マイクロソフトのCEOサティア・ナデラ氏は、フィナンシャルタイムズとのインタビューで、マイクロソフトによる690億ドルでActivision Blizzard社の買収が、米国連邦取引委員会によって阻止される可能性について、比較的楽観視しているようです。
ナデラ氏は、
「今回の買収後も、マイクロソフトがビデオゲーム市場でトップになるわけではなく、支配的立場にはない、という部分も見るべきです。今回の買収で我々は、市場を独占するのではなく、単に“断片的な“市場における“大きなプレーヤー“になるだけです。」
と述べ、アクティビジョンは確かに巨人だが、買収が成功したとしても、業界では3位のポジションであり、決して支配的なポジションにはないわけで、規制当局が阻む理由はないとの見方のようです。
事実、来年(2023年6月30日までに)「アクティビジョン・ブリザード」の買収が完了すると、マイクロソフトはビデオゲーム業界において、テンセント、ソニーグループに次ぐ第3位の規模になります。
ナデラ氏は、
「今回の買収後、当社のシェアは10%台前半で第3位となりますが、最も高いシェアを誇る企業でも10%台程度のシェアです。
「これは、コンテンツ制作プラットフォームがいかに細分化されているかを示しています。私たちは、非常に断片化された場所で大きなプレーヤーにはなるでしょう。」
「なぜコンテンツ企業は大きくなろうとするのしょうか?それは、本当に制約があるのはディストリビューションだからです。ゲーム・コンテンツのオープンな配信プラットフォームといえば、Windowsしかありません。そしてWindows最大のストアはSteamで、それは我々のものではありません。」
「たとえシェアが低くても、私たちが力をつけることで、多くの小さなプレーヤーのために、xCloudのようなものを使って配信を増やすことができるのではないかとある程度期待しているのです。」
と述べています。ナデラCEOの発言からもマイクロソフトが今回の大型買収で規制当局に阻止されるのではないか?という憶測に対して、しっかりと状況、意図を説明し否定しているようです。
フィル・スペンサー氏も買収発表後直ぐに、「コール・ オブ・デューティー」がプレイステーションに継続提供することを表明しており、プレイステーションからすぐに消えることはないでしょう。
ソニーもバンジー買収後も独立運営され、タイトルはプレイステーション独占にはせず、マルチプラットホーム展開を続けると表明しています。
しかし、マイクロソフトは先に買収したマインクラフト、DOOM、エルダースクロールズ、QUAKE、RAGE、ウルフェンシュタイン、フォールアウト、Dishonored、コール・オブ・デューティー、ワールド・オブ・ウォークラフトなどの新作が発売されれば、発売日初日からゲームパスの恒久リスト入りさせる事が出来ます。
マイクロソフトからすれば、ゲームパスというサービスのゲームタイトルの恒久的リストの強化、契約者数の増加が目的でもあるので、独占にしなくとも「ゲームパス」という「ウェポン」でライバルとは差別化が出来るわけです。しかもクラウドゲーミングサービスもあります。
これはゲーマーにとっては、フルプライスでゲームを買う必要性がなくなり、ゲームパスの月額800〜1100円程度の支払うだけです。多くのユーザーにとっては、経済的負担は減りますので、非常にありがたいことでもあります。
しかし、プレイステーションにはゲームパスのようにインディからAAA大作までの新規タイトルが、発売日初日からリスト入りするようなサブスクリプション・サービスはないので、プレイステーションは大きなハンデを抱えることになります。
規制当局がこの部分を不当競争と見なすのか、、そこがポイントになりそうですが、ナデラCEOが強調する、業界では3位のポジションのマイクロソフトではあるので、規制当局もマイクロソフトのアクティビジョン・ブリザードの買収を阻む事は、無理があると思います。
先日もウォールストリートジャーナルの報道で、バーンスタインのマーク・モードラー氏が「マイクロソフトと政界のつながりの強さから、買収は極めて高い確率で実現する。マイクロソフトが長い時間をかけて考え抜いたに違いない」と語っています。
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