使っているので、遂にゲーム機もNVMe M2 SSDが使われる時代が来たか!と感慨深いです。。
マイクロソフトによると、本体の電源を抜いたり、本体の更新で再起動した後でも、複数の途中終了したゲームが再開出来るようです。このクイックレジューム機能は、マイクロソフトが公式YOUTUBEチャンネルでテック・デモを公開しています。↓
このテックデモでは、プレイ中のゲームを中断し、ガイドを表示して他の中断したゲームを呼び出し再開するという事を何タイトルも行なっていて、ほぼ全てのタイトルが6秒前後で直ぐに再開出来ています。ユーザーは面倒なロード時間を待たずに中断したゲームを数秒程度で再開出来るので、本当に素晴らしい機能だと思います。
そして興味深いのは背面にある拡張スロット。マイクロソフトはこの背面の拡張スロット専用の追加1TB 高速SSDストレージも合わせて発表しています。
上の画像からも分かるように、背面の拡張ストレージスロットはXboxSeriesXのメインチップと直結されているようで、この事からも分かるように専用の拡張ストレージを差す事で、超高速な動作をする追加ストレージを可能にしたようです。
更にマイクロソフトは、合わせてこのXboxSeriesXの背面拡張スロット専用の追加SSDストレージをPCのハードディスクで知られるSeagateと共同開発したようで、1TBの追加ストレージも発表しています。
この背面スロット専用の追加ストレージは、デジタルファウンドリーのレポートで公開されており、1TBという容量が信じられないくらいコンパクトなサイズで、まるで以前のXBOX360のメモリーカードのようですw本体はプラではなく、ソリッドな金属で出来ているようで、ボディ全体が放熱性を優先して作られているようです。
現時点でXboxSeriesX本体と背面スロット用追加のストレージで合計2TBが高速起動などに使えそうですが、昨今の膨大なゲーム容量を考えると、あっという間に足りなくなるのは目に見えてるので、2TB容量モデルとかも発売して欲しい気がしますねw問題はこの1TB追加ストレージがどれくらいの価格なるのか気になるところです。とりあえず、高速起動やクイックレジューム機能を使わなくてもいいタイトルを選別して外付けハードディスクに入れるしかないですね。。🔚
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