マイクロソフトとアクティビジョン・ブリザードの買収提案に対し、「SOCインベストメント・グループ」が、Activision Blizzardの株主に書簡を送付し、Microsoftの買収に反対票を投じるように促しているようです。
2022年1月に、マイクロソフトが690億ドル弱(当時のレートで約8兆円)で買収提案しました。この規模はゲーム業界では史上最大規模の買収の一つで、マイクロソフトの買収規模としても最大規模です。現在は米監視当局の審査が進行中ですが、あまりにも規模が大きいため、買収完了は来年2023年6月までかかると言われています。
買収規模の大きさといい、予想外の買収に業界で激震が走ったアクティビジョン・ブリザードの買収ですが、次々と障害が立ちはだかっています。
今回、SOCインベストメント・グループが株主に対し送付した書簡では、
1:この取引は、セクハラ問題およびそれに対するアクティビジョン取締役会の無能な対応が、製品発売の遅延や株価の下落に果たした役割を無視していることもあり、アクティビジョンとその将来の収益の可能性を適切に評価するものではない。
2:我々は、反トラスト法執行状況の変化や、合併に起因する潜在的な競争阻害要因が明らかであることから、マイクロソフト(または同様の買収者)との取引が実行可能かどうか懐疑的である。
アクティビジョンの株主の皆様には、現職の取締役会を、企業文化の再構築と会社の評判回復のために、アクティビジョン・ブリザードの従業員と積極的に関わり、その力を引き出すことを含め、会社の真の可能性を引き出せるような取締役に交代させることがより良い結果をもたらすと思います。
SOCインベストメントグループ(旧称:CtWインベストメントグループ)は、400万人以上の組合員を代表する4つのユニオンからなる連合組織「戦略的組織化センター」に加盟するユニオンが出資する年金基金と連携し、アクティブ・オーナーシップを通じて長期的に株主価値を向上させることを目的として活動しています。これらのファンドは、2500億ドル以上の運用資産を持ち、アクティビジョン・ブリザードの主要株主となっています。
更に「マイクロソフトの提示額95ドルは、アクティビジョンの価値を適切に評価していない」とも指摘しています。アクティビジョンの終値の最高値は103.81ドルで、マイクロソフトの掲示した額より9%以上高いと主張し、株主として95ドルは安いのではないか?という事でもあるようです。書簡ではキャッシュフロー分析など様々な詳細なデータを示して導き出した1株当たりの評価レンジが、84.73ドル〜123.87ドルで、その中間点は104.30ドルだと主張しています。
ちょっとこれは、無茶な意見のような気もしますがw
書簡を全て読んでみましたが、他にもちょっと驚く内容も指摘されています。
「合併交渉の監督において、アクティビジョン取締役会は、独立取締役で構成される特別委員会を設置し、その提案を吟味する、あるいは経営陣が出席しない独立取締役会を開催して合併を承認する、といった標準的な手順を踏むことなく、Microsoftの合併提案を承認してしまったのです。
さらに悪いことに、アクティビジョン取締役会は、他の入札者が関心を示しているにもかかわらず、12月末から1月初めにかけての30日間、経営陣がマイクロソフト社と独占的に交渉することに同意し、プロセスの省略を容認したのです。」
と、指摘しており社内の合併承認プロセスに関しても異を唱えています。更に、他にも興味を持っている企業がいたことも興味深いですね。
先日も米上院議員数人が、マイクロソフトとアクティビジョン・ブリザードの買収提案に対して懸念を表明する書簡を規制当局に送っています。
そこでは、ボビー・コティックCEOの責任問題が追求されている中、コティックCEOへの巨額の報酬をマイクロソフトが約束している事など、不祥事責任追及に対する懸念を表明する内容でした。
関連記事:MicrosoftのActivision Blizzard買収案に対し、米上院議員4人が「深い懸念」を表明、FTCに書簡を送付。
このテーマに関する株主総会は、2週間後の2022年4月28日に開催される予定です。果たして大荒れ紛糾となるのか、それとも否決されスムーズに進行するのか、、気になるところです。🔚
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